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“夢(バーチャル)と現実(リアル)を飛び越える運命共同体(バンド)”と銘打ち活動する次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発の5人組バンド、夢限大みゅーたいぷ(通称:ゆめみた)が、ついにアニメの世界へと飛び出した。現在放送中のTVアニメ『バンドリ! ゆめ∞みた』では、これまで2DCGアバターを用いた配信活動やリアルでのライブ活動を行ってきたゆめみたの面々が、アニメのキャラクターとして活躍。
今回は新しい挑戦と波乱尽くしのストーリーで話題を呼んでいる本作について、ゆめみたメンバーの仲町あられ(Vo.)、宮永ののか(Gt.)、峰月 律(Gt.)、藤 都子(Key.)、千石ユノ(DJ&Mp.)に直撃。これまでの物語の振り返りやアフレコのエピソード、主題歌や挿入歌といった音楽面の魅力やこだわりまでたっぷり語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
バーチャルとリアルを飛び越えるゆめみたならではのアニメ
――TVアニメ『バンドリ! ゆめ∞みた』、初回の3話一挙放送ではXの世界トレンド1位になるなど、放送開始からネットやSNSを中心に話題になっていますね。
藤都子 3話一挙放送の時は、スタッフの皆さんもいるなかみんなで一緒に観ていたんですけど、正直、最初は現実味がなくて。でも、たくさんの人たちがXでコメントしてくれているのをリアルタイムで見て「あ、本当に放送されてるんだ!」って実感しました。世界トレンド1位も何かの間違いだと思ったら、本当にたくさんの人たちが観てくださっていてありがたいです。今も、毎回放送の度にトレンド入りさせていただいていて。
宮永ののか アニメ用の「#アニメゆめみた」っていうタグがあるんですけど、この前もそれとは別に「みゅーたいぷ」というワードがトレンド入りして。みんないろいろポストしてくれていて嬉しいです。
峰月律 毎回トレンドをチェックしているんですけど、「ビオラ」はいつも上の方にいて……。
一同 (笑)。
――ビオラ人気がゆめみたを引っ張ってくれていると。
峰月 引っ張ってくれているのかなあ(笑)。(バンドリ!の)公式アカウントが乗っ取られてアイコンがビオラになったりしたので。
千石ユノ でも、一挙放送以降も観てくれている人が徐々に増えてくれているのを感じていて。普段、あたしたちがやっている配信に来てくださる方の中にも、知らない名前を見る機会が増えていて、嬉しいなと思います。
仲町あられ それで言うと、アニメからぼくたちのことを知ってくれた方も、元々ライブや配信でリアルのぼくたちの活動を知っていた方も、どちらもぼくたちの存在自体に「困惑」みたいなものを抱いているように感じていて。でも逆に、その困惑を楽しんでもらいたいなと個人的に思っています。ちょっと特殊なぼくたちの存在とか在り方自体を新しいジャンルとして楽しんでもらえたらすごく嬉しいです!
――今はアニメのキャラクターとしての軸と現実の皆さんの活動が併走しているわけですが、従来のファンはアニメを観てどんな反応なのでしょうか。
仲町 それはみゃーちゃんが一番感じてるんじゃない?
