どん底の日々を経験した人気セクシー女優の東実果さんは、何を支えに再び前を向くことができたのか。そして、セクシー系VTuberを経て、セクシー女優という道を選んだ理由とは。
恋愛、心身の不調、そして性との向き合い方など、人生を大きく変えた出来事を振り返りながら、「性を大事にすること」の意味について、自身の経験をもとに率直な思いを語ってもらった。
結婚目前、「精神科に行くな」と言われた半年間
東:コロナ禍に入る直前に、結婚を前提にお付き合いしていた方がいたんです。その彼は自ら「膣内射精障害だと思う」って言っていたんです。にもかかわらず、彼は「もし結婚するなら、子どもは4人欲しい」とも言っていたんです。
――「だと思う」ですから、お子さんはできますよね。
東:それなら早く結婚したいね、という話にまでなったんです。でも、コロナ禍ということもあり、私がうつ症状や月経不順にもなり、気分の落ち込みがどんどん深くなっていってしまったんです。本来であれば、婦人科でホルモン系の治療を受けるだけではなく、精神科にも通うべき状態だったんですけど、彼は「精神科には行くな」という考えだったので、半年くらいは婦人科だけで治療していたんです。
――それはつらい状況です。
東:精神科に行き適切な治療も受けなかったので、できることがどんどん減っていったんですよ。
――病院ではどう言われましたか?
東:診察を受けたら、「かなりひどい状態ですね。まずは休んでください」と言われました。それで彼の実家で静養させてもらうことになったんです。でも、その後に「うちでは面倒を見きれないから」という話になり、彼から「入院してほしい」と言われたんです。
――今度は逆に入院を勧めるんですか。
東:私はそのとき、「わかりました」という形で受け入れたんですけど、本来、精神科への入院というのは主治医の先生から勧められるものだと思うんですよ。でも、そのときは彼の意向で入院することになったんです。それで精神科の薬の処方も始まり、少しずつ状態はよくなっていったんですけど、入院して1か月ほど経ったときに、電話で突然「別れよう」と言われたんです。
――それは突然ですね。
東:そうなんです。
入院中に突然告げられた別れと住民票移動
東:なので、話し合いもないまま、強制的に別居させられたような状態でした。
――その前にひとつ聞きたいんですが、東さんの状態が悪くなったとき、なぜ精神科に通わせてもらえなかったんですか?
東:その彼が医者だったんです。
――何科だったんですか?
東:内科系です。
――精神科ではなかったんですね。
東:そうなんです。内科系の専門医として働いていました。彼が大学病院に勤めていたときに、精神科にも通っている患者さんを診ていたこともあって、精神科に対する偏見が強かったんだと思います。あと薬に対する知識もあったので、精神科の薬はできるだけ避けたいものという考えがあったんだと思います。
――なるほど。それは理不尽な話ではありますけど、そういう考え方だったんですね。
東:結婚相談所です。
――結婚相談所ですか。正直、意外です。こんなに綺麗な方なら普通に出会いがありそうですが。
東:出会いはありますけど、お付き合いをする人が結婚を目的としているかどうかは別じゃないですか。
――確かに。
東:私は恋愛よりも結婚をしたかったんです。婚活アプリもやっていましたし、お付き合いしていた人もいたんですけど、結婚には至らなかったんです。それで本腰を入れて婚活しようと思い、結婚相談所に入りました。
――ご自身では言いにくいと思いますけど、モテるほうですよね。
東:あ~、多分モテていたと思います(笑)。
――でも職場恋愛って一番結婚に近い出会いでもありますよ。
東:確かにそうなんですけど、私は派遣社員として働いていたので、仕事上で恋愛関係になるほど、社員の方たちとは深く関わることもなかったんです。
結婚相談所で出会った医師との恋の結末
――そもそもの恋愛観はどんな感じなんですか?東:私は、「お付き合い=結婚」という感覚が強いです。私の母は高校3年生のときに、10歳年上の父からプロポーズを受けたんです。それで母も姉も結婚が早かったんですよ。なので母親からも「専業主婦になりなさい」と言われて育ってきたので「付き合う=結婚=専業主婦」みたいな価値観があるんです。
――そういう価値観が自然にあったんですね。逆に、東さんから「いいな」と思った男性に声をかけたりはしなかったんですか?
