夏休み映画シーズンに、異常事態が走った。公開直後の作品が次々と劇場から姿を消す――わずか数日の間に複数の話題作が撤退を余儀なくされる前例のない事態だ。
これには、映画館の置かれた厳しい状況がある。インターネットの配信を通して映画を視聴する習慣が定着しており、映画館の存続が危ぶまれているからだ。経済メディア「21世紀経済報道」は、作品の出来や評価にかかわらず、興行成績が伸び悩めば即座に撤退を選ぶ“赤字回避の鉄則”が業界に蔓延していると報じた。南方娯楽網なども「市場は極端な売り上げ至上主義に支配されている」と指摘する。

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 今年の夏休み映画市場は約80本がひしめく苛烈な競争。四川広播電視台の公式SNS「四川観察」によれば、アニメ映画『悟空大聖』は公開から数日で興収15万元にとどまり、配給側は上映停止と宣伝戦略の再構築を迫られた。さらに、人気俳優・黄渤やウー・レイが出演したSF大作『群星閃耀時』も、封切りからわずか2日で撤退を決断。封面新聞によれば、制作費と宣伝費で約4億元を投じ、損益分岐点は10億元超。初動の失速が即、大赤字に直結する構造だった。

 数年を費やして制作され、映像美で高評価を得ていたアニメ『三国第一部 争洛陽』でさえ、公開16日で上映終了。製作側は「観客から好意的な声はあったが、今の市場環境では映画館に足を運ぶ余裕が失われている」と公式に吐露した。背景には、一部の超大作にスクリーンと観客が集中する“勝者総取り”の構造がある。


 360娯楽の解説記事はさらに冷徹だ。ネット上で高評価を得ても、劇場の上映スケジュールや割当率の維持には直結しない。上位作品が大半を占有し、その他は早朝や深夜の「幽霊場」に追いやられる。宣伝費は日々膨張し、初動で収益を確保できなければ公開継続は損失拡大を意味する。製作・配給はブランド毀損を覚悟してでも撤退を選ぶしかない。

 主要動画プラットフォームやニュースサイトでも議論が沸騰。公開中止の連鎖は、中国映画市場が「数字の論理」に完全に支配されている証拠だ。口コミで評判が広がる余裕は消え、巨額資金のプレッシャーの下、勢いを欠いた作品は即座に切り捨てられる。冷酷な仕組みが、次々と作品を土俵際から押し出している。
【編集:af】
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