イングランドサッカー協会(FA)は現地時間7月21日、アンソニー・テイラー氏がレフェリー業から引退することを発表した。イギリスメディア『BBC』は同13日、テイラー氏のインタビューを掲載。
2002年から審判員としてのキャリアをスタートさせた同氏は、審判員の“リアル”を赤裸々に語っている。

 47歳でレフェリー業から退いたテイラー氏。長きに渡って第一線で活躍したことについて「大変光栄なことだった」と語る一方、「プレッシャーは大きく、常に厳しい目にさらされていた」と、ストレスが多くかかる状況下で仕事を続けていたことも明かした。

 テイラー氏は、過度なプレッシャーを受け続けたことを「それも(引退の)一因だった」と正直に告白。「プレッシャーや注目が気にならないと発言する審判員は、嘘をついていることになるだろう。なぜなら、それ(プレッシャーを感じること)は人間として自然な反応だからだ」とコメント。「ミスをすることへの恐怖、観客・監督・両親・メディア・同僚といった外部からの意見。これらすべてが自己不信や自信喪失につながり、時には事態を制御不能にしてしまう。最終的にはフィールド上での自分の判断に自信を持てなくなってしまうのだ」と訴えた。プレミアリーグで通算433試合を担当し、欧州サッカー連盟(UEFA)や国際サッカー連盟(FIFA)主催の大会でも主審を担当。直近のFIFAワールドカップ2026でも3試合を担当したテイラー氏であっても、プレッシャーとの付き合い方は難しいものがあったという。

 テイラー氏が取った対策の1つが、誹謗中傷が直接届くSNSから距離を置くということだった。
しかし、同氏曰く、“SNS断ち”をしても世間の目を避けるには限界があるという。

「SNSを遠ざけたとしても、サッカーに関する報道は24時間体制だ。先週末の出来事について人々がどう考えているかを知ってしまうチャンネルは、以前よりもずっと増えている」

「全国を旅している時にファンや人々と接すると、必ずしも否定的な反応ばかりではない。でも、まるで1年のうち10カ月間、金魚鉢の中で暮らしているような感覚になるんだ」

 また、テイラー氏は元審判員も含むメディア関係者が、現役審判員を過度に監視し批判していると指摘。「それはサッカーにつきものである注目の一部に過ぎないかもしれないが」と前置きしつつ「スタジオにいる元選手の専門家であれ、元審判員であれ、試合の客観的な分析を行う際にはバランスが取れていて公平であるべき。もしそれが一方的な批判ばかりであれば、恐怖、軽蔑、恥辱の文化が生まれるだろう」と警鐘を鳴らした。
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