■冷たいごはんが血糖値を抑える
仕事に出かけたとき、昼食はいつも飲食店での外食。こんな人は、血糖値を上げないようにするのに苦労する。一般的に、飲食店で提供される食事は糖質が多い一方、その吸収を遅らせる野菜は少ないからだ。
糖質の摂取過剰を一層進めるのが、外食では好きなものを食べたいという思い。このため満腹になりやすく、血糖値を上げやすいメニューを選びがちになる。
そこで、空腹に弱くて、食欲に負けてしまうタイプだと自覚しているのなら、弁当を持参することをおすすめする。弁当のごはんは当然、冷やごはん。でんぷんが血糖値を上げにくいレジスタントスターチに変化している。ごはんを少なめにして、野菜中心のおかずにすることもできる。外食と比べて、食後の血糖値を大分抑えられるはずだ。
弁当は体に良さそうだけど、ちょっとハードルが高い……。こんなふうに思う人は、昼食にコンビニ弁当を利用する手がある。
ただし、コンビニで弁当を買っても、店員に「温めますか?」と問われて、「はい」と答えないほうがいい。
■「大盛り」は我慢して、主食以外を食べる
「いいえ」と伝えて、そのまま買って帰る。温めないで食べると、冷めたごはんのレジスタントスターチが存分に働いてくれるからだ。
コンビニの弁当コーナーは、15~20℃ほどの温度設定になっている。冷蔵保存ではなく、常温保存なのだから、温めずにそのまま食べてもOKだ。温め直してもレジスタントスターチはかなり残っているが、まるごと摂取するのにこしたことはない。
とはいえ、おかずが脂っぽいものなら、しっかり温めないとおいしくない。脂の多い肉を使ったおかずや、カレーなどはこの食べ方に向かないので注意しよう。
炭水化物が大好きで、ごはんはおなかいっぱい食べたい。こんな人も、最近体重が増えてきた、あるいは成人病検診で血糖値に関する検査数値が気になってきたら、食生活を変えなければいけない。
とにかく、糖質の摂取を抑えるのが肝心。たまたま入った飲食店が、ごはんを無料で大盛りにできても、喜んで注文しないでぐっとこらえるべきだ。満腹感を得られないとストレスがたまりそうなら、主食以外のものを多めに食べるといい。
和食の店なら豆腐や納豆、おひたし、煮物といった小鉢、洋食の店の場合は野菜サラダやスープなどをプラスするのだ。ごはんや麺を多めに食べなければ、ほかの料理はたくさん食べてもOK。血糖値を正常に保ちたければ、とにかく外食で糖質を摂り過ぎないのが肝心だ。
外食で丼物を好む人は、食後の血糖値が高めなことが多い。
■カツ丼を食べたいなら「豚カツ定食」に
好きな食べものと血糖値の検査結果を照らし合わせると、こんな傾向が見えるかもしれない。丼物が血糖値を上げやすい理由のひとつは、ごはんの量が多めだからだ。
見た目ではわかりづらいが、じつは相当な量で、だいたい茶碗1杯半ほどもある。野菜が少ないのもデメリットで、カツ丼や牛丼にはほぼタマネギしか使われていない。海鮮丼では体にいい脂肪は得られるものの、野菜はほぼゼロだ。
おすすめは、丼物ではなく定食。カツ丼を豚カツ定食にすれば、大量のキャベツや味噌汁をいっしょに食べられる。どうしても丼物を食べたいときには、おひたしなどの小鉢をつけよう。
休日のランチでは、気軽にハンバーガーを食べたいと思うときもあるだろう。この場合、単品で済ますのはちょっと物足りない。サイドメニューで真っ先に頭に浮かぶのはフライドポテト。しかし、含まれている糖質量を知ると驚くのではないか。大手ハンバーガーチェーン店の栄養成分表で糖質量を見ると、定番のハンバーガーは28.7g。
これに対して、フライドポテトのMサイズは47.4g、Lサイズにいたっては59.7gとハンバーガーの2倍以上も多いのだ。セットにすると、絵に描いたような「糖質+糖質」メニュー。
■ファストフードの一番危険なドリンクとは
ハンバーガーといっしょに食べるのは、フライドポテトではなくサラダにしておこう。これなら糖質はわずかしかなく、食物繊維も摂れる。フライドポテトのセットと比べて、血糖値の上昇をぐっと抑えられそうだ。