藤 でも、私のファンは、あんまり言ってくれないんですよ。割と切り分けてアニメを観ている感じの人が多い気がする。
千石 あたしも完全に切り分けて観てくださる方が多くて。「アニメのユノちゃんはこうだったね」みたいな感想を言われたりはします。結構きっぱり分かれているかも。
峰月 私は結構一緒かもしれないです。私、すごく食いしん坊なので、アニメで食べ物ネタが出るようになってから「こっちが本当のりっちゃんだよなあ」って喜んでました(笑)。逆に優等生キャラだった時は「これは別人だろ」みたいな感じで。
仲町 ぼくのところは逆に、アニメではビオラからの攻撃を一番食らっているので、「あられちゃんが攻撃されているみたいで悲しい」みたいな感じで感情移入してくださる方が多くて。「観るのが辛い」とも言われるんですけど「いや、楽しんで!」って(笑)。だから、ぼくは、みんなからの反応を「困惑」って感じちゃうのかもしれない。
藤 確かに。私も今のところビオラに騙されているような描かれ方をしているので、そういう反応は多いかも。
宮永 アニメがわたしたちの配信の要素や性格を拾ってくださっているので、元からのファンの人がアニメを観たら「あ、これ配信で見たやつだ!」ってなるし、アニメから入った人が配信を観て「アニメでもギター配信やってたけどそのままだ!」ってなるのが面白くて。「アニメでしゃべってた子たちが本当にしゃべってる!」みたいな感じで、どっちから入ってもそれぞれに面白さを感じてくれているなーと思います。
仲町 そうそう、多重構造みたいになっているよね。
千石 配信していて「初見です!」とか言われると、拾ってコメントを返したりするので、そこで「通じる」のが多分、不思議な感覚なんだと思います。
――そうか、普通はアニメの中にいるキャラクターと対話することはないですものね。
峰月 でも、私の場合、アニメから入った人から困惑されることが多くて。私自身がアニメとは真逆すぎるので、「もうちょっと優等生かと思ってた」とか「初見ですが、間違えました」って言われて。
一同 (爆笑)。
峰月 それで思い出したかのように優等生キャラに戻ったりするっていう、ネタになってしまいました(笑)。
――この間、律さんの「壺おじ」配信(【Getting Over It 】優等生なので、壺おじをします【峰月律/ゆめみた】)をたまたま観ましたけど、優等生キャラは完全に崩壊していましたからね(笑)。
峰月 あれはちょっと……。
仲町 いやー面白かった。めっちゃりっちゃんのいいとこ出てたし、ぜひ観てほしい。
宮永 うちのお父さんがずっと見てるみたい。
一同 (笑)。
宮永 なんか車の中とかでずっと流しているらしくて、「りっちゃんの壺おじ動画がすごい伸びてる。今、再生数が3万回に到達してるよ」とか言って。
峰月 めっちゃ見てるじゃん!「動画を観ながらお酒を8缶飲み終えました」ってコメントしている人もいて。「私、おつまみの代わりにされてるやん!」って思いました。私は記憶がないんですけど。
ビオラへのお気持ち表明!? メンバーが振り返る個人的ベストカット
――ここまでのアニメの放送を振り返って印象に残っているシーン、個人的ベストカットをぜひお聞かせください。
仲町 ベストカットかあ……たくさんあるから迷っちゃうよね。
藤 ベストかはわからないですけど、私の場合は第7話のあられちゃんと言い争う場面と、第8話のののちゃんと喧嘩するところですね。そもそも視聴者の方は、ビオラという存在がいるから、みゅーたいぷ内では揉めないという意識だったと思うんですよ。そんな中で、まずあられちゃんを傷つけ、翌週にはののちゃんに「嫌い」と言ってしまって(笑)。
千石 それで言うと、そんな中、第8話のラストで突然バンドを辞めるユノも。「お前もかい!」っていう(笑)。
一同 (笑)。
千石 7話放送時点では、ののかがみゅーたいぷをまとめてくれているし、ユノも安定してるから、観ている人たちは「ののちゃんとユノちは大丈夫そうだね」と言っていたにも関わらず、第8話で傷つけられてしまったののかと辞めちゃったユノ。みんな本当にびっくりしたと思う。
仲町 せっかく7話でみゅーたいぷの初ライブをやったのにね。
千石 ね。そこから何にもいい方向にいかなくて。
宮永 でも、わたしは第9話の「ののちゃんは大丈夫ですよ」はすごくお気に入りのシーンです。第9話のののかは自分が明らかに大丈夫じゃない状態になっているのに気づいてなくて、とにかく目の前にあるものをそのまま読んだり、言われたことをそのままオウム返ししたりすることが多くて。「ののちゃん大丈夫?」と訊かれたのに対して「大丈夫ですよ」ってそのまま返すのが、すごくののからしいなって思いました。
――確かに。オウム返しするところにもののかの素直なキャラクター性が表れていますよね。あられさんはいかがですか?
仲町 ぼくはあられ自身の心情表現が身体表現というか、全然人間じゃない形になって出てくるところが好きです。
千石 バレーボールになったりね(笑)。
仲町 そうそう。卵も好きなシーンだし、猫も、タコも、天ぷらも。「こんなに人間じゃなくなることあるの?」っていうくらい変な動きをするので、ちょっと好きなシーンがいっぱいあり過ぎです(笑)。
――あれ、なんで天ぷらなんですか?
