「今日はランニングだ」→監督に誘導された野球部が出会った"意外な相手"の正体とは

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これは筆者の友人Sが高校時代の話。
監督についていった先にいた意外な人たちとは──?



監督からまさかの一言。
向かった先は……



夏休み最終日。
野球部は、グラウンドで練習をする予定だった。
ところが、集合した部員たちに監督が放った一言は、



「今日はグラウンド練習はやめて、ランニング」



部員たちは思わず顔を見合わせた。
せっかくグラウンドが使えるのに──。
みんな同じことを思っていた。



「今日は外周じゃなくて、俺についてこい」



そう言って、突然のランニングが始まった。
監督は自転車で先頭を走って行く。



「どこ行くんや……」



そう思いながら走る部員たち。
しばらく走った先にあったのは、近所の少年野球チームが使っているグラウンドだった。



着いた先で待っていたのは少年たちだった



そこにいたのは、バットやグローブを持った小学生たちだった。



「この子たちの練習相手になってもらう」



監督の言葉に、みんな戸惑っていた。
普段は自分たちが指導を受ける側。
それが今日は、小学生に教える側だ。



最初はぎこちなかった部員たちも、キャッチボールが始まると少しずつ表情が変わっていった。



「肘をこうやって使うと投げやすいで」
「今のええやん!」



小学生に説明するために、自分のフォームや動きを改めて考える。
すると、普段は何となくやっていたことにも、ちゃんと理由があることに気づいていく。



「そういえば、自分もこうやって教えてもらったな」



そんな記憶も少しずつよみがえってきた。
さらに、小学生たちは失敗しても楽しそうだった。
空振りしても笑い、ボールを取り損ねても、すぐにまた追いかける。
悔しそうな表情も見えるが、それ以上に笑顔が印象的だった。
その姿を見ているうちに、部員たちも自然と笑顔になっていた。



教えることで、野球の楽しさを思い出した



練習の最後には、一緒にミニゲームをした。
小学生に打ち方を教え、守り方を教え、声をかけて盛り上げる。
すると、さっきまでできなかったプレーが少しずつできるようになっていく。



「できたー!」



小学生の嬉しそうな声に、部員たちも盛り上がる。



帰り際、監督が部員たちに言った。



「人に教えると、自分が分かっていないところにも気づく。
教えることは、自分が成長することでもある。
そして何より、野球を楽しんでほしい」



みんな黙ってうなずいた。
ボールを追いかけることが楽しい。
打てたら嬉しい。
仲間と一緒に野球をするのが楽しい。
自分たちも、最初はそうだった。



「今日は練習しない」と言われた夏休み最後の日。
実際には、いつもの練習よりも野球と向き合う一日になった。



【体験者:30代・男性、回答時期:2026年7月】



※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。



Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

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