『救命病棟24時』(フジテレビ系)が13年ぶりに復活する。1999年の第1シリーズから長く愛されてきた人気医療ドラマが、2026年版ではどのように描かれるのか。
本稿では、過去シリーズを振り返りながら、時代とともに変化してきた救命医療の現場や、今秋放送予定の第6シリーズで描かれる新たなテーマを探っていく。

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1999年版『救命病棟24時』を改めて観返すと、27年という歳月のなかで、社会や医療を取り巻く環境が多く変化したことに気づかされる。例えば、当時の救命救急センターでは女性医師はまだ珍しく、小島楓(松嶋菜々子)は女性医師が一人という環境に置かれていた。

堺慎一(杉本哲太)に「小島先生も大変なところに来ちゃったよね。女の子にはきついところだから」と声をかけられた楓が、「男だとか女だとか関係ないところだと思っていますから。私、救命救急って男性と一番対等に働けるところだと思うんです」と明るく答える場面もある。

令和の今、女性の救命医は当時と比べて増えたものの、依然として男性が圧倒的多数を占めている。とはいえ、楓のように「男女関係なく働ける場所」だと強く意識し、言葉にする女性は、もはやほとんど見られなくなった。

また、指導医と研修医の関係も今とは異なる。進藤一生(江口洋介)は愛情深く、医師としての腕も確かでありながら、ぶっきらぼうなところがある。彼の教育方針は現場主義・自立型だ。楓に「自分の目で見て覚えろ」と言い放ったこともあった。
さらに、楓が研修医であるにもかかわらず街で救命医を名乗った際には、「公の場でやたらと偉そうに、医者を名乗るな。最近の医者はやぶが多いとうわさが立ったら、お前のせいだからな」と厳しく叱っていた。

そんな厳しい環境のなかで医師として励み、成長した楓であるが、2026年版では副センター長として若手育成に奮闘するようだ。進藤から「自信がないなら、医者なんか辞めてしまえ」「医者を名乗るな」といった厳しい言葉を浴びせられながら成長した楓だが、今の時代に若手へこうした言葉を発するのはNGだろう。

2026年版では世代間の違い、次世代の成長が大きなテーマとなるが、楓が若手とどう向き合っていくのかも見どころだ。

楓を演じる松嶋菜々子といえば、2026年冬放送の『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』(テレビ朝日系)で、国税調査官・米田正子を演じた姿が記憶に新しい。同作には、定時帰宅を厳守し、職場の人とのプライベートな付き合いを好まない俵優香(長濱ねる)が登場した。30代の筆者にとって、優香は自分と重なる部分もあったが、松嶋と同世代の視聴者にとっては、優香の考え方は理解しがたかったかもしれない。

そうしたなか、進藤にスパルタ式に育てられ、進藤に真正面からぶつかり、時には反抗していた楓が、2026年版で若手とどう向き合うのかが気になる。

さらに、2026年版では働き方改革も重要なテーマとなるという。第2シリーズ(2001年)では、医局長・小田切薫(渡辺いっけい)が救命チームや患者のために身を粉にして働き続けた末、過労によるくも膜下出血で命を落とした。理想を高く掲げ、他者の利益のために全力で奮闘する者が、自らを犠牲にしてしまう現実は痛ましく、やりきれない。
令和の今もなお、医師の過労死という悲劇は後を絶たないが、2026年版では働き方改革が求められる救命救急センターがどう描かれるのだろうか。

◆異彩を放つ"医療ドラマの金字塔"

今も、医療ドラマは人気が高く、ほぼ毎クールどこかの局で放送されている。そうしたなかにあっても、『救命病棟24時』は異彩を放っているように感じる。

というのも、本作が誕生した1999年は、『やまとなでしこ』や『ラストクリスマス』(ともにフジテレビ系)が放送された時期に近く、"ドラマといえばフジテレビ"という時代だった。これらは恋愛をテーマに据え、都会の洗練された空気やバブルの残香を思わせる華やかさをまとった、おしゃれな作品だ。

『救命病棟24時』は緊張感に満ちた救命現場の描写と、人間ドラマとしての深みを最大の魅力としながらも、ロマンティックな要素を欠いていない。例えば、1999年版は、クリスマスイヴのイルミネーションが輝く街を、恋人と電話を交わしながら歩く楓の姿から幕を開ける。

また、進藤は植物状態となった妻・早紀(高田美佐)と常に一緒にいられるよう、24時間体制の救命病棟での勤務にこだわり、空き時間があれば彼女のもとに行き、寄り添っている。切なくも、愛情がにじむそうした場面が、観る者に感動を与えた。

本作は放送される時代によって、楓や進藤の前に立ちはだかる壁は変わっても、患者を第一に考え、人の命を救うという思いは変わらない。「1万回ダメでも1万1回目は何か変わるかもしれない」という不屈の精神は、頑張ることを冷ややかに見る風潮があり、何事も諦めがちな今だからこそ響くのだろう。

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