東:元々、人見知りがすごく強かったので、男性に声をかけるなんて無理です。高校生の頃なんて、クラスに仲のいい友達がいないときは、男女関係なく誰ともしゃべらないくらいの人見知りでした。教室の隅で携帯小説を読んでいるような内向的なタイプだったんです。
――その性格は大人になってからも続いていたんですね。
東:そうですね。結婚相談所に入ったら、ありがたいことに1000件くらい申し込みをいただきました。
――1000件ですか!? 東さんの美貌だったらそうなりますよね。その中で、医師の彼はどこがよかったんですか?
東:最初はふわっとしていて、優しそうだったんです。それと私はアガサ・クリスティなど、ミステリー系のドラマが好きで、彼も当直中にミステリー系の小説を読んでいたようで、話が合ったというのが第一印象でした。
――年齢は同年代ですか。
東:私よりも10歳年上でした。
――いわゆる医者っぽい、威圧感のあるタイプではなかった?
東:どちらかというとガリ勉タイプで、女性に強く出るような人ではなかったです。まず趣味の話から始まって、少しずつ距離が縮まる感じだったので、そのペース感が私にはちょうどよかったんです。
――でも、あとになって「精神科に行くな」と言うような人だとは思わなかったですよね。
東:さすがに思わなかったですね。
性の不一致が二人の人生を狂わせた
――なるほど。あと、性交時に射精ができない状態についても聞きたいんですが、それは実際に病院の診断書があったわけではなくて、彼自身が言っていたことなんですか?東:彼は私と出会う前、女性経験がほとんどなかったそうです。私から勇気を出して誘っても、片手で数えるほどしか試みてもらえませんでした。彼自身は「膣内射精障害だと思う」と言っていましたが、プライドからか、一度も病院で診てもらおうとはしませんでした。私はもともと性欲が強いほうで、特に生理前は欲しくなるタイプですが、そんな彼に応えてもらえるはずもなく、本当に辛かったです。私には何の問題もなかったのに、いつも心の端で「自分には女性としての価値がないのかもしれない」と感じて、ずっと悩み、苦しんでいたんです。本当は彼の事情だったのに、私が自分を責め続けていました。
――彼が、そういった障害があるかもしれないと言ったときはショックでしたか?
東:女性として、自分の価値を男性から魅力的だと思ってもらうことで感じていた部分があったので、私にはそういう魅力がないのかなって思い、私自身も自信喪失みたいな感じになりました。
――それも精神的に落ち込む原因になったんでしょうか?
東:多少は繋がっていると思いますけど、女性ホルモンの影響が大きかったと思います。もちろん性交渉ができない寂しさはありましたけど、「好きな人なんだから受け入れなきゃいけない」「彼女として支えなきゃいけない」という意識もありました。その一方で、自分の気持ちを押し込めていたフラストレーションはありましたし、私自身は性欲がしっかりあるタイプで、生理前になると性欲が強くなるので、その時期は結構悩みましたね。
精神科入院を決断
――東さんが精神科に入るまでの状況が理解できました。そしてうつ状態になるんですが、どのような日常でしたか?東:本当に悪化したときは、半分寝たきりみたいな状態になっていたんです。それに仕事や家事ができないプレッシャーを感じて辛くなっていたので、負のループにはまっていた状態でした。
――最初はホルモンバランスを崩したから婦人科に行ったんですか?
東:そうです。婦人科に行って、ホルモン治療を受けていましたけど改善しなかったし、おそらく適切な選択ではなかったと思います。その後、とても評判のいい精神科の先生のところへ行ったら「半年も放置していたんですか。かなりひどい状態ですね」と言われ、「まずは何も考えず、ゆっくり休んでください」とアドバイスされました。
――その頃は、食事やお風呂、着替えも難しい状態だったんですか?
東:一番できなくなったのは食事だったので痩せました。何をするにも、のろのろという感じだったから、お風呂に入るのもすごく時間がかかっていたと思います。わかりやすく言うと、体が重だるいし、思考できる範囲がどんどん狭くなっていく感じですね。よくパソコンで例えるじゃないですか。CPUが考える力だとすると、その処理能力自体が落ちてしまうんです。考えられる能力が普段の三分の一ぐらいに落ちてしまうんです。
――日常生活で一番大変だったことは何ですか?
