日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。1977年に起こった人質事件を題材にした実話映画!* * *
『デッドマンズ・ワイヤー』評点:★4点(5点満点)
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「そういうことになっているから」が人間を追い詰める

現代社会の仕組みはとてつもなく複雑なので、我々はほとんどの局面において「世間ではそういうことになっているらしいし、まあ仕方がないか」とやり過ごすことに慣れきっている。

どうしても看過できない場合は弁護士や司法書士に助けを求めることになるが、それは「そういうこと」の法的な意味を再確認するためであって、システムそのものが再検討されるわけではない。

1977年、ショッピングセンターの開発を進めていたトニー・キリシスは資金の返済に行き詰まって猶予を求めたが承認されず、ローン会社の担当者の頭部に針金を使った「デッドマンズ・ライン」(キリシス自身がつけた名前)でショットガンを固定、誘拐して「正義」を要求した。

この「デッドマンズ・ライン」は自分が撃たれるなどして倒れるか、人質が逃げようとすると発砲される仕組みだった。

確かにキリシスの「正義」は身勝手なものかもしれない。

だが人間を限界まで追い詰める「仕組み」にだって問題はあるはずだ。

たった一人の男が猛スピードで警察官とチェイスを繰り広げる「最後のアメリカン・ヒーロー」を描いた『バニシング・ポイント』(1971年)を本作がオマージュする理由もそこにある。

STORY:「全財産をだまし取られた」と語るトニーは、「加害者」である社長の息子を人質に立てこもる。お手製の自動発砲装置で人質の首を拘束し、ラジオで会社を告発。世間を混乱に陥れる中、ついに社長と直接電話がつながる......

監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ビル・スカルスガルドほか
上映時間:105分

全国公開中

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