先日、日テレのバラエティ番組『ザ!鉄腕! DASH!!』にて、TOKIOの城島茂と山口達也が、環境省と東京都の絶滅危惧種を発見したと話題になりました。
TOKIOと言えば、同番組の名物企画「DASH村」で、15年以上農作業に従事してきた自他ともに認める農業アイドル。
専業農家顔負けの豊富な知識をもって、独力で田畑を開墾していくというジャニーズらしからぬ様は、ネット界隈においても好評を博しています。今回の一件は、彼ら5人にとっての新たな勲章となること、間違いないでしょう。

そんなTOKIOの人気向上に一役買ったのが『鉄腕! DASH!!』であるならば、人気失墜につながってしまったのが1999年~2003年に放送されていたTBS系列のバラエティ『ガチンコ!』でした。

PTAから「親が子供に見せたくない番組」に選ばれた『ガチンコ!』


『ガチンコ!』も『鉄腕! DASH!!』同様、「TOKIOが体当たりで様々な企画にチャレンジする」というコンセプトでスタートした番組です。
にも関わらず、『鉄腕! DASH!!』は今も高視聴率を連発しつつ、民放連から「青少年に見てもらいたい番組」に選ばた一方、『ガチンコ!』は放送末期に目も当てられない低視聴率となり、PTAから「親が子供に見せたくない番組」に選定されています。『ガチンコ!』が批判された理由とは、一体なんだったのでしょうか?

「このあと、とんでもない事態に!」→何も起こらない、の連続だった


ひとえにその原因は、過剰演出の多さにありました。「この後、予想だにしない展開が!」と煽っておいて、CM後、特に何も起こらない、「次週、彼らをどん底に突き落とす!……」と期待させておいて、特に突き落とさないなど、予告と明らかに異なる内容を放送。要するに、視聴者への興味付けを、大げさなナレーション入れという“小細工”によって行っていたわけです。

その小細工を由とする姿勢は、やがて事実の捏造、つまり“やらせ”行為の横行へとつながります。問題の発端となったコーナーは『ガチンコ!ファイトクラブ』。同番組の看板コーナーでした。

『ガチンコ!』の台本全文が週刊誌に、万事休す……


不良がプロボクサーを目指す同企画。登場する不良たちの多様な個性、コーチを務める元世界チャンピオン・竹原慎二のスパルタ指導がウケて、たちまち番組を代表する人気コーナーとなりました。
しかし、あまりにご都合主義な展開(例えば、カメラが回っているときだけクラブ生同士が喧嘩をするなど)に、開始当初から「やらせでは?」との疑惑が噴出。

決定的だったのが、台本らしきものを腰に挟んだ竹原の写真や、その台本の全文が週刊誌上に掲載されてしまったこと。こうした物的証拠の数々が『ガチンコ!』を窮地に追い込んだのです。

『ファイトクラブ』以外でも、やらせと思しき企画を量産していた『ガチンコ!』には、当然、視聴者からのクレームが殺到。さらに、同番組を問題視した放送倫理・番組向上機構(BPO)からは疑惑に対しての説明を要求されます。しかし、あろうことかTBSと製作担当者はこれを拒否。やらせが存在した事実を一切認めないまま、逃げるように『ガチンコ!』を終了させてしまったのでした。


『ガチンコ!』のMCを務めた影響で、少なからずイメージダウンしてしまったTOKIO。彼らの名誉は前述のように『ザ!鉄腕! DASH!!』によって回復したわけですが、洒落にならなかったのは、『ファイトクラブ』の練習場所として使用された沖ボクシングジム。なんと、番組の悪評が原因で、放送終了後すぐに経営不振で潰れてしまったのです。
タレントの人気を落してしまった上に、ジムは閉鎖に……。関係したあらゆる対象を不幸にしてしまった負の番組としても、これから『ガチンコ!』は語り継がれていくことでしょう。
(こじへい)