フィリピン国内の燃料価格が2026年7月7日から再び改定され、軽油と灯油が1リットル当たり1.57~3.70ペソ値上げされる一方、ガソリンは最大1.75ペソの値下げとなった。現地主要紙『Philstar.com』(7月6日付)と『Inquirer.net』(7月7日付)によると、エネルギー省(DOE)が6日午後に発表した週次調整で、国際原油価格の変動を反映した「混合型改定」が適用された。
今回の改定は7月13日まで有効とされる。

その他の写真:イメージ

 DOEの最新報告によれば、軽油は1.57~3.57ペソ、灯油は1.70~3.70ペソの値上げが見込まれ、ガソリンは最大1.75ペソの値下げまたは0.25ペソの上昇と幅を持たせた調整となった。『Inquirer.net』は、エネルギー省石油産業管理局(OIMB)の資料を引用し、「国際市場の変動が落ち着き始めており、原油価格は80ドルを下回った」と報じた。エネルギー相シャロン・ガリン氏は「最悪期は過ぎた」と述べ、数週間から数か月で国内価格が安定する可能性を示唆した。

 一方、『Philstar.com』は、国内燃料在庫が46.50日分と比較的安定していることを伝えた。ガソリンは43.72日分、軽油43.81日分、灯油177.50日分、ジェット燃料84.93日分の供給が確保されているという。DOE次官アレッサンドロ・セールス氏は「ドバイ原油価格は戦前水準に戻ったが、軽油は依然として1バレル当たり22ドル高い」と指摘し、輸入依存構造が価格高止まりの要因だと説明した。

 フィリピンでは、燃料価格の決定に「Mean of Platts Singapore(MOPS)」という国際指標が用いられている。これはシンガポール市場で取引される精製燃料の平均価格を基準とするもので、国内販売価格はこの指標に連動する。日本のように元売り会社が卸価格を提示し、販売店が競争的に価格を決める仕組みとは異なり、フィリピンでは輸入業者と精製業者が直接価格を設定するため、国際市況の影響が即座に反映されやすい。

 今回の値上げは、特に物流業界や公共交通機関に打撃を与えるとみられる。軽油はバスやトラック輸送の主要燃料であり、地方都市では発電機や漁船にも広く使われている。
灯油の上昇は農村部の生活費を押し上げる要因となる。一方、ガソリン値下げは都市部の自家用車利用者に一定の緩和効果をもたらすが、全体としては物価上昇圧力が続く見通しだ。

 ジェット燃料については、DOEの在庫報告で84.93日分の供給が確認されているものの、航空業界関係者は「7月下旬以降の補給契約が不透明」と懸念を示している。『Cebu Daily News』(7月6日付)は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦からの直輸入比率が30%に達していると伝え、供給安定化の兆しを報じた。しかし、国際輸送コストの上昇が続いており、航空燃料価格は依然として高水準にある。

 フィリピン政府は、燃料価格の透明化を進めるため、週次報告制度を強化し、各社の調整幅を公表する方針を示している。エネルギー省は「市場安定化の兆しが見え始めた」としつつも、輸入依存体質の改善が不可欠と強調した。今回の改定は、国際市況の緩和にもかかわらず、国内経済が依然として外的要因に左右される現実を浮き彫りにしている。
【編集:Eula】
編集部おすすめ