ファストフード店で食べるときには、ハンバーガーなどに加えて、サイドメニューとドリンクをつけることが多いだろう。こうした気軽な外食で、意外に見過ごされがちなのがドリンクに含まれている糖質だ。
なかでも最も要注意なのが、甘くてクリーミーなシェイク系のドリンク。Sサイズでさえ、40gを超える量の糖質が含まれている。これは角砂糖に換算すれば、10個以上もの糖質量だ。さらに、Mサイズなら70gを軽くオーバー。Lサイズをすべて飲むと、100g近くもの糖質を摂取することになる。
液体に含まれている糖質は、胃をあっという間に通過。
■糖質制限したい人におすすめの外食先
家での食事では、工夫して糖質を抑えられるけど、仕事がある日のランチは難しい。ごはんを残したり、麺類を食べる回数を減らしたりするほかに、無理なく実行できる対策はないか……。こう思っている人に、おすすめの食事場所を提案しよう。ファミリーレストランでランチを食べるのだ。
糖質制限のダイエットがクローズアップされたころから、ファミレスなどの飲食チェーンでは低糖質メニューを多く提供するようになってきた。そういった店で食事をすれば、何を食べればいいのかと、それほど悩まないで済む。メニューに糖質量が表示されている場合は、少なめのメニューを選べばいい。主食抜きでおかずだけを注文できる店もある。ランチの選択肢のひとつに加えておこう。
カフェやレストランでは、ランチメニューはコーヒーとセットになっていることがある。この場合、食べたあとで飲む派の人が断然多いのではないか。食後にコーヒーを飲むと、口の中がさっぱりして気持ちいいものだ。しかし、血糖値を上昇させたくないのなら、順番を変えたほうがいい。
■「食前にコーヒーを飲む」がベスト
まずコーヒーを飲んで、それから料理の提供を待つようにしよう。血糖値の上昇を抑える効果があるのは、「クロロゲン酸」というポリフェノールの一種。コーヒー独得の苦みや渋みのもととなる成分だ。クロロゲン酸はとても強い抗酸化作用を持っている。抗酸化作用とは、活性酸素の働きを抑える作用のこと。
活性酸素は体にさまざまな悪影響を与え、インスリンの働きも弱めてしまう。そこで、食事の前にコーヒーを飲んで、クロロゲン酸をあらかじめ摂取。こうしておくと、食後にインスリンが分泌されたとき、じゃまをする活性酸素の働きが抑えられて、効き目が強くなるというわけだ。
ただし、コーヒーはブラックまたはミルクを入れただけで飲もう。砂糖をたっぷり入れると、その糖質によって血糖値が上がるので、クロロゲン酸の効果も小さくなってしまう。職場がコーヒーを自由に飲める環境なら、昼休み直前に1杯飲んで、それから昼食に出かけるという手もある。こうすれば、コーヒーがセットになっていない飲食店でも、クロロゲン酸を働かせることができる。
昼食に限らず、朝食の前にコーヒーを飲むのもいいだろう。しかし、夕食ではやめておくのが無難だ。コーヒーに含まれているカフェインは、覚醒効果が非常に強い。飲んでから20~30分後から働きはじめ、体内で半減するまでに48時間もかかる。このため、夕食でコーヒーを飲むと睡眠に悪影響が出てしまう。朝食と昼食だけの習慣にしておこう。
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工藤 孝文(くどう・たかふみ)
内科医
工藤内科院長。福岡県みやま市の同医院で地域医療を行う。糖尿病内科、ダイエット外来、漢方医療を専門として、テレビや雑誌などでも活躍。著書に『痩せグセの法則』(枻出版社)ほか多数。
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(内科医 工藤 孝文)

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