仲町 いや、わからないです!みゅーたいぷの誰もわからない(笑)。
峰月 私は第5話であられちゃんが手を引っ張ってくれるシーンが大好きで。それまで優等生に徹していた律ちゃんだったけど、あられちゃんが引っ張ってくれたことによって、手を握り返したりするのが本当に良くて、泣きました。
仲町 いいよね。ぼくも大好き。
峰月 友情が再びっていう感じもすごくいいよね。あと、突然2人で『マジるる(マジカルフィジカル☆くるる)』のコスプレ姿になるところも好きです(笑)。
藤 あそこすごいよね。作画も手描きのアニメーションになって、めっちゃ気合いが入っていて。
千石 誰も触れてないけど、ビオラの顔芸もみんな好きなんじゃないかな。
一同 確かに!
千石 特に第3話の「みゅーたいぷ、とか」と第7話の「たまんなーい!」の二つは、やっぱり一番反響が大きかったんじゃないのかなって。みゅーたいぷも負けてられないなと思いました(笑)。
仲町 本当にすべてが見どころしかないので、「好きなシーンは?」って訊かれると本当に全部だなって感じちゃう。
宮永 かたっぱしから挙げていきたくなっちゃうよね。
――ちなみに皆さん、ビオラに対してはどんな感情を抱いていますか?この機会にお気持ちを表明してもらえればと思います。
藤 私は信じてるからな。
一同 (笑)。
――都子さんの立場だとそうなりますよね(笑)。
藤 もちろん。りっちゃんやあられちゃんはいろいろ言ってますけど、私は「好き」って言われたんで。「やっぱり俺のことが好きなんだな、特別なんだな」って、信じてます。ビオラさんと私は対等な存在だから。
峰月 怖い!(笑)。
宮永 最近の都子ちゃん本当に無双だよね。Xとかもすごくて、最高。
――ビオラとの夢小説みたいな二次創作を発信してますものね(笑)。
千石 本人がいる以上、どこまでアニメのことについて言っていいのかわからない、っていうファンの方もいるんですけど、藤都子さん本人がこの調子なので「あ、ここまでやっていいんだ……」って逆に引いている状況が面白いです(笑)。
藤 やっぱり圧倒されてるんだね、みんな。
千石 圧倒なのかな。あの都子ワールドには、まだ誰も踏み込めてないんじゃない?みんな蚊帳の外にいて、見るしかないから(笑)。
峰月 アニメのりっちゃんはビオラさんに対して「私はおもちゃじゃない」と言いましたけど、私は逆にビオラさんをおもちゃにしてやろうと思っていて。リアル律さんはビオラのことを大きな唐揚げ棒で殴っていきたいし、食いしん坊大会に一緒に出場して負けさせたいなと思っています。
仲町 それは自分のフィールドに持っていきすぎじゃない?(笑)。
峰月 でも、リアル律さんはアニメのりっちゃんとは違って、ビオラさんのことがすごく好きなんですよね。「この人、どういう動きするんだろうな」って、見てて面白いので。「おもしれー女」だなって思います。
――「おもしれー女」は別のバンドリ!アニメですけどね(笑)。あられさんはどうですか?ビオラにはかなり苦しめられていますけど。
仲町 アニメのあられとしては「負けないぞ!」だと思います。でも、ぼくもリアルあられとしては結構ビオラちゃんが好きで。あそこまで用意周到な行動は、かなりの感情やバイタリティがないとできないことだと思うんですよ。そういう熱があるのはすごくいいところだなと思っていて。それが悪意に向いちゃうと、まあ勘弁してくださいって感じなんですけど(笑)、熱い気持ちを持っている子は好きなので、「頑張れ、負けるな!」って応援しています。
千石 あたしの場合、今のところビオラとユノは全く関わりがないんですけど、おそらくビジネスパートナーになればすごく相性のいい二人だと思っていて。引きこもって作業を淡々とやるタイプのユノと、それを計画するタイプのビオラ。そこのシナジーがうまくいくコンビなんじゃないかなって。
――おもしろい見解ですね(笑)。
千石 みゅーたいぷ側の人間としては「もうやめてよ」という気持ちでいっぱいなんですけど、フェアリィブゥケにユノがいた世界線とかを想像してみると、案外うまくいってたんじゃないかなって。まあ、そのうち何かしら問題は起きていたでしょうけど(笑)。心の隙に付け込まれたらユノも弱いタイプだとは思うので。
宮永 わたしも接点がないので、ののちゃんとしては「ビオラちゃん?誰だろう?」って感じだと思います(笑)。わたしとしては魅力を感じる好きなキャラクターなんですけど、やり方がちょっとえげつないですよね。人の弱みに付け込んだり、人を揺さぶって思い通りに動かすみたいなのが、良くない!りっちゃんやあられちゃんたちがビオラちゃんに対してキャー!ってなってる時に、ののちゃんが割り込んでいけたらなーって思ってました。そうしたらまた違う展開だったのかなって妄想してます。
峰月 ののちゃんもビオラさんに利用されちゃいそうだけど。
仲町 でも、奇想天外で上回りそうじゃない?
