【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#91
5人目のビートルズ~エリック・クラプトン
◇ ◇ ◇
ジョージ・マーティン、ブライアン・エプスタインに続く「5人目のビートルズ」、3人目はエリック・クラプトン。
実は、彼が参加したビートルズの曲は、たった1曲、アルバム『ザ・ビートルズ』(1969年=通称「ホワイト・アルバム」)収録の『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』だけ。
ギターの心得のある読者の中には、クラプトンの弾く、あの印象的なギターソロをコピーした人も多いのではないか。
レスポールという銘柄のギター特有の何とも太く色っぽい音で奏でられる、まさにギターが「ウィープ」=泣いているようなソロ。
実は、私も何百回とコピーした。フレーズ自体は決して難しくはない。しかし、あの何ともいえないチョーキング(指板上の指で弦を引っ張って音程を上げること)やビブラート(同じく指で弦=音程を細かく揺らせること)の味わいはそう簡単に出せるものではないのだ。私の場合はギターが「ラーフ」=笑っているようなソロになってしまっていた……。
この『ホワイル・マイ・ギター~』録音後、クラプトンは、あのソロを演奏したレスポールを、ジョージにプレゼントしたのだという。またジョージは、お返しという感じで、当時クラプトンが在籍したバンド=クリームのラストアルバム『グッバイ・クリーム』(69年)に『バッジ』という曲を提供する(クラプトンとの共作)。2人の仲の良さがうかがえる話だ。
そして71年、ジョージがニューヨークで開催した大規模チャリティーライブ「バングラデシュ難民救済コンサート」で、2人は、この曲を共演。「永遠のギター・バディー」と思われたのだが……。
好事魔多し。
しかし89年、結局パティと離婚したクラプトンが、91年にジョージと一緒に来日、コンサートで共演するのだ。
私も東京ドームでの公演を見たが、何とも不思議な気持ちがしたものだ。「日本で例えるなら後藤次利と竹中直人の共演?」などと、余計なことを考えながら(すいません)。
ジョージとクラプトン、やはり、本当に仲がよかったのだろう。まさに「永遠のギター・バディー」だったのだ。
▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966‐2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。

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