高校生の夏休みは、部活や塾、受験準備など、生徒によって予定も学習目標も異なります。こうしたなか、保護者は学校から出される夏休みの宿題の量や内容をどのように捉えているのでしょうか。


塾選ジャーナルでは、高校生の保護者100名を対象に、夏休みの宿題に関する調査を実施。その結果、宿題の量・内容・出し方について「今のままでよい」と答えた保護者は2割未満にとどまり、8割が何らかの見直しを希望していることが分かりました。

宿題の完了時期は「夏休み後半」が最も多く、約半数が当初の予定より後回しになっています。本記事では、宿題が後回しになる背景や、進捗(しんちょく)が気になりながらも本人に任せたい保護者の葛藤など、高校生の夏休みの宿題を取り巻く現状と、保護者が学校に望む見直しの内容を紹介します。

※本調査は、高校2~3年生の保護者を対象に、昨年の夏休みの宿題を振り返って回答を求めたものです。

■高校生の夏休みの宿題——完了時期は後半が最多
高校生は夏休みの宿題をいつ頃までに終えているのでしょうか。

▼宿題の完了時期は「夏休み後半」が過半数夏休み中盤までに完了した高校生は合計32%、残りの68%は夏休み後半以降までかかっていることが分かります。最多は「夏休み後半」で過半数でした。

▼「計画通り」と「予定より後回し」に分かれる当初の予定より宿題が後回しになったかを聞いたところ、「かなり後回しになった」が12%、「やや後回しになった」が37%でした。約半数が、予定より後回しになったと回答しています。

宿題の進捗(しんちょく)は、予定より後回しになった家庭と、おおむね計画通りに進んだ家庭にほぼ二分される結果でした。

▼後回しの最多理由は「部活で忙しかった」予定より後回しになった理由を聞いたところ、「部活で忙しかった」が63.3%で最多でした。
次いで、「スマホ・SNSを見る時間が多かった」40.8%、「まだ時間があると思っていた」34.7%、「友人との予定や外出が多かった」32.7%となっています。

保護者のコメントから上位の理由を見てみましょう。

▼部活で忙しかった「部活の練習が多く、帰宅後は疲れてしまい勉強に集中できず、つい『まだ大丈夫』と思って後回しになっていました。(カコさん / 大阪府 / 高2男子 / 保護者)」

「部活の大会が近くて毎日遅くまで練習があったのに加えて、お休みの日にはお友達とお祭りに行くなど、どうしても楽しい予定の方を優先してしまったからですね。(さとこさん / 愛知県 / 高3女子 / 保護者)」

▼スマホ・SNSを見る時間が多かった「空いた時間はスマホを見てしまうことが多く、まだ余裕があると思って宿題を後回しにしていました。(いぬのかさん / 愛知県 / 高2男子 / 保護者)」

「今はスマホを持つのが普通な世の中でどうしても後回しになり、どのような対策を行えば子どもに良い影響を与えるスマホと勉強の両立が出来るのかと悩んだ。(ちいかわさん / 東京都 / 高2男子 / 保護者)」

▼まだ時間があると思っていた「毎日夕方まで部活の練習があり、帰宅後は疲れて寝てしまうことが多かったです。さらに大学受験に向けて夏期講習の塾にも通い始めたため、塾の予習復習と分厚い課題をこなすだけで手一杯になり、学校から出された問題集や面倒な探究レポートは、まだ先でも大丈夫だろうとどんどん後回しになってしまいました。(びびんばさん / 東京都 / 高2男子 / 保護者)」

「長い夏休みなので時間はあるという甘えが出たと思います。(zagonさん / 兵庫県 / 高2男子 / 保護者)」

保護者のコメントからは、1つの理由だけで宿題が後回しになったのではなく、複数の要因が重なっていることが分かります。部活で勉強に使える時間や体力が減り、空いた時間はスマホや外出に流れ、「まだ時間がある」という感覚から着手が遅れる——こうした流れが浮かび上がりました。

