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最大の原動力は、日本車が容易に追随できない圧倒的コストパフォーマンスと先進技術の投入である。特にBYDは、EV製造コストの大部分を占めるバッテリーを自社開発・生産する「垂直統合型」モデルを確立している点が大きい。BYDの代名詞「ブレードバッテリー」はリン酸鉄リチウムイオン(LFP)技術を採用し、極めて高い熱安定性と安全性を誇る。交通事故などで強い衝撃を受けても熱暴走による火災リスクは低く、充放電サイクルは3000回以上とされる。
さらに車作りの思想の違いも、ダバオの若年層やアッパーミドル層を惹きつける要因である。日本車メーカーは熱帯環境や未舗装路でも「壊れない信頼性」を最優先に設計し、コストと耐久性の均衡を極限まで追求する。そのため電子デバイスを最小限に留める仕様も多く、例えばフィリピン仕様の一部日本車ではタイヤ空気圧警報システム(TPMS)が標準装備から省かれることもある。これに対しBYDやMGは車を「走る巨大なスマートフォン」と定義する。運転席には大型回転式タッチディスプレイが備わり、高度な運転支援システム(ADAS)、TPMS、安全装備、スマートフォンのワイヤレス充電機能などがエントリーグレードから標準搭載される。購入直後から後付け不要で先進的デジタル体験を享受できるパッケージは、テクノロジーに親しむ新しい中間層にとって日本車以上に新鮮で魅力的に映る。
さらにフィリピン市場で中国製BEVが持つ決定的強みが「V2L(外部給電機能)」である。ダバオを含む地方都市では台風による停電や慢性的な電力不安定に悩まされる。BYDをはじめ中国製EVの多くには大容量バッテリーから家庭用電気製品へ直接給電できるV2L機能が標準搭載される。
一方BYDがBEVで攻めるのに対し、ダバオで存在感を増すもう一つの雄MGは異なる戦略でSUV市場を攻略する。MGは英国由来のスポーツカーブランドだが現在は中国資本の上海汽車傘下にある。フィリピン消費者にとって「MG」という響きは欧州車的プレミアムイメージを喚起する。中国メーカーはブランド構築やマーケティングに長け、英国由来の洗練されたデザインを纏いながら中国の効率的サプライチェーンを活用した低価格SUVを投入した。これが「日本車とは異なるお洒落でコストパフォーマンスの高い車に乗りたい」という都市中間層の潜在需要に合致した。
ダバオの道路で中国車の存在感が高まっているのは事実だが、それが即座に「日本車の終焉」を意味するわけではない。長年フィリピンのモビリティ社会を支えてきたトヨタや三菱への信頼は依然として絶大である。悪路を走破する機械的タフさ、全国に張り巡らされた整備ネットワーク、高いリセールバリューは新興中国車が短期間で追いつけるものではない。「10年、20年と安心して乗り続ける」長期耐久性の実績において日本車は今なお圧倒的優位を保つ。
【編集:Eula】








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