藤 コントロールできないと思う、多分。
仲町 「この子は放っておこう」って思われそうだよね。
千石 その意味では、ののかはビオラ特攻かもしれない。悪意が無効になる、みたいな。
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「アニメ版ゆめみた」の演じ方と「リアルゆめみた」との距離感
――アフレコについてもお聞かせください。アニメ版のキャラクターを演じるうえで意識したこと、普段の自分との違いを感じたことはありますか?
仲町 ぼくは多分、アニメと普段の印象がメンバーの中では近いほうだと思うんですけど、根本がちょっと違っていて。アニメのあられは根っから前向きな子だと思うんですけど、自分自身は基本ネガティブだけど、それが非効率だからポジティブでいようとするタイプなんです。そこのプロセスは全然違うなと思いますし、アニメのあられはすごく素直で、受け取った言葉をしっかり受け止めて、感情を倍にして大きく増幅させるし、激しい起伏があるタイプなので、感情の源と道筋をブレずにいることを大事にしました。演じやすかったとは思うんですけど、ただ、めちゃめちゃうるさい!
一同 (笑)。
仲町 めちゃめちゃ早口でたくさん話すので、その意味での大変さはありました。でも、掘り下げ方はメンバーの中ではやりやすいほうだったのかも。
千石 あたしの場合、アニメのユノはしっかり一線を引くタイプだったので、普段メンバーと接している感じが出てしまうとアニメのキャラ感と違ってしまって。声のかけ方のニュアンスが少し難しい部分ではありました。アフレコでも「優しさが出てしまってる」と指摘されることがあったのが、演者として悔しくもあり、メンバー本人ならではの強みなのかなとも思いました。あとは、ぶっきらぼうに見えて割と気遣い屋さんで、自分とはちょっと違う繊細さを持っていて。言葉数が少ない分、言葉の節々にちょっとずつ気遣いなところが出ていたり、周りを観察している描写が多くて、愛おしさを感じながら演じていました。
――アニメだと、ユノさん本来のクールビューティーらしさみたいなものが出ているのかなと。
仲町 本来?(笑)。
千石 あたしも「これがクールビューティーか!」と思って。配信だと「自称クールビューティー」になっちゃっているので、アニメのユノちゃんを見習おうと思いました。
峰月 私は、最初は過去のことや辛いことを考えたりしていて、ビオラに何も言い返せないし、自分で行動できなくなってしまっているところが、昔の自分に似ているなと思って。普段の私は明るいんですけど、辛さも抱えつつの演技をすごく意識しました。お肉をいっぱい買ってくるシーンとかのコミカルな場面でも、テンションが高いと律のキャラが壊れてしまうので、抑えつつの演技が結構難しくて。
――当初、クレマチスとしてアニメに登場した時は、優等生という設定だったので、普段の律さんのイメージとは違っていて驚きました。
峰月 驚かれていた(笑)。私、優等生になりました!でも、後半からはおてんばっぽい一面も出てくると思うので。
仲町 もう十分出てるよ(笑)。
宮永 第7話でよだれもまき散らしてた。
峰月 前半と後半を比べると、最早別人だよね(笑)。あられちゃんに手を引っ張ってもらってりっちゃんは生まれ変わりました。
藤 私はアニメの都子と自分の違いをあまり感じてないので、役作りで困ったことはあまりなくて、割と素の自分の気持ちでやらせていただきました。都子は表情が豊かで、シーンごとにかなり気性のアップダウンがありますし、あとは「まるくん(都子の相棒のパペット/アバター)」も都子って噂があるので、その使い分けは難しかったです。特に言い争ったりするシーンは、声を張って怒鳴ることが、今まであまり経験のなかったことなのでちょっと苦労して。
