恐怖で限界突破した心拍数→先輩が放った"自信過剰な一言"の効果とは

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これは筆者の友人、涼介(仮名)の話。
メドレーリレーの第一泳者に抜擢された涼介だが、緊張と恐怖で押しつぶされそうだった。


涼介の緊張をほぐした一言とは──?



極限状態での招集所



大学2年の夏、涼介はインカレ地区予選の男子4×100mメドレーリレーの第一泳者(背泳ぎ)として、招集所のパイプ椅子に座っていた。
心臓の音がうるさくて、周りの声が遠く聞こえる。
もし自分が遅れたら、チーム全体の夏が終わる──その恐怖だけで、呼吸の仕方を忘れそうになっていた。
個人種目なら自業自得で済むが、リレーは違う。
先輩たちの最後の夏を、自分のせいで予選落ちにするわけにはいかない。
招集所にいる時点で、心拍数はすでに限界突破していた。



「おい、大丈夫か」
声をかけてくれたのは、アンカー(自由形)を務める4年生のキャプテン、高岡先輩(仮名)だった。
情けないことに、身体は目に見えて震えていた。
「すみません、なんか緊張して……」
絞り出した声は情けなく震えていた。
スタートで滑ったらどうしよう。ターンでタッチが合わなかったら……
最悪のシナリオばかりが頭をよぎる。



恐怖を燃料に変えた、先輩の軽口



その時、高岡先輩が目の前に立ち、僕の両肩をガシッと掴んだ。
「なぁ」
先輩の鋭い視線が、涼介の泳ぐ目線を捉えた。
「俺はすごいから、俺が全員ぶち抜ける。

だからお前は、いつも通りでいい」
根拠なんてどこにもない、あまりにも自信過剰で無責任な言葉だ。
でも、高岡先輩はいつもそうだった。
その “いつも通りの軽口” に涼介の脳内で何かが弾けた。
恐怖のバクバクが、「やってやる」という戦闘モードのバクバクに変貌したのがわかった。



あの夏、確かに僕らはつながっていた



電子音が響いた瞬間、迷わず水の底を蹴り出した。
孤独なはずのレース。
でも不思議と安心感があった。
結果は、自己ベストを更新するほどの泳ぎで、トップとほぼ同時に第二泳者へ引き継ぐことができた。
その後、レースは混戦を極めたが、アンカーの高岡先輩は本当に有言実行を果たした。
猛烈な勢いでトップを抜き去り、電光掲示板に「1着」の文字を灯したのだ。
プールから上がった瞬間、涼介は先輩の胸に飛び込んだ。
先輩は「重い!まだ予選!」と笑いながら、涼介の頭をくしゃくしゃに撫でてくれた。


今でも夏が来て、プールの匂いを嗅ぐたびに涼介は思い出すという。
あの過酷なプレッシャーと、それを吹き飛ばしてくれた、最高に自信過剰で頼もしかった先輩の言葉を。



【体験者:30代・男性会社員、回答時期:2026年7月】



※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。



Qolyコラムニスト:maki
学生時代からスポーツ・部活動に打ち込んできた40代。現在はサッカースクールに通う子供の親として、スポーツと関わりを持つ。自身の経験談はもちろん、チームメイトや友人・知人から聞いたスポーツにまつわるリアルなエピソードを中心に取材し、スポーツの現場で起きた人間ドラマをコラムとして執筆している。

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