高校生の夏休みの宿題は、部活や塾、友人との予定があるなかで、学校の宿題に充てられる時間を確保しにくいことが、後回しにつながる背景となっているようです。


■「高校生だから任せたい」でも放っておけない——宿題を巡る親子の距離感
「もう高校生なのだから、宿題は本人に任せたい」。そう考えていても、宿題が思うように進んでいない様子を目にすると、黙って見守るのは難しいものです。声をかければ反発され、何も言わなければ提出に間に合うのか不安になる——。そうした保護者の葛藤と、夏休みの宿題を巡る親子のやりとりを見ていきます。

▼親子で言い合い・気まずい雰囲気になる家庭が3割超え宿題をめぐって「何度も言い合いやけんかがあった」が5%、「1~2回あった」が12%、「少し気まずくなった程度」が18%でした。合計35%の家庭で、言い合いやけんか、気まずい雰囲気が生じています。

▼本人に任せたい、でも放っておけない保護者の葛藤保護者からは、高校生だから本人に任せたいという気持ちと、宿題が進んでいない状況を放っておけないという葛藤の声も寄せられています。

「夏休みの終盤になっても一向に宿題が進んでいる気配がなく、声をかけるたびに『今からやろうと思ってたのに』『うるさいな』と反発されて毎日のように家庭内の空気が悪くなったことが一番精神的にしんどかったです。結局、最後の3日間ほどは夜遅くまで机にかじりついて必死に徹夜同然で終わらせており、見ていてハラハラしました。(びびんばさん / 東京都 / 高2男子 / 保護者)」

「宿題が順調に進んでいるか確認のために息子に話しかけると、『ちゃんとやってるから構わないで欲しい』と反抗的な態度で言われて口喧嘩になった事がありました。(カッチャンさん / 大阪府 / 高2男子 / 保護者)」

「早くとりかかりなさいと口うるさく言うと子どもは反抗してきて大喧嘩になったことがある。親が口出しをするのは良くないのかもと反省している。
(あるるさん / 神奈川県 / 高2女子 / 保護者)」

「自分の子ども時代を振り返っても、もう宿題に口出しをする年齢ではないので本人の自主性を育てるためにも、とにかく過保護になりすぎないよう気をつけました。ただかなり気にはなったのでそわそわして疲れてしまいました。(とらさん / 大分県 / 高3男子 / 保護者)」

「宿題のことは気になっていたが、部活で忙しくて疲れているので、宿題が進んでいるか聞き出しにくかった。(さなえさん / 兵庫県 / 高2女子 / 保護者)」

これらの声からは、「高校生の子どもに、そもそも宿題について声をかけるべきなのか」と悩む保護者の姿が浮かびます。気になって声をかければ反発され、部活で疲れている様子を見れば、進み具合を尋ねることさえためらわれる——本人に任せたい気持ちと、放っておけない不安との間で揺れる様子がうかがえます。

■それでも、宿題を終えるためには「声かけ」が効果的
宿題を終わらせるために家庭で工夫をしたと回答した保護者に、効果があった取り組みを聞いたところ、「保護者が声をかけた」が53%で最多でした。

宿題をめぐって言い合いや気まずい雰囲気が生じる場合がある一方で、声かけに効果を感じた保護者もいます。

「部活との両立で疲れている様子だったため、無理をさせすぎないようにしながら、提出期限だけは守れるよう声をかけ続けたことです。(マムルさん / 東京都 / 高3男子 / 保護者)」

「早くやりなさいと口うるさく言うと娘も不機嫌になってしまうので、機嫌を損ねないように美味しい紅茶とちょっとしたお菓子を出して、一緒に頑張ろうねと優しく声をかけるなど、少し気を遣いました。(さとこさん / 愛知県 / 高3女子 / 保護者)」

いずれにせよ、高校生になれば、すべての家庭が宿題を完全に本人任せにできるというわけではないようです。

■夏休みの宿題への本音——8割が「見直し」を希望
家庭で進め方を工夫しても、部活や塾、受験準備と学校の宿題を両立する難しさは残ります。最後に、高校生の夏休みの宿題について保護者がどのような形を望んでいるのかを紹介します。


