加速する円安。政府・日銀は4月末に11兆円超の為替介入を実施したものの、ついに1ドル=162円台約39年ぶりの円安水準となりました。

これを受け、東京商工リサーチが「円安」に関するアンケート調査を実施。近畿2府4県の952社の回答を分析したところ、望ましい為替レートは平均値「1ドル=137.2円」だったということです。

「1ドル=162.6円(7月1日時点)」と約25円乖離しています

<調査概要>
▼2026年6月1日~8日にインターネットによるアンケート調査を実施
▼有効回答952社を集計・分析
▼資本金1億円以上=大企業、1億円未満(個人企業等を含む)=中小企業と定義
▼前回調査は2024年7月2日発表
▼近畿2府4県=大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県を指す

以下、アンケートの結果とそこから見える景況感について詳しく見ていきます。

【Q1】今年5月末(1ドル=159円前後)の為替水準は貴社の経営にとってプラスですか?マイナスですか?

【39年ぶり歴史的円安】関西企業952社に聞く「経営にプラス...の画像はこちら >>

「マイナス」と回答した企業は、前回調査(2024年6月実施:1ドル=156円前後)の54.5%から大きく低下。「プラス」と回答した企業は、前回調査の5.0%から半減したということです。

<回答952社>
▼「プラス」2.52%
▼「マイナス」42.23%
▼「プラス・マイナス拮抗」16.60%
▼「影響はない」38.66%

「円安メリット」享受しにくい中小企業にマイナス影響

【39年ぶり歴史的円安】関西企業952社に聞く「経営にプラス?マイナス?」「望ましい円相場は?」規模別・業種別の調査で見えてきた“ホンネ”【東京商工リサーチ調査】
MBS

回答を企業の規模別に見ると、大企業より円安メリットを享受しにくい中小企業において「プラス」と回答する割合が減少していました。

▼「プラス」と回答した大企業 6.90%
 ⇒前回(7.2%)から0.3ポイント↓
▼「プラス」と回答した中小企業 2.24%
 ⇒前回(4.7%)から2.5ポイント↓

一方、前回と比べて「マイナス」と回答した中小企業の割合は大幅に減少。長らく続く円安に、中小企業側の対応が進んだことが伺えます。

▼「マイナス」と回答した大企業 41.38%
 ⇒前回(44.5%)から3.2ポイント↓
▼「マイナス」と回答した中小企業 42.28%
 ⇒前回(55.8%)から13.6ポイント↓

卸売業・製造業の50%以上が「円安が経営にマイナス」

産業別に見ると、「マイナス」と答えた割合が最も高かったのは、直接的に輸入物価上昇の影響を受けやすい次の2業種。共に50%を上回りました。

▼「卸売業」52.91%
▼「製造業」51.93%

次いで、卸売業を経由して影響を受ける「小売業」(47.82%)、燃料価格に収益が影響される「運輸業」(47.22%)が続いています。

【Q2】市場では政府による円買い・ドル売りの為替介入ラインについて、1ドル=160円程度と考えられています。貴社はこの介入ラインをどう考えますか?

【39年ぶり歴史的円安】関西企業952社に聞く「経営にプラス?マイナス?」「望ましい円相場は?」規模別・業種別の調査で見えてきた“ホンネ”【東京商工リサーチ調査】
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42.6%が「160円未満で介入すべき」と回答。160円台での介入は「遅すぎる」と考える企業が多いことが伺われます。

<回答689社>
▼「160円未満で介入すべき」42.67%
▼「160円未満で介入すべきでない」16.69%
▼「適切だ」40.64%

中小企業ほど円安抑制を切望

【39年ぶり歴史的円安】関西企業952社に聞く「経営にプラス?マイナス?」「望ましい円相場は?」規模別・業種別の調査で見えてきた“ホンネ”【東京商工リサーチ調査】
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模別で見ると、中小企業の43.21%が「160円未満で介入すべき」と回答。一方、大企業の57.89%は「適切だ」と回答したということです。

資金力・価格交渉力に劣る中小企業ほど円安抑制を切望している実態が浮き彫りになりました。

製造業・卸売業・不動産業が早期介入を求める

産業別で見ると、「160円未満で介入すべき」と答えた割合が高かったのは、次の4業種。

▼「製造業」50.62%
▼「不動産業」50.00%
▼「運輸業」50.0%
▼「卸売業」43.26%

輸入物価の高騰で円安自体がマイナスとなる「製造業」「卸売業」に加え、円安からの利上げがマイナス要因となる「不動産業」が早期介入を求めていることが分かりました。

一方、「金融・保険業」の75%が「適切だ」と回答。不動産業とは逆のベクトルが作用しているものと考えられます。

【Q3】 貴社にとって望ましい円相場は1ドルいくらですか?

【39年ぶり歴史的円安】関西企業952社に聞く「経営にプラス?マイナス?」「望ましい円相場は?」規模別・業種別の調査で見えてきた“ホンネ”【東京商工リサーチ調査】
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今回の東京商工リサーチのアンケートによると、企業が望ましいと考える為替レートの平均値は「1ドル=137.2円」。現状の為替レートと25円の乖離があります(回答501社)。

大企業と中小企業 大きな差は見られず

規模別に見ると、大企業の平均値138.7円で、中小企業の平均値は137.1円。

大きな差は見られませんでした。

運輸業は「1ドル=121.3円」を希望

産業別に見ると、希望為替レートの平均値が最も低いのは「運輸業」で「1ドル=121.36円」

次いで「不動産業」が「1ドル=133.95円」、「情報通信業」が「1ドル=135.26円」、「製造業」が「1ドル=136.20円」と続いたということです。

「これ以上の価格転嫁は顧客離れを招きかねない」

【39年ぶり歴史的円安】関西企業952社に聞く「経営にプラス?マイナス?」「望ましい円相場は?」規模別・業種別の調査で見えてきた“ホンネ”【東京商工リサーチ調査】
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政府・日銀の対応も空しく、7月1日時点の為替レートは「1ドル=162.6円」に。企業が求める為替レートとは約25円の乖離があります。

今回の調査では、前回調査(2024年6月)に比べ、中小企業でも「マイナスに影響」と答えた割合は低下したということで、価格転嫁など円安への対応が進んだことが伺えます。

一方、 長引く円安と輸入物価の高騰に対し「これ以上の価格転嫁は顧客離れを招きかねない」というジレンマも根深く、大企業を含めて円安を「プラス」とする回答は減少しています。

歴史的円安が逆風となりつつある中、収益確保と顧客維持の狭間で苦悩する企業に対し、政府の追加介入を含めた対応が注目されます。

(東京商工リサーチ『39年ぶりの歴史的円安介入想定ライン突破、企業経営に逆風~ 2026年6月「為替」に関するアンケート調査(近畿2府4県版)~』より)

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