SNS世代と呼ばれる若年層を中心に"ルッキズム"が広がっている。歯科矯正や脱毛、整形などを学生の段階から行う人は珍しくない。
一方で、芸能界に目を向けると、中高年世代を中心に、白髪を隠さず、過度なダイエットも行わず、"その年代ならではの魅力"を大切にする人たちが、独自の美しさを放っている。こうした姿勢に対してお茶の間から多くの称賛が寄せられている。

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◆ナチュラルな体型が役柄に深みを加える

山田涼介主演の『一次元の挿し木』(読売テレビ)は、良作が多い今期のドラマの中でも人気作だ。そんな本作で存在感を放っているのが、政界や新興宗教団体「樹木の会」とも通じる謎めいた女性・春日陽子を演じる松下由樹である。おだやかで人当たりのよい女性に見えるが、陰で大きな力を持ち、周囲を巧みに動かす役柄を、彼女は見事に演じている。

松下といえば、観月ありさ主演の『ナースのお仕事』(フジテレビ系)における尾崎翔子が、代表的な役のひとつだ。当時、20代後半の松下扮する翔子が「あ~さ~く~ら~!」と、新人ナース・朝倉いずみ(観月)を呼びつける姿を、今も覚えている視聴者は多いだろう。

そんな松下も58歳(2026年8月現在)。ぱっちりとした瞳は若い頃と変わらず愛らしく、トレードマークのボブヘアも健在だ。一方、体形はまるみが増し、顔の表情もおおらかになった。自然体の体型が、役柄に一層のリアリティを与え、人物像に深みをもたらしているようにも感じられる。

1980年代にトップアイドルとして一世を風靡した小泉今日子も、年齢による変化に寛容だと思う。
2012年に第1期が放送された『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が2025年秋に『続・続・最後から二番目の恋』として返ってきた。小泉演じる吉野千明は、1期では45歳。ショートパンツを履きこなし、ヒールの高いパンプスでカツカツと歩く姿がかっこよかった。2025年版では還暦を迎えたが、身体のラインがほどよくまるみを帯び、だぶっとしたボトムスやニットをゆるっと着こなしている。こうした見た目の変化は、尖っていた性格の角が削れ、肩の力を抜いて生きられるようになったアラ還の千明の内面を映し出しているようにも見えた。

2026年春に放送された『リブート』(TBS系)では、吹石一恵が合六亘(北村有起哉)の妻・陽菜子を演じ、健康的な体型が話題を集めた。キャンペーンガールや資生堂商品のCMに出演するなど、スタイルの良さを武器の一つとして活躍してきた吹石は、40代半ばを迎えた今、生活の変化とともに健康的な体型へと変化していた。『リブート』の陽菜子役ではその体型が実際の家庭生活を垣間見せるようなリアリティーを生んでいたように思う。

8月16日放送の『日曜日の初耳学』(TBS系)では、石田ゆり子(2026年8月時点)が、「例えば私、いま56なんですけど、若く見えるって言われてもしょうがないっていうか」と述べたうえで、「どうしてもね、若いことが美しいと思いますけれど、年をとることのよさを知っていかなければならないって思ってます」と話していた。

昨今の芸能界では、50代60代の女優を中心にその年齢ならではの魅力を大切にする考え方が浸透しつつある。そんな時代に生きる私たちは、年齢を重ねることを、かつてよりもポジティブにとらえやすくなったのではないだろうか。

藤本美貴「昔に戻りたいと思わない」

藤本美貴はYouTubeチャンネル『ハロー!ミキティ』のショート動画で、自身の現在の体型について語ったことがある。


藤本は41歳(2026年8月時点)で3児の母だが、昔のかわいらしくスレンダーな自分を肯定したうえで、「でもやっぱり子ども3人産むと体型も変わるし、外見へのモチベーションも当時とは違うだろうし、それに合わせて自分がどうしていくか」と考えを明かしていた。また、「全然昔に戻りたいと思わない」と述べ、その理由を「別に魅力を感じない」ときっぱり口にしていた。

筆者自身も若い頃は美に固執し、ダイエット中心の生活をしていた時期もある。当時は多少無理をしても支障がなかったが、年齢を重ねた今は、そうした生活では身がもたない。

40代は、20~30代の頃と比べて無理がきかない年代であるだけでなく、体質の変化や更年期特有の症状に悩まされる人も少なくない。また、自分のためだけに時間やお金を使いにくくなる世代でもある。そうした中で、今の自分を受け入れ、外見以外のことを重んじる藤本の生き方は、多くの人に安心感を与えていると思う。

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