まず、高校生の夏休みの宿題について、「今のままでよい」と考える保護者は2割に満たず、8割が何らかの見直しを望んでいる結果でした。

保護者の希望で最も多かったのは、「教科ごとに量のバランスを取ってほしい」と「進路や学力に合わせて選べるようにしてほしい」で、いずれも21%でした。

▼本音1. 教科ごとに量のバランスを取ってほしい「科目によって宿題量の差が大きくて、負担が偏るのが気になりました。もう少しバランスよく出してもらえたら、子どもが計画を立てやすいと感じます。(りくrikさん / 兵庫県 / 高2男子 / 保護者)」

「宿題自体は必要だと思いますが、教科によって量の差が大きいと感じます。本人の計画性を育てる意味はありますが部活や塾、進路準備もあるので、ただ量を出すだけではなく目的が分かる課題にしてほしいです。(くろさん / 神奈川県 / 高2男子 / 保護者)」

「特定の教科だけ異常に宿題が多かったり、逆に一切宿題がなかったりとばらつきがあるので、すべて均等に学習できるようにしてほしい。(ももさん / 東京都 / 高2女子 / 保護者)」

▼本音2. 進路や学力に合わせて選べるようにしてほしい「全員一律の宿題よりも進路や学力に合わせて選べる課題があると、より効率よく学習できると思います。(さきさん / 大阪府 / 高2女子 / 保護者)」

「高校2年や3年になると、個人の志望校や学力レベルによって夏休みに本当に集中して勉強すべき教科が全く異なります。それなのに、学校から全員一律で膨大な基礎問題集や、受験に直接関係のない副教科のレポートなどを義務として課されるのは、受験勉強の大きな足かせになっていると感じます。もう少し個人の進路に合わせた選択制にしてほしいです。(びびんばさん / 東京都 / 高2男子 / 保護者)」

「進路が違うのだから一律の宿題は非効率でおかしいと思う。
(田喜さん / 愛知県 / 高2男子 / 保護者)」

保護者のコメントからは、宿題の量そのものよりも、教科ごとの負担の偏りや、本人の進路と課題内容が合っていないことへの疑問が見えてきます。

高校生は部活や塾、受験準備など、それぞれ異なる予定や学習目標を抱えており、置かれた状況も一様ではありません。そのため、一律に同じ課題を出すのではなく、「教科ごとに量のバランスを取ってほしい」「進路や学力に合わせて選べるようにしてほしい」など宿題の中身についての意見が多く寄せられていました。

■まとめ:夏休みの宿題には「量と質」の見直しを求める声もある
高校生の多くは、夏休み中に宿題を終えています。ただし、完了時期は「夏休み後半」が最も多く、約半数が当初の予定より後回しになったという結果でした。夏休み中に終えられたかどうかだけでは、その過程で生じた家庭での負担やつまずきまでは捉えきれません。

後回しの背景には、部活による忙しさをはじめ、スマホ・SNS、友人との予定、「まだ時間がある」という意識など、複数の要因がありました。本人に任せたいと思いながらも、進み具合や提出期限が気になり、どこまで声をかけるべきか悩む保護者の姿も浮かび上がっています。

こうした家庭での苦労や葛藤もあり、学校の宿題について「今のままでよい」と答えた保護者は2割未満にとどまりました。8割が何らかの見直しを希望しており、「教科バランス」や「選択制」といった工夫が求められています。

進路や受験方式が多様化するなか、夏休みの宿題を全員一律の量・内容で出すことが適切なのか——今回の調査からは、そういった課題があることも見えてきました。

■アンケート調査概要
調査対象:高校2~3年生の保護者(有効回答数100名)
調査時期:2026年7月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「高校生の夏休みの宿題」に関する調査

この記事の執筆者:塾選ジャーナル編集部
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