テノール歌手の秋川雅史(58)が、第110回「二科展」彫刻部門で、6年連続で入選した。

 歌手として長年にわたり第一線で活動する一方、彫刻家としても精力的に作品を制作している秋川。
現在は、1日のうち約2時間を歌の練習に、約6時間を彫刻制作に費やすなど、二つの表現に向き合い続けている。

 秋川の彫刻への原点は、幼少期から毎年参加してきた故郷・愛媛県西条市の「西条祭り」。祭りで街を練り歩くだんじりを彩る彫刻を身近に見て育った経験が、現在の創作活動にもつながっているという。

 今回出展したのは、日本のカブトムシとオオクワガタを題材にした。制作が冬だったため、実物を手に入れることが難しかったというが、昨年から昆虫サポーターを務めている福島県田村市に相談し、全長80ミリを超えるカブトムシを送ってもらい、自宅で飼育しながらつくった。

 作品では、カブトムシとオオクワガタがまだ触れ合う前の、一触即発の瞬間を表現。互いに相手を見据え、「次の一瞬に何が起こるのか」という緊張感を楽しんでもらうのが狙いだという。

 二科展は毎年秋に開催される日本を代表する大規模な公募美術展覧会。2日から14日まで国立新美術館で開かれる。秋川は今年、代表曲「千の風になって」のシングルリリースから20周年を迎える。9月29日には、東京芸術劇場コンサートホールで「秋川雅史コンサート~『千の風になって』20周年記念コンサート~」の開催も予定している。

 秋川は「木彫というと静かな芸術に見えるかもしれませんが、私が表現したかったのは、強さと美しさがぶつかる瞬間です。
子どもの頃に誰もが一度は想像した『カブトムシとクワガタが戦ったら、どちらが勝つのか』という少年時代のロマンを、一本の木から形にしました。歌と同じように、彫刻も自分の中にあるものを形にしていく表現だと思っています。これからも、自分が心から面白いと思えるものを、木彫という形で追求していきたいと思います」とコメントした。
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