小惑星「アポフィス」地球大接近まで1000日。世界76億人が観測可能。詳細マップを公開
闇と混沌の小惑星「Iアポフィス」のイメージ図 mage credit:Image credit: ESA-Science Office

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 エジプトの邪神の名を持つ小惑星「アポフィス」は、2029年4月13日(日本時間14日)に地球に大接近する。

 本日(2026年7月20日)の時点で残り1000日を切った。

 地球の上空わずか32,000kmの距離を通過するため、月はもちろん、静止軌道上の多くの人工衛星よりも近い距離だ。

 最近イタリアで開かれた国際会合で、世界人口の約90%にあたる776億人が肉眼で見られる可能性があることが示され、どの地域でどの時間に観測可能なのかを詳細に示したマップが公開された。

 この地図は現在ウェブサイト上に一般公開されており、日本でも4月14日の未明に観測のチャンスが訪れる。

エジプトの邪神の名を持つ小惑星「アポフィス」

 小惑星「アポフィス(99942 Apophis)」は、2004年に発見された地球近傍小惑星だ。

 名前は古代エジプトで闇と混沌を象徴する蛇神「アペプ」に由来し、「混沌の神」というニックネームで呼ばれている。

 アポフィスは細長いピーナッツのような形をしていて、最も幅の広い部分は約450mある。仮に地球に衝突すれば、都市を1つ消滅させるほどの大きさで、「潜在的に危険な小惑星」に分類されている。

 発見された当初の計算では、2029年に37分の1の確率で地球に衝突するとされていたが、その後の観測で軌道が正確にわかり、現在では2029年の衝突の可能性はほぼゼロであることがわかった。

 今後100年間は衝突の恐れがないことがNASA(アメリカ航空宇宙局)によって確認されている。

 衝突はしないが、大接近はする。

 アポフィスは2029年4月13日(日本時間14日)に地球表面から約32,000kmの距離を通過する。

 月までの距離の約10分の1で、高度約36,000kmを回る静止軌道上の人工衛星よりも内側だ。

 これほど大きな天体がこれほど近くを通過するのは、観測史上初めてのことになる。

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世界76億人が観測可能な場所と時間を示す詳細地図

 2026年6月18日から19日にかけて、イタリアのパドヴァ大学で世界の研究者が観測計画を話し合う国際会合「Apophis T-3 Years」が開かれた。

 会合では、地図製作者のマイケル・ザイラー氏と天文学者のリック・フィーンバーグ氏が、アポフィスをいつ、どこで見られるのかを1時間ごとに示した詳細な可視性マップを発表し、現在ウェブサイト上に公開されている。

 マップによると、アポフィスを肉眼で見られる状態は約7時間続く。

 日本時間4月14日の午前0時にオーストラリア上空で始まり、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、南米東部へと観測圏を移しながら、午前7時に北大西洋上空で終わる。

 観測圏に入る人数を合計すると、世界人口の約90%にあたる76億人が肉眼でアポフィスを見られる可能性がある。

 大陸の中で観測圏から外れるのは北米だけだ。

 マップ作成に協力したマサチューセッツ工科大学の惑星科学者リチャード・ビンゼル氏は、「アポフィスを目にすることは、宇宙の広大さの中で大勢の人が地球の規模を共有することができる、極めて貴重な体験です」と語っている。

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流星ではなく、ゆっくり動く小さな光の点

 肉眼で見えるといっても、空を切り裂く流星のような姿ではない。

 アポフィスは小さな光の点として、数時間かけてゆっくりと星空を横切っていく。

 ビンゼル氏によると、その明るさは北斗七星の星々と同じくらいで、「ゆっくり動く人工衛星のような、ささやかな星」に見えるという。

 最も速く動くのは最接近の前後で、1分間に満月の見かけの幅ほどの距離を移動する。

 実際に見られるかどうかは、晴れているか、街明かりが少ないかといった地上の条件に左右される。

日本での見ごろは2029年4月14日午前1時前後

 日本は観測圏の東の端にあたるため、見られる時間帯が限られている。

 マップを時間ごとに追うと、日本で観測できるのは2029年4月14日の午前0時から3時ごろまでで、高さと明るさのバランスが最も良くなるのは午前1時前後だ。アポフィスは南から南西の低い空に見える。

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 このときアポフィスの真下の地点での明るさは約4.5等星だが、真下から離れた日本ではアポフィスまでの距離が遠くなるため、これよりさらに暗く見える。

 4.5等星の時点で、街明かりのない暗い場所でようやく肉眼で見えるかどうかという明るさだ。確実に見たいなら、空の開けた暗い場所を選び、双眼鏡を用意しておきたい。

 アポフィスが最も明るくなるのは日本時間の午前5時35分ごろだが、そのころには日本から見て地平線の下に沈んでいるうえ、空も明るくなり始めている。

 最接近の瞬間となる午前6時46分も、日本では日の出の後になるため見ることができない。

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衝突の心配はなし。7500年に一度の観測チャンス!

 ビンゼル氏は会合の冒頭で、「アポフィスは安全に地球を通過します」という同じ言葉を3回繰り返した。

 20年以上の精密な観測に裏付けられた、絶対的な確信からの言葉だ。 

 NASAによると、このサイズの小惑星がこれほど地球に接近する現象は、平均して数千年に一度で、7500年に一度の機会とする見解もある。

 衝突の脅威が消えた今、アポフィスは科学者たちにとって、絶好の天体観測のチャンスとなっている。

 地球の重力が至近距離で小惑星にどんな影響を与えるのかを、目の前で確かめられるからだ。

 接近中、地球の重力はアポフィスの表面に地滑りを起こしたり、風化した表面の下にある新鮮な物質を露出させたりする可能性がある。

 カラパイアではアポフィスが接近時に変形する可能性についても以前紹介している。

 NASAの探査機「OSIRIS-APEX」もアポフィスに接近して構造と軌道を調べる予定で、国連は2029年を「小惑星認識と惑星防衛の国際年」と宣言した。

 ビンゼル氏は「アポフィスの接近は恐ろしいものではまったくありません。逆に宇宙に興味を持った若者の中から、宇宙研究の道に進む人が現れるかもしれません」と期待を寄せている。

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References: 2029 April 13 Apophis encounter — Eclipse Atlas[https://www.eclipseatlas.com/apophis]

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