仲町 めっちゃわかる。ぼくも第7話の怒りのシーンは、負の感情を人にぶつけるっていうのが人生経験上そんなになかったから、アフレコのときはちょっと不安で。ぼくの場合は「ふざけるな!」っていうセリフだったんですけど、その場の緊張感や瞬発力もあって、人生一番の「ふざけるな」を出せたと思ってます(笑)。
千石 ライブで「ふざけんじゃねーよ!」(ゆめみたの楽曲「ビッグマウス」の中で千石ユノが放つ言葉)と言い続けてきたあたしとは対照的だね(笑)。
藤 やっぱり人に自分のマイナスな感情をぶつけるのは怖いし、都子の場合は、そもそも自分の心の奥底の気持ちを吐き出すことが少ないので、自分の気持ちの柔らかい部分を開示していく感じが慣れない作業でした。
仲町 あのアフレコの帰り道、「今日の都子すごかったなあ」と思いつつも、勝手に気まずさを感じて(笑)。
宮永 そうだった!あられちゃんが帰り道しょげてたのを覚えてます。感情移入しちゃったから本当に辛かったって。かわいそうに。
藤 あられちゃん的には、自分が都子の一番のファンだと自負してたのに、それを否定されてしまったから。
仲町 「ぼくのほうが先に都子先生のこと好きだったのに」っていう喪失感が自分の気持ちと勝手にリンクして(笑)。
千石 失恋だ(笑)。
――ののかさんはアフレコの感想はいかがでしたか?
宮永 ののかは、パッと見の印象は普段の配信と近いのかなと思うんですけど、自分としては演じると人間味が多くなってしまうことに苦労しました。「ののかはもっと明るくて、人の話を聞かなくていいんだよ」と言われて(笑)。
一同 (笑)。
宮永 でも、わたしは演技って会話だと思ってるから「会話しないってどういうこと?」と思って。第1話の「マネージャーさん遅いね」というセリフも、ただ事実としてしゃべっている感じで、人間味を入れないように言われたのが最初は難しかったですね。あとはテストでアドリブを勝手に入れたら「良かったから本番でもそれでやってください」と言われたり。
――それは例えばどこですか?
宮永 第2話の、ユノちゃんAI説が出るシーンで、台本には「温かみのない返事」とあったんですけど、それを「あたたたかみのない返事」って「た」を一個増やして読んだんですよ。それがそのまま採用されました。ののちゃんって音でしゃべるだろうから、例えば「肩たたき券」とかも「あたたたたた」みたいな感じで、楽しくて一個増えちゃったりするのかなって。
――面白い発想ですね。
宮永 実はこれにはモデルがあって。自分の妹が小さい頃に何でも一個増やしちゃう癖があって。小さい子って聞いたものを音で覚えてしゃべったりするじゃないですか。私はののかのことを理想の萌えキャラだと思っていて、わたし、赤ちゃんっぽいものがすごく好きなんですよ。アニメのののちゃんは第1話の台本をもらった時から、赤ちゃんみたいな感じだったので、自分の理想がいっぱい入った萌えキャラだなと思って演じてました。
仲町 最初に台本をもらったときも喜んでたよね。
宮永 そうそう、「赤ちゃんみたい!嬉しい!」と思って。
田淵智也提供の爆発力満点なOP曲、子供から大人まで刺さるED曲
――楽曲も主題歌や挿入歌を含め充実していて。OPテーマ「これはぼくたちの生存のあらすじ」はUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんが作詞・作曲、PHYZとしてもTVアニメ『バンドリ! ゆめ∞みた』の音楽面をバックアップしている堀江晶太さんが編曲を担当したパワフルなナンバー。
仲町 本当にエネルギッシュすぎる曲。過去も未来も含めて常に今の話をしている感があって。
宮永 確かに!それだ!
