2026年7月8日、台湾当局は、中国が台湾周辺や日本・フィリピン近海で常態化させている海警局(沿岸警備隊)などによる「グレーゾーン戦術」について、国際社会に強い危機感を示し、このまま見過ごせば中国に有利な「新たな現状(ニューノーマル)」が既成事実化されると警告した。武力攻撃には至らないものの、威圧的行動を執拗に繰り返すことで相手を疲弊させ、実効支配を拡大する中国の手法に対し、台湾は各国との連携強化を模索している。


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 台湾有力紙「自由時報(Liberty Times)」によれば、国家安全会議の高官は記者会見で、中国海警局の大型巡視船や海上民兵が乗船する漁船が金門島周辺の制限水域に頻繁に侵入している現状を説明した。同紙は「中国は軍事力と法執行機関の境界を意図的に曖昧化し、台湾海峡のみならず東シナ海や南シナ海で国際法を無視した独自管轄権を主張し始めている」との発言を引用し、事態の深刻さを強調した。台湾当局はこれを偶発的摩擦ではなく、国家戦略に基づく「グレーゾーン戦術」の典型例と断定し、連日の警戒監視による負担増にも言及している。

 グレーゾーン戦術とは、平時でも有事でもない中間領域で相手国に圧力をかける手法を指す。中国は人民解放軍を直接前面に出さず、重武装化した海警局船舶や政府支援を受けた漁船団を動員することで、反撃や国際社会の軍事介入を巧妙に回避している。台湾当局が最も懸念するのは「茹でガエル効果」である。小規模な領海侵入や挑発が日常的に繰り返されることで、周辺国や国際社会の感覚が麻痺し、関心が薄れる。その結果、国際法上認められない中国の実効支配が「新たな現状」として定着する危険性がある。

 台湾はこの脅威が台湾単独の問題ではないと訴える。尖閣諸島周辺での中国公船の連続侵入や、南シナ海でフィリピンの権益を妨害する体当たりや放水銃の使用も同じ戦術の一環だ。中国は広域で同時にグレーゾーン戦術を展開し、各国の対応能力を分散させるとともに、国内世論に疲労や諦めを植え付ける「認知戦」を仕掛けていると台湾側は分析する。

 自由時報はさらに、国防部シンクタンクの最新分析を紹介。
中国は2024~2025年にかけて海警局の権限を拡大する国内法を施行し、自国管轄と主張する海域で外国船の拿捕や立ち入り検査を可能とする法的根拠を整備した。これは「法律戦」との組み合わせであり、グレーゾーン戦術を正当化・強化する動きとして警戒されている。専門家は「国際社会がこれを些細な地域問題と過小評価し、非難声明や対抗措置を怠れば、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序は根本から崩壊する」と危機感を示した。

 台湾当局は具体的対応として、関係国間での海域情報共有、沿岸警備隊の合同訓練拡充、不審な海上民兵を監視する衛星ネットワーク構築を提案。特に米国、日本、フィリピンなど民主主義国が台湾との安全保障連携を実務的に引き上げ、中国の戦術に対抗する統一基準を早急に設ける必要性を強調した。武力行使というレッドラインを越えずに侵略を進める中国の戦術に対抗するには、国際社会が「新たな現状」の既成事実化を絶対に容認しないという意思を持続的かつ連携して示すことが求められている。
【編集:af】
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