東:「自分には価値がない」というネガティブな考えがどんどん強くなっていったことですかね。家のこともまともにできなくなっていくほど、その思いは深くなり、それに伴って、彼と二人でいるのが辛くなっていったんです。愛すべき人と一緒にいることが辛くなってしまったのが、一番苦しかったと思います。希死念慮に近いことはあったんですけど、実際に行動しようという考えはなかったです。
――そこでやっと精神科に入院することになるわけですね。
東:そうです。
――入院して1か月くらい経った頃に、一方的に別れを切り出され、一緒に住んでいたマンションも引き払われ、住民票も実家に移されたんですね。
東:本来、パートナーは相手が病気になったときこそ支え合うものだと思います。でも彼は、私が入院している最中に、一方的に別れを告げ、二人で暮らしていたマンションも解約し、住民票まで私に断りなく実家へ移してしまいました。心も体も一番弱っていたときに、女性としての尊厳も、生活の基盤も、まとめて崩されたんです。
――なぜそこまで冷たくなったんでしょう?
東:私自身、レスのことで悩んでいたことを彼の両親に相談したことがあるんです。
――結婚相談所で知り合って、結婚が前提のお付き合いなので不思議な話ではないです。
東:私はそのことを泣きながら相談したんです。そのことが彼のプライドを傷つけたのかもしれませんね。彼からすると「自分の親にまで、プライバシーにかかわる相談をするパートナー」という認識になったのかもしれませんけど、どうして冷たくなったのか、本当の理由はわからないんです。最後までただ「別れてくれ」で終わりました。
入院中に住む場所も失った
――入院生活自体はどうだったんですか。東:病院内では、散歩をしたりしていましたけど、やることはあまりなかったです。ただ、スマホを持ち込める病院だったので、昔好きだったゲームを気晴らしにやってみたり、少しでも元気になりたくてネット配信を見たりしていました。食事も唯一の楽しみだったので、配膳された食事を見て「今日のご飯はこれか」と写真を撮ったりもしていました。
――リラックスするための環境だったんですね。
東:休むことができたので、少し安心もしていました。でも依然として性欲はあったんですよ。レスだったことや性の問題について主治医に話したら、その内容がなぜか彼に伝わったらしくて、それで怒ったらしいんです。やっぱり彼とは性の問題が最後の対立点だったのかもしれませんね(笑)。
――面会には誰か来てくれたんですか?
東:私の両親だけでした。
――どれくらい入院していたんですか?
東:2~3か月くらいです。1か月くらいで少し回復してきたところで、彼から別れを切り出されたから落ち込んだので、入院が少し延びた感じでした。
――入院中に住民票を実家に戻されて、荷物も全部出されたんですか?
東:私の荷物を捨てるか引き取るかしてくれと、私の両親に連絡したそうです。それまで一緒にコミュニケーションを取り、生活していた彼を知っているので、その話を聞いたときは現実感がなくて、本当の話なのかなって驚きました。
どん底から救ったセクシー系VTuber配信
――社会復帰できる状態で退院したんですか?東:いえ。社会復帰できる状態ではなかったですね。結婚を前提に同棲を始めて、彼に「仕事を辞めて家に入ってほしい」と言われて退職していたこともあって、これからどうやって生きていこうという悩みもありました。
――退院後はどうしたんですか?
東:実家に戻ったんですけど、定時で働く仕事はもちろんできなかったんです。入院中に泣きながらネット配信を見ていたんです。それを見ていたら「私も好きなことをしよう。なんかアホらしいな」って思ったんですよ。だって、彼に自分の女性性を否定されて、尊厳みたいなものを否定されて……。なので、思い出すとちょっと……(涙)。
――でも今こうやって生活してるので、いいじゃないですか。
東:そうですね。
――そして、今ではセクシー女優として大活躍しているんですが、そこに至った経緯は何ですか?
