取り調べで「検察なめんなよ!」

大阪地検特捜部の検事による”恫喝的な取り調べ“は犯罪にあたるのか。現職の検事が刑事裁判にかけられる「付審判」の第2回公判が、15日に大阪地裁で開かれました。

法廷では約1時間15分にわたって検事の取り調べの録音・録画の映像が再生され、記録されていた大きな声が法廷にも響き渡りました。

法廷に響いた1時間15分の「恫喝的映像」…現職検事が見つめた自らの姿

机を叩き怒鳴る特捜検事「検察なめんなよ!」法廷で再生された取...の画像はこちら >>

7月15日、午後2時ごろ、大阪地裁の201号法廷。被告の田渕大輔検事(54)は、初公判と同じ紺色のスーツに白いシャツ、紺色のネクタイを締め、裁判長に一礼して法廷に入りました。

田渕検事は、大阪地検特捜部に所属していた2019年12月、不動産会社「プレサンスコーポレーション」と学校法人との土地取引をめぐる巨額横領事件の捜査を担っていましたが、プレサンス社の当時の社長・山岸忍さん(63)の部下の男性(有罪確定)に対し、恫喝的・侮辱的な取り調べを行ったとして、特別公務員暴行陵虐の罪に問われています。

2回目の公判では、田渕検事が山岸さんの部下の男性に対し行った取り調べの録音・録画の映像の一部が流されました。

「検察の理念、これなんでできたかっていうと、特捜部が不祥事起こしたからできたんですよ」

机を叩き怒鳴る特捜検事「検察なめんなよ!」法廷で再生された取り調べの映像 1時間15分の記録が露わにした“恫喝的な取り調べ”は犯罪にあたるのか…現職検事が裁かれる異例の「付審判」【第2回公判詳報】
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2019年12月6日から9日までの4日間の取り調べを記録した映像で、その長さは約1時間15分に及びます。

田渕検事は自身の目の前にあるモニターを緊張した面持ちで見つめ、時折メモを取る姿も見られました。

12月6日の取り調べ映像(証拠採用 3分32秒)

(田渕検事)
「検察庁の中で、特捜部って名前だけは偉そうだけども、一番監視の目が強い部署なんですよ。一番窮屈な思いをさせられてる部署なんですよ」
「検察の理念、これなんでできたかっていうと、特捜部が不祥事起こしたからできたんですよ」
「検察官はああいう事件を教訓にね、絶対に次は失敗しないように注意しなさいと。無実の者を罰し、あるいは真犯人の処罰を免れさせることにならないよう知力を尽くして事案の真相解明に取り組む」
「被疑者、被告人の主張に耳を傾け、積極消極をとわず、十分な証拠の収集把握に努め、冷静かつ多角的にその評価を行い…」

自ら読み上げた“検察の理念”録音・録画は「私の監視の道具 でも一つも気にしない」

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そのうえで、録音・録画が行われていることにも触れました。

(田渕検事)
「上級庁からは厳しい目で見られるわけですよ」
「だから、こうやって録画・録音をしてるんですよ。過ち犯したりしないように、監視ですよ、監視、私の監視ですよ、これは。私の監視の道具」
「でもね、私は一つもこれ、気にしないもん。だって、私、言ってること、間違ってると思わないから

なめんじゃないよ」「なんでそんないい加減な弁解の説明、理由を説明するんですか」

12月7日は供述を変遷させる部下の男性に対し、机をたたき、大声を出すなどしました。

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12月7日の取り調べ映像(証拠採用:5分35秒)

(田渕検事)
なめんじゃないよ。(机をたたく)」
「場当たり的に取って付けた言い訳をしようとしてるから、そういうボロがでるようなことばっかり言うんでしょう」
「私はあなたの弁解、これだけしっかり聞いてるのに、なんでそんないい加減な弁解の説明、理由を説明するんですか」

