コアな人気を集めるルノーのMPV(Multi Purpose Vehicle/多目的ミニバン)カングーに、ロングボディーの7人乗り「グランカングー」が仲間入りしました。日本のミニバンとはちょっと違う3列乗用車を、独身の不肖がご紹介します!
ありそうでなかった7人乗り仕様
フランス本国では商用車としても使われているカングー。5人乗りの乗車スペースに大容量の荷室空間というパッケージは、日本にはちょっとないもので、それゆえ「カングーでなければダメなんだ――」という人が続出。
そんなカングーを見る度に、筆者は思っていたのが「この荷室、2人分の座席が置けるんじゃない?」ということ。「7人乗りが出たら、ミニバンユーザーを囲えるんじゃない?」と思うわけです。事実、「シトロエン・ベルランゴ」「プジョー・リフター」「フィアット・ドブロ」といったライバルには、3列ミニバンの「ベルランゴ ロング」や「リフター ロング」「ドブロ マキシ」がラインアップされているのだから。
ということで「本命は最後にやってくる」ということで、カングーに7人乗りが登場したわけです。
ボディーサイズは全長4910×全幅1860×全高1810mmと伸長。この5m近い長さは、ライバルたちを約15cmも凌ぐもの。最初見た時「こんなに長いの?」と驚いたのですが、日産セレナの全長が4.8m位ですので、手に負えないほど大きいというわけではありません。何より丸っこくてカワイイというカングーの印象が「精悍で頼もしくなったなぁ」と変わるわけで、なんとなくグランという名が付いた理由がわかったような。
パワートレインは最高出力131PSの1.3リッター3気筒ターボエンジンと7段DCTの組み合わせ。ルノーといったらE-TECHというフルハイブリッドが用意されているのですが、カングーに用意はなく。「こんな小さな排気量で7人乗って大丈夫?」と心配になったりも。
え? シートが着脱できるんですか?
荷室を最大化する驚異のトランスフォームギミック
まずは観音開きのバックドアを「パカーン」と開けてみましょう。これが使いやすいかどうか、というのは判断に迷うところ。というのも、ミニバンの大きなバックドアより後ろにスペースを必要としませんが、国産ミニバンでは当たり前の装備であるパワーゲート(電動開閉)ではなく、当然ながらリアバンパー下側に足先を出し入れして開閉するハンズフリー仕様でもありません。
そして、これも当然と言えば当然ですが、ルームミラーを見る度にバックドアの合わせ目が見えます。これが気になる人はホントに気になるのだとか。筆者も最初は気になりました。
荷室は他社の3列ミニバンを上回る広さ。さすがライバルたちを凌ぐ全長と感心しきり。なのですが、12Vアクセサリーソケットなどの便利アイテムが一切ありません。
3列目を倒して荷室拡大……と誰もが考えるのですが、これがちょっとクセモノ。
できるのですが、金具が露出しているので荷物に傷がつく可能性は否定できません。さらにこの状態でロックする機構がないため、走行中にシートが倒れる可能性が……。チルトアップは「あくまでできる」という認識でとどめていた方がよいでしょう。
「なんだ、ダメじゃん!」と思うのは早計で、なんと椅子自体を取り外せるのです。取り方はシートをたたんで前に倒して、シートと車体の結線を取り外して、ガチャンと引き抜くだけとカンタン。ですが、シートが約20kgあるので、腰痛持ちの人や女性がひとりで作業するのは困難かも。
そして「この椅子、取り外したのはいいけれど、どこに置くのよ?」とも。部屋に入れておくにもデカいですし、底面の金具が露出しているので座椅子として使うと床が傷だらけになりそう。取り外したシートを別目的で使えるようにする「座椅子/ゲーミングチェア化キット」とか出たら面白そう。
このシートの取り外し、2列目もできるので、運転席と助手席以降は荷室にすることも可能! 椅子の置き場所問題はあれど、一気に使い勝手のよいクルマに見えてきませんか? 筆者は、とてもイイと思いました。
広々とした3列目シートと
割り切ったインフォテインメント
大きな手動スライドドアをガラガラっと開き、2列目シートを前に倒して3列目へ。この空間が実に広々。さらに言えばシートのクッションがとても良く、「これホントに3列目?」と驚くほど。USBはないのですが、12Vのアクセサリーソケットがあり、これならスマホの充電ができそうです。
さらに驚いたのが3列目が前後に動くという点。いやはや、いたれり尽くせりです。
続いて2列目へ。ベンチシートですが、これが3分割で取り外し可能です。ですので、真ん中を取り外せばウォークスルーが可能です。床面もフラットですので、これまた使い勝手がよろしいわけです。
シートは快適ですし、テーブルも用意されているのですが、紙コップ系ジュースを置くタイプのテーブルでして……。ドアにドリンクホルダーの類はないものの、ポケット部分にペットボトルは入りそう。そしてUSBは、最近のクルマとしては珍しいType-A。
運転席周りは、基本的に5人乗り仕様と同様といったところ。質実剛健といった印象で、華美な装飾はありません。このあたりは実にルノーらしいといったところ。
メーターパネルはLCD。一方、クルーズコントロールは前走車追従機能はありますが、ハンドル支援はありません。車線監視機能はついています。
インフォテインメントは必要最低限といったところ。車両には最初からスマホホルダーが設けられ、ナビはスマホでどうぞ、といった割り切りっぷりです。USBはType-Aで画面下側に配置され、ケーブルの長さによってはちょっとシフトレバーに引っ掛かる時があったりするかも。Androidは有線接続ですが、iOSはワイヤレスで使えます。
ワイヤレス充電対応のスマホトレイはシフトレバーの下側(ほとんど床)にあります。なので、このクルマを買った人はiPhoneを使い、運転中はワイヤレスCarPlay状態にして、トレイで充電しながら運転をする、という使い方になるのかなと思います。
ロングホイールベースが生む疲れ知らずの走り!
視界良好で長距離ドライブも快適
いざ走り始めると、ちょっと硬さを残したアルデンテの味わい。ルノーらしく運転の楽しさを伝えてくる点も好印象。なによりシートがとてもよく、ホイールベースの長さと相まって、高速道路では疲れ知らず。エンジンパワーが限られているので、合流などではガッツリ踏む必要はありますが、法定速度に乗ってしまえば気になるところはありません。
感心するのは視界の広さで、特に左側のミラー回りに、死角を減らそうという意思を感じます。ドアミラーも大きく見やすくて好感。みんなで楽しくのおでかけをキチンとサポートします。
ルームミラーのほか、車内を見るミラーも用意されているので、後席に乗車した方々の様子もバッチリ確認できます。総じて友達やファミリーと長距離移動したくなる、そんな印象を受けました。
さて、文頭でひとり身の筆者にとって……と書きましたが、椅子の置き場所さえ何とかなるなら、このクルマは仕事のアシとして、とても欲しいと思った次第。人は乗る、荷物は載る、燃費だって、14km/L(WLTCモード)は出ますし、何より運転が楽しい!
日本車のような便利機能は少ないですが、日本車にはない魅力があるのも事実。色々な使い方ができるグランカングー、実に使えるクルマな予感がします!
■関連サイト
グランカングーギャラリー

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