【再発見 ちょうど10年前のテレビ】#21


 今からちょうど10年前の9月、元気な刑事ドラマが始まった。唐沢寿明窪田正孝のコンビによる「ラストコップ episode0(ゼロ)」(日本テレビ系)だ。


 もともとはhuluで配信されたオリジナルドラマだが、この年の10月から地上波で放送することになった。そこで9月中に「エピソード・ゼロ」と称する3回分を流し始めたのだ。いわば前哨戦であり、壮大な予告編でもあった。


 30年前の事件で昏睡状態に陥っていた横浜中央署の刑事、京極浩介(唐沢)が目覚めて復活する。コンビを組まされたのは、年齢もタイプも異なる望月亮太(窪田)だ。


 まずは2人のボケとツッコミが見どころのひとつとなっている。最大のウリは“昭和の刑事(デカ)”である京極の破天荒ぶりだろう。暴走ともいえる強引な捜査。当時の刑事ドラマにしては珍しく、しっかりドンパチ(発砲シーン)もあった。


 連発される親父ギャグは困るが、京極は結果を出す男だ。唐沢は、同じ2016年のNHK朝ドラとと姉ちゃん」の天才編集者・花山とは真逆となる、コミカルなキャラクターを喜々として演じていた。


 また、京極の元妻(和久井映見)が後輩刑事(宮川一朗太)と再婚していたり、一人娘(佐々木希)は京極が実の父親だと知らなかったり、捜査以外の設定も抜かりない。

さらに脇役も豪華だ。県警本部長が小日向文世。京極と対立する警視正には藤木直人などが配されている。幅広い層が楽しめる、日テレ版「相棒」を目指したような一本だ。


 見る側にとっての京極は、ちょっと困った珍刑事という印象だったが、唐沢自身は本作での刑事役が楽しかったのだろう。この後も刑事ドラマに出続けていく。


 19年の「ボイス」(同)の舞台は、神奈川県警港東警察署「緊急指令室」。唐沢が演じたのは出動班の樋口だ。これまた絵に描いたような“昭和のデカ”で、直情径行&暴力上等の熱血漢。ニックネームは、やや恥ずかしい「ハマ(横浜)の狂犬」だ。樋口は48歳の設定であり、当時56歳だった唐沢が演じるのは、やや痛い感じだった。


 そして20年には「24 JAPAN」(テレビ朝日系)が登場する。

何とびっくり、アメリカの「24 -TWENTY FOUR-」の日本版リメークだ。本国でシーズン1が放送されたのは01年で、日本初上陸は03年。すでに17年が過ぎていた。この日本版に、出すべき時期を逃した「証文の出し遅れ」感が漂っていたのも仕方ない。


 ドラマ全体は、主人公の獅堂現馬(唐沢)をはじめとする登場人物も、物語の流れも、基本的にはオリジナルをなぞっている。しかし、何とも「ゆるふわ」な雰囲気は最後まで変わらなかった。とはいえ、キーファー・サザーランドが35歳で演じたジャック・バウアーを、57歳の唐沢が引き受けたこと自体、ある意味で拍手だ。どんな役柄にも全力でぶつかる、唐沢らしい役者魂だった。


(碓井広義/メディア文化評論家)


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