仲町 この曲を通して一番大事なのは「自分はどう生きたいのか?」ということを、常に見続けられていることなのかなと感じていて。力強すぎて、眩しすぎて、ちょっと目を逸らしたくなるけど、ずっと向き合わなきゃいけないなって思いますね。
千石 アニメのOPテーマなのに“アニメじゃない実存でもない”と言っているのもすごくないですか?「じゃあ何なんだ?」っていう。それを明確に言わないところが、ゆめみたがこれまでやってきたことを表していて。
仲町 そう、ロックだよね。
千石 演奏しているとさらに解釈が生まれてくるというか、聴いている皆さんも咀嚼すればするほど味が出ると思うので、音楽も歌詞も読み解いていって、ゆめみたについての考えを深めていってもらえたら嬉しいです。
仲町 異質すぎるよね。核心をついていないのに核心しかついていないんですよ。最初は「どうしよう?」って思いましたもん。どの曲も魂を込めて向き合っているけど、「今の自分ではこの曲の最大限を引き出せないかもしれない」っていう焦燥感は、この曲が一番ありました。曲に込められた桁違いの熱量だけで、こちら側が勝手に変化させられるくらいのエネルギーを持っている。
宮永 歌詞全部がパンチラインでできてるよね。
峰月 わかる!どこを切り取っても衝撃の一言みたいな。“「ストーリーはいつでもぼくたちを中心に回ってる」”とか、さっきの“アニメじゃない実存でもない”もそうだけど、「いや、俺たちが正しいんで」というか「俺たちがゆめみただ!」みたいな感じが全面に出ていて。何回聴いてもまた最初から聴いてしまう、本当に大好きな曲です!
藤 “カテゴリは後から決まる”というのも、このインタビューの最初のほうでお話した、アニメなのか実際の人物なのかっていう私たちに近いのかなと思っていて。自動的に決まるというより「私たち次第」で書き換えていけるところ、未来を自分たちで決めていく意思表示のようにも感じられるところが好きです。
宮永 わたしはDメロ後半の“諦めはずっと悪いまんまでいい プライドはずっと貫く覚悟でいい”と2番の“阻む障害の数だけ強くなるわけじゃないと知っても いつの日か救ってくれるはずだ”のところが好き。自分の信念やプライドに正直であり続けていいんだ、と思わせてくれるし、“救ってくれるはずだ”というのも、自分の味方やいいことばかりじゃない世の中でも、自分が正しいと思うことを曲げずにやり続けていけば、いつかお天道様が見てくれるし、「誰かが絶対に見つけてくれるはず!」っていうリアルな気持ちが入っているのかなと思って。祈り、みたいな。
仲町 なるほどね。ぼくはこの“救ってくれるはずだ”というのは、「未来の自分が救ってくれるはずだ」っていう切実に祈りながら進む、決意のようなものだと感じていて。でも、お天道様や誰かに救いを求めるっていう解釈も正解だと思うし、それも含めて過去も未来も全人生を懸けて常に今の自分を見ているところが、この曲がすごくエネルギッシュな理由なんじゃないかなと思う。どんな解釈があってもいいし、だからバンドなんや!
宮永 思いはたくさん乗った方がいいからね。
――そしてEDテーマ「うちゅうのふしぎ」は、PHYZメンバーでもあるsabioさんが提供したキッズソング風の朗らかなナンバー。こういうEDテーマでくるとは思わずびっくりしました。
千石 今のところアニメは毎回不穏な終わり方をするので「えーっ!このテンションで!?」って思いながら聴いています(笑)。
仲町 より切なく感じるよね。
千石 そうそう。そんなのんきな場合じゃないから「置いてかないでー!」と思って。ゆめみたとしては、こういうほのぼのしたタイプの曲は今までなかったので、エンディング映像と合わせて聴くともっと楽しめると思いますし、フルで聴くとみんなのコーラスが入っていたりして、すごくかわいくてあたしも大好きな曲です。
――あの子供の歌声のようなコーラスは皆さんが歌っているんですか?
千石 はい。歌っています。
峰月 みんないろんなパターンで録ったよね?
仲町 元気そうな子、大人しめな子とか、3種類ぐらいしたね。
宮永 私もぶっきらぼうな感じとか、いろいろ歌った!
藤 私は児童書や子供向け作品が好きなんですけど、今回のエンディングはすごく童謡っぽくて、歌詞も平易な言葉で綴られているのがいいなと思っていて。なおかつ「うちゅうのふしぎ」とある通り、最初は素朴な疑問から入りつつ、宇宙の普遍性みたいなものを歌っている曲だと思うんですね。今までのゆめみたは同じ宇宙でもギャラクシーというか、カオスとかパワフルでエネルギッシュな宇宙だったと思うんですけど、この曲はエネルギーとしてはすごく穏やかで柔らかいけど、普遍的なところを歌っている点ですごく宇宙を感じる。違う方向から来た宇宙だなと感じました。
仲町 さすが言語化が上手い!(笑)。
峰月 きっと子供から大人まで幅広い年齢層に刺さる曲だよね。私の母は趣味でギターをやっているんですけど、最近「うちゅうのふしぎ」を弾き語りで演奏しだしたんです。なんかグループで老人ホームとかに訪れて大合唱する企画を考えているらしくて(笑)。
一同 えー!すごくいい!
