【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#117


 アルバム『イエロー・サブマリン』(1969年1月17日)②


  ◇  ◇  ◇


■『オンリー・ア・ノーザン・ソング』


 ジョージの作品。1967年のアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に収録予定だったが、結果的に没になった曲。

前回書いたように、私はなかなかいい曲だと思っているのだが。


『サージェント・ペパーズ~』には約5分と長ったらしいジョージ作『ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー』なんかより、こちらを入れた方がよかったのではと思うぐらいだ。


 録音は67年前半。いかにも67年という感じのサイケデリック・サウンドになっている。それでいて『ウィズイン・ユー~』や『ブルー・ジェイ・ウェイ』などのような小難しさもなく、アンミカ風に「ええやん!」と言いたくなる。


 ちなみに「ノーザン・ソング」とは、ビートルズの当時の著作権管理会社「ノーザン・ソングス」から来ている。つまり「オンリー・ア・ノーザン・ソング」とは「しょせんビートルズの歌なんだから」という意味なのだ。【オリジナル記事で試聴する


 ジョージはこの会社に、元々いいイメージを持っていなかったのだろう。用意周到、すでに64年の段階で自分用の著作権管理会社を設立していた。


 その名は「ハリソングス」。こちらはアンミカ風に「そのまんまやん!」と言いたくなる。


■『オール・トゥゲザー・ナウ』


 日本の(ちょっと年かさの)音楽ファンにとって、このタイトルは懐かしい。

85年6月に国立競技場で開催、吉田拓郎からユーミン、佐野元春、サザンまで、当時の日本の人気音楽家がまさに「オール・トゥゲザー」した大規模コンサートのタイトルだからだ。


 個人的にはあまり乗れなかったアニメ映画『イエロー・サブマリン』だが、この曲のシーンはリアルに覚えている。アニメにもかかわらず、最後に実写のビートルズが登場するのだから。


 ちょっとした小芝居をした後、この曲が流れるのだが、さらに印象的なのは「オール・トゥゲザー・ナウ」という言葉が、各国語に翻訳されて、黒バックに白字で、大きく映されること。


 例えば中国語だと「現在大家一齊唱」なのだが、もちろん日本語でも訳される。


 さて、ここでクイズです。「オール・トゥゲザー・ナウ」は映画の中で、どんな日本語に訳されるでしょうか。それでは皆さん御一緒に、考えてみましょう。


 正解はこの記事のどこかに、というか、この文の直前に。


▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966‐2023」など。

半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。


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