東:学生時代に少しだけライブチャットをしていたんです。それを思い出して、退院後、バーチャルのライブチャット、いわゆるVTuberのライブチャットをしたんですよ。それを足がかりにセクシー系VTuber事務所に応募したんです。そうしたら採用されライブチャットで貯めたお金で、5万円くらいのオンボロアパートを借り、そこにベッドと机だけ置いて配信をする生活を始めたんですよ。それが退院して3か月後くらいの話でしたね。
――東さんはネットとの相性がすごくよかったんですか? 逆にネットで傷つく人もいるじゃないですか。今だと、ちょっとしたことで炎上しますので。
東:もちろん、治りきっていない状態でセクシー系VTuberを始めちゃったものですから、最終的にちょっと病んだりはしたんですけど、ファンの方と配信を通して接することが楽しかったんです。私は配信者で供給する側なんですけど、逆にファンの方に癒やされていた部分が大きかったです。チャンネル登録者数が5万人、10万人と増えていったらいいなという目標も掲げつつ、それに対してちゃんと動ける自分になっていたことが、私の中で活力を確認する手段だったんです。
――決まった時間にやらなくてもいいし、スマホやパソコンさえあればどこでもできるので、配信は社会復帰のリハビリによかったんですね。
東:ネット配信は治療法として確立するには、もちろん危ない面もありますけど、画面越しとはいえ、社会との接点ができたので、うつ復帰後の落ち込みが減って前向きになれたんです。
――攻撃してくる人もいるけど、現代的な社会復帰の手段ですよね。
東:私は事務所とちょっと衝突するようなところがあって、最終的に辞めたんです。辞めたあとはまた落ち込んじゃって、波が多い人生だなっていうのはすごく感じてるところです。でも配信は楽しいし、それが仕事にできる状態があったので、そのときは安定していました。
――VTuberは20年前だったらなかった仕事だし、外に行かなくても社会と接点を持てるから、いいこともありますね。
東:VTuberだと、化粧もしないでキャラクターで出られるので、それは楽でしたね。私自身、そんなにおしゃれに敏感じゃないタイプなので、そういう面もすごい相性がよかったです。
――そういう意味ではネットに救われましたか?
東:救われました。実は今でも、その頃のファンの方がイベントに来てくれるんですよ。
性に翻弄された私がセクシー女優になった理由
――セクシー系VTuberを経て、セクシー女優にはどうしてなったんですか?東:性に悩んだ生活を送り、翻弄され、精神を病んだ人間として、性に対する命題があるんです。「性を大事にしないと、そもそも人間として成り立たないぞ」っていうことを強く言いたいんです。性交渉自体もそうですけど、性に対するお互いの価値観は生まれや育ちで、それぞれ違うじゃないですか。そういう性の価値観の違いをないがしろにしてはいけないということを体を張って伝えることが目的としてあるんです。
――それがセクシー女優だったんですか?
東:自分で体を張ってセクシーな作品に出演することで、性に対する価値観をないがしろにしてはいけないと、伝えていける人になりたいのが、セクシー女優になった理由の一つとしてあるんです。元々は平凡な派遣社員だったんですけど、曲がりなりにもここまで来たんです。結婚を約束していた彼にも、今の私の職業を知ってほしくて顔出しでやっていますし、様々な経験を経た結果として、私はこの世界にいるぞっていうことを伝えたい気持ちがあるんです。
――「当時落ち込んでた私は、今輝いてるぞ」っていうのを見せたいんですか?
東:もちろんそれも理由の一つとしてありますし、いわゆるセクシーなことをタブー視して、不浄なものとして隠そうとする価値観を揺さぶりたい目的もあるんです。
――なるほど。価値観を変えたいんですか?
東:もう彼とは世界が違うので、価値観は変えなくていいんです。でも人間って、体あっての生き物なんです。性は生きて命を繋ぐことそのものに直結しているんです。なのに社会は、それを当たり前に消費する一方で、正面から語ることや、それを担う人間を「タブー」として遠ざけてきました。この矛盾を、医者とは社会的に真逆の、セクシー女優という立場から壊していきたいんです。
※ ※ ※ ※ ※
結婚を目前に人生が一変し、心身の不調や別れ、住む場所まで失うという苦しい経験を乗り越えた東実果さん。そのすべてを包み隠さず語った言葉には、実際に経験した人だからこその重みがある。恋愛や結婚、そして性との向き合い方に正解はない。
そして、お互いの価値観を尊重し、真剣に向き合うことの大切さは、このインタビューを通して確かに伝わってきた。
X:@Azuma_Mika_
<取材・文・撮影/神楽坂文人(X:@kagurazakabunji)>
【神楽坂文人】
世界一セクシー女優を取材しているカメラマン、ライター、インタビュアー。元成人誌編集者のため、最後の砦として活躍中。年間イベント取材数300本超え! 年間インタビュー数200本超え! バイクで都内を駆け巡り1日で複数の仕事を受けている。X(旧Twitter):@kagurazakabunji
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