故人の人格をロボットに移し存続させる「デジタルDNA」プロジェクト(アメリカ)
AI生成イメージ/image credit:youtube

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 死後も人格を存続させる方法があるとしたら、試してみたいだろうか。

 アメリカの退役軍人支援団体が、人の動きや記憶を記録して、人型ロボットに転送する「デジタルDNA」というプロジェクトを発表した。

 その内容は、ユーザーが存命中にセンサースーツを着用しておくことで、亡くなった後もロボットの姿で家族と交流を続けられるというもの。

 そのライセンス料は最長500年で100万ドル。日本円で約1億6000万円に相当する。

センサースーツで人格を記録する「デジタルDNA」

 退役軍人を支援するアメリカの団体「Veterans First for America」が、2026年7月26日、「QAIAx 4E HRRモデルシリーズ」というプロジェクトを発表した。

 説明によるとこのプロジェクトは、量子コンピューティングを基盤とするシステムで、亡くなった家族などの分身が、死後も人々と交流を続けられるようにするものだという。

 中核となるのは「デジタルDNA」だ。ただ、こちらのデジタルDNAというワードが意味するのは、一般に思い浮かべる生物学的な遺伝情報ではなく、ユーザーの人格や知識の再現に要するデータの集合、またはその記録技術を指す。

 実際の手順としては、ユーザーは生きてるうちにデータの記録媒体となるハプティックスーツ(触覚を再現する全身スーツ)を着ておく必要がある。

 このスーツは、40個のセンサーを備えており、着た人の動きや身体反応、バイタルサイン、専門的なスキルといった情報を記録するという。

データを人型ロボットに転送し信託や遺産管理で存続

 着用で集められたデータは、人型ロボット(ヒューマノイドロボット)に転送でき、ホログラムとして投影もできるそうだ。

 そのデータを、信託や遺産管理の仕組みを通じて、故人となったユーザーの家族、または生前の故人の所属団体が維持してゆくことにより、”故人の分身”ロボットが、人に何かを教えたり、働いたり、あるいは次の世代と交流し続けることが可能と説明されている。

 なおこのプロジェクト名は、あるロボット製品のラインナップに由来するとるみられるが、別の資料では「QAIAx 4E Series Forever Omni-AI Bot Series」とも呼ばれるなど、あいまいな部分がとにかく多い。

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いくら払えば個人が「復活」できるのか

 かなり大胆なプロジェクトだが、かかる費用もまた相当なものだ。

 提案されているライセンス料金は、100年間で約4800万円(30万ドル)、250年間で約9600万円(60万ドル)、500年間で約1億6000万円(100万ドル)とされている。

 QAIAx 4E HRRモデルシリーズの説明どおりなら、デジタルDNAでロボットの姿になったひいひいおじいちゃんから得意料理を教わる玄孫、という未来もありえるわけだ。

 発表によれば、退役軍人や障がいを持つ人向けの割引や免除措置も検討されているという。

 一般向けの予約の事前受付は2026年10月以降の予定だが、退役軍人向けの順番待ちはすでに7月から受付開始になっている。

 ビジネスとIT戦略の専門家、エンタープライズアーキテクトのXユーザーShakthi Vも2026年7月28日にこの話題を取り上げていた。

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AIシティ構想が報じられるも未検証の部分も

 このプロジェクトは「QAIAx」というブランドの一部でもある。同ブランドはAIが自治体運営を担う「マイクロシティ(Microcity)」を300か所設ける構想も並行している(呼称が統一されていないため、本記事では便宜上「AIシティ構想」と呼ぶ)。

 その都市の住民は最終的に100万人にのぼるとされるが、今回のデジタルDNAの人型ロボットとの関係はわかっていない。

 一方でこの技術(デジタルDNA)は、国立衛生研究所に登録された「QAIAx AIシティプロジェクト」のもと、アメリカおよび軍事の領土内に建設されるスマートシティで活用される予定、とも報じられている。

 それほどの規模の話となると、裏付けも気になるが、発表の出どころは、査読済みの学術論文などではなく、プレスリリース止まりのもよう。

 米国政府の臨床試験のデータベースに登録中らしき形跡もあるが、いずれも申請・出願の段階にすぎず、審査や科学的な正当性など確認できていない。

プロジェクト名がタイトルの動画はAI生成のみ

 情報が乏しい中、数少ない手がかりの一つが、2026年6月26日にユーザーVeterans First for Americaが、YouTubeへ投稿した「QAIAx Microcity – AI City Hall Project(Clean Air – Video Clip)」というタイトルのごく短い動画だ。

 そこには、いかにも未来な風景を背景に、人型ロボットと歩く男女の姿があり、女性が、空気がきれいだと感動した様子で話していた。

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 動画はたった8秒。ほかにこれといった手がかりもなさそう。また投稿者自身が、音声と映像の一部または全てをAIが生成・加工したものだと明記している。

 しかも再生回数は今のところ(2026年6月31日時点)231回。

 そもそもこのユーザーが、この構想にどこまで関係するかという点からして不明だが、100万人規模の住民を集める計画にかかわる映像としては、心もとない数字だ。

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「デジタルDNA」は故人自身か

 生前のデータを集めてよみがえらせる、という発想なら、これまでも、故人をAIチャットボットとして復活させる技術死者を蘇らせることができるAIツール、2023年末までに亡くなった人の意識をコンピューターにアップロードできるというAI専門家の主張があったわけだが、人型ロボットが発展してきた今日において、今回の構想はもう一歩進んだ3D化にあたる。

 ただ仮に「デジタルDNA」が実現したとして、人型ロボットに宿るのは、40個のセンサーが記録したデータの集合体であり、再現といっても動きや話し方程度にとどまるような予感。

 その様子を目にした家族が、ある程度の懐かしさを覚えるかもしれないが、どちらかというと二度目の喪失感に打ちひしがれる家族のほうが多そうだ。

 自分自身や愛する人の存続を願う想いは、はるか昔からある。ただ今のところ、このふんわりした構想に大金を払い、ガチで期待をかけるのはさすがに厳しい気がするよ。

References: New 'Digital DNA' project aims to keep human identity alive in humanoid robot after death[https://interestingengineering.com/ai-robotics/new-digital-dna-project-humanoid-robot]

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