峰月 おじいちゃんおばあちゃんまで、いろんな人たちに聴いてもらえる曲だなって思います。
宮永 わたしもこの曲を聴くと自分のピュアな心を思い出して、涙腺が熱くなる。sabioさんは、1st Album(『プログレス サイン』)に入っている「どんがらがっしゃん」という曲も作ってくださったんですけど、こういう子供の頃を思い出すような歌詞をあられちゃんが力強く、大切に歌ってくれているのが、スッと心に入ってきて、めちゃくちゃいい曲だなって思います。
――この曲のあられさんの歌、めっちゃいいですよね。最初は幼さを感じさせるタッチで入りつつ、だんだんソウルフルに色づいていくような感じで。
仲町 ありがとうございます(照)。レコーディングではいろいろ試したんですけど、この曲自体が持つ、一にして全というか、浮遊感みたいなところに自分も乗じて浮いていきたいなと思って。個人的には落ちサビの“いつかこんなちいさなうたは きみはきっとわすれちゃうけど ぼくはずっとおぼえているよ おとなになってもね”のところが好きで、ここは全部平仮名なんですよね。ぼくは普段、歌う時はパッションでいきたくなっちゃうタイプなんですけど、この曲に関しては、対面するのではなくて隣でありたいなと思っていて。温かみと同時にちょっと虚しさも感じるんだけど、その虚しさ自体も温かく包んでくれるような、それすらも覆してしまうようなパワーが、この曲にはあると思うので、それが伝わればいいなと思います。
次ページ:それぞれの覚悟と想いを示したライブシーンの楽曲&モーキャプ秘話
それぞれの覚悟と想いを示したライブシーンの楽曲&モーキャプ秘話
――第7話のみゅーたいぷによる初ライブのシーンでは、挿入歌「TearJerker」と「Face the Next」が2曲連続で披露されました。しかもハードコアなドラムンベース調の「Face the Next」はPHYZの白神真志朗さんとの共作という形で、あられさんが作詞、ユノさんが作編曲に携わっています。
千石 みゅーたいぷというかゆめみたの曲を書いたのは「チューニング」ぶりで2回目だったんですけど、「チューニング」の時は思いつきのまま書いてパッションのまま進めた曲だったので、今回は音楽のジャンルやその成り立ちの部分から勉強して作りました。ストーリーに合わせて「強い曲でいきたい」という方向性があったので、そこからジャンルを絞ったり、メロディラインも組み替えたりして。
仲町 「チューニング」の時はメロディラインだけが先に出来上がっていたもんね。ぼくの作詞の場合、もう1曲の「TearJerker」はどんな感じなのか、あえて全く知らされない状態で書いたんです。聴きたい気持ちもあったんですけど、きっと曲が寄らないようにご配慮いただいて。だから不安もありつつ、自分の気持ちだけでなく、アニメ軸の自分たちやみゅーたいぷのことも考えながら、すごく頭を悩ませて書きました。
――語気の強さという意味では「TearJerker」と割と近いところがありますよね。
仲町 でも「TearJerker」は力や思いの方向性が外向きだけど、「Face the Next」は内側に向いていて、芯にあるのは「自分がどうなっていきたいか」なんですよね。結局ビオラちゃんを乗り越えていくためには、そもそもビオラちゃんという存在を自分の中に置き続けないことが重要だとぼくは思うので。そこがいい差になったんじゃないかな。
宮永 確かに!「TearJerker」は外に向けて打ち返す感じなのに対して、「Face the Next」は内からの発散みたいな感じで、通る道筋が違うなと思いながら聴いてた。
――「Face the Next」のサビで繰り返される“強くなりたい”という言葉も、自分自身に向けたものですものね。
仲町 この曲はメロ先行で制作したなかで、メロディの持つリズム感も込みで一番発したい言葉としてうまくハマったのが“強くなりたい”でした。ビオラを攻撃したいわけではないし、かといって潰されたくもない。「あなたのことは眼中になくて、ぼくらはぼくらだから!」って自分は変わったことを示す意味での、宣戦布告の曲になったんじゃないかなって。
――逆にsabioさんが詞曲を手がけた「TearJerker」は「外野は黙ってろよ!」みたいな感じで、外に向けた攻撃性の強い曲ですものね。