そして前日に続き、「検察の理念」の”真相解明”や”主張に耳を傾ける”という部分を読み上げたうえで、次のように発言しました。

(田渕検事)
「あなたの主張に耳を傾け、冷静かつ多角的にその評価を行う。今、これやってるんだよ。これをやらないと間違えたら、罰してはいけない人を罰してしまう可能性があるからやってるんだよ。罰さなきゃいけない人間を逃してしまう可能性があるからやってるんだよ」
「そのあなたが否認してるから、その理由をちゃんと聞いて、で、こうして何度も話聞いてるのに、なんで説明しきれないんですか。おかしいでしょう。何でこんなところに止まらなきゃいけないんですか

「バンッ」机を叩き「ふざけるな!」 密室で続いた怒号

12月8日は取り調べ映像が約1時間と最も長く、男性が逮捕前に同僚らと口裏合わせをしていたと大声で怒鳴る様子もみられました。

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12月8日の取り調べ映像(証拠採用 57分51秒)

(田渕検事)
「嘘だろ。……今のが嘘じゃなかったら何が嘘なんですか?」
「バンッ(机を1度叩く)」
ふざけるな!
「もうさ、あなた詰んでるんだから。もう起訴ですよ、あなた。っていうか、有罪ですよ、確実に」「お試しで逮捕なんてありえないんだよ。俺たちは、そんないい加減な仕事はできないんだよ!! 人の人生狂わせる権力持ってるから!!
検察なめんなよ!命懸けてるんだよ、俺たちは!あなたたちみたいに金をかけてるんじゃねえんだ。

かけてる天秤の重さが違うんだ、こっちは」

「大罪人ですよ」「10億、20億じゃ済まない」トップの関与について執拗な追及

12月9日は山岸さんの関与を繰り返し確認し、男性に迫りました。

机を叩き怒鳴る特捜検事「検察なめんなよ!」法廷で再生された取り調べの映像 1時間15分の記録が露わにした“恫喝的な取り調べ”は犯罪にあたるのか…現職検事が裁かれる異例の「付審判」【第2回公判詳報】
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12月9日の取り調べ映像(証拠採用 9分)

(田渕検事)
「自分の手柄が欲しいがあまりですか? そうだとしたら、あなたはプレサンスの評判をおとしめた、世間の評判をおとしめた、大罪人ですよ
「会社がいろんな営業損害を受けたとか、株価が下がったとかということを受けたとしたら、あなたはその損害、賠償できます?10億、20億じゃ済まないですよね?それを背負う覚悟でいま話をしてますか?

この日=12月9日に男性は山岸さんが事件に関与したと供述。
これにより山岸さんも逮捕・起訴されましたが、のちに男性の供述の信用性が否定され、無罪が確定しました。

取り調べは「不適正」でも処分は口頭注意のみ

机を叩き怒鳴る特捜検事「検察なめんなよ!」法廷で再生された取り調べの映像 1時間15分の記録が露わにした“恫喝的な取り調べ”は犯罪にあたるのか…現職検事が裁かれる異例の「付審判」【第2回公判詳報】
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また、この日の証拠調べで、検察官役の指定弁護士は、今回の取り調べについて検察が監察を行ない「不適正」と認定していた事実を明らかにしました。

一方で、処分は最も軽い「口頭注意」にとどまり、当時の配属先だった東京地検が注意を行ったのみで、最高検や大阪地検は追加の措置は必要ないと判断していたことが分かりました。

取り調べの在り方 根底から変わるか

田渕検事は10日の初公判で「職務に基づき取り調べを行い、陵虐の意図は全くありません」と無罪を主張。

検察官役を務める指定弁護士は「裁判所がこの行為を犯罪と判断するかどうかが問われる裁判で、警察と検察を含め取り調べの在り方が根底から変わる」として、検察組織全体の問題だと主張しています。

次回の公判は8月24日で、事件の捜査を取り仕切っていた主任検事の証人尋問がおこなわれる予定です。

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