千石 でも「TearJerker」の歌詞も“宣誓布告”と言っているんですよね、“宣戦布告”ではなくて。戦おうとしているわけではなくて、自分たちの誓いなので、そこもあられらしいというか、みゅーたいぷの在り方なのかなって感じました。
――それは気付きませんでした!ライブシーンと言えば、皆さんが自らモーションアクターを務めているのも大きなトピックです。
千石 モーションキャプチャーは、事前に立ち位置やカメラワークに関する打ち合わせをしたくらいで、動きの指定はなくて、ほぼ自由演技でやらせてもらいました。なのでそれぞれの動きの個性がしっかりと出ていて、普段ゆめみたのライブを観ている人は「いつものあの動きをやってた!」みたいな感じで気付いてくれていたのが嬉しかったです。
――第7話のライブシーンは都子さんの動きが見せ場たっぷりでしたね。
藤 ピアノなめなめ、腕ピン奏法、やりました!この2曲はあられちゃんたちのビオラさんに対する「自分たちは負けない!」という話の流れで披露されますけど、都子だけはその心情にはいなくて。私は完全に、ビオラさんに背中を押されてライブをしているので、その意味では「見てください、この輝きを!」ってアピールをしているんです。鳥が翼を広げて求愛するように、私は腕を伸ばし、ピアノにかじりついて、うっとりやらせていただきました。
峰月 あの動きはそういうことだったんだ(笑)。
仲町 実はぼくもそれを見て「あ、都子ちゃんノッてくれてる!」って感じで腕ピンしてるんですよ。
藤 あられちゃんはすごく板についていたけど、私の場合はアニメの都子も普段の私もライブでそんな動きはしないので、ちょっとぎこちないんですよね(笑)。
――あられさんが作詞、ユノさんが作曲した第8話の挿入歌「一番のひかり」のお話も聞きたかったのですが、そろそろ時間ということで別の機会に。最後に今後のアニメを楽しみにしている方たちに向けてメッセージをお願いします。
千石 あたしはみゅーたいぷをやめぴということで(笑)、あとは皆さん頑張ってという感じになっちゃったんですけど、ビオラとのこともまだ決着がついたわけではない状況のなかで、果たして最終的にバンドになれるのか。ここからそれぞれのキャラの良さもさらに濃縮されていくと思うので、ぜひ考察しながら何回でも見ていただきたいです。
藤 ライブをして輝いたはずが、自分がライブをしたいと言ったがゆえに炎上し、その鬱憤でののちゃんには「嫌い」と言い、りっちゃんちゃんには「ビオラに騙されている」と言われて、私は何を信じたらいいのでしょうか?藤都子さんは幸せになれるのでしょうか。きっと倒れる彼女ではないと信じて、今後も続きを見ていただければと思います。
峰月 解決したと思ってもまた事件が起こる波乱万丈な物語で、まだまだ何かが起こりそうな予感もしていると思います。その意味で本当にTVアニメ『バンドリ! ゆめ∞みた』からは目が離せない!ずっと「ゆめみたはこの先どうなっていくんだ?」ということを考えながら見ていただければと思います!
宮永 ののちゃんは、「嫌い」と言われてしまって、虚無になってしまって。「大丈夫」になってしまったののちゃんは、本当にこれから大丈夫になれるのでしょうか。いつもと違うののちゃんの、大丈夫の姿をご覧ください。
仲町 配信やライブ活動をしているぼくたちの要素もたくさん反映されているのがアニメのぼくたちと世界なので、より感情や行動に共感できる部分が大きいと思うし、いろんな世界が交錯して出来上がっているので、その不思議な感覚も全部ひっくるめて楽しんでいただけたら嬉しいです。今後も引き続き見逃すな~!
関連リンク
TVアニメ『バンドリ! ゆめ∞みた』オフィシャルサイト
https://anime.bang-dream.com/yumemita/
夢限大みゅーたいぷ
オフィシャルサイト
https://bang-dream.com/yumemita
オフィシャルX
https://x.com/BDP_yumemita
オフィシャルYouTube
オフィシャルTikTok
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