馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はディアドラが勝った2017年の紫苑Sを取り上げる。

のちの日英G1勝ちの偉業を成し遂げた名牝の重賞初勝利となった。

 全身を使って、手綱を押した。岩田康の大きなアクションに応え、外からディアドラが伸びてくる。先に抜け出したカリビアンゴールドに、迫るポールヴァンドル。その2頭をゴール前で一気に飲み込んだ。岩田康は「接戦(着差)以上に強い勝ち方をしてくれた」と第一声。外を回りながらも鼻、鼻差の接戦を制した上がり3ハロンの末脚は、33秒8という数字を超えた迫力に満ちていた。

 春は桜花賞6着、オークス4着と善戦止まり。「勝ちみに遅かった馬だが、一戦一戦力をつけている。馬体はひと回り大きくなった。この夏を乗り越えて強くなった」と主戦は成長を勝因のひとつに挙げた。前走(札幌・HTB賞=1着)で12キロ減っていた馬体は、栗東からの中山への輸送を経てもきれいに回復。

パドックでも落ち着いて周回した。橋田調教師も「牝馬でも堂々としているところがいい」と頼もしそうにみつめる。

 3歳牝馬最後の1冠となる秋華賞を強く意識している。夏の札幌から始動し、紫苑Sへの転戦。橋田師は「コーナー2つの競馬ばかりだったので、コーナー4つを経験させて秋華賞に向かいたかった」と説明した。オークスから3戦連続でコーナー4つのコースだが、右回りの札幌、中山で接戦を制したことは、大きな自信になったはずだ。

 思いは通じて、続く秋華賞でG1初制覇を成し遂げる。5歳春のドバイターフ(4着)以降は海外に拠点を置き、日本を含め8か国のレースに参戦。2019年のナッソーSでは、日本で調教された牝馬による初の英国G1制覇を成し遂げた。2020年のバーレーンT8着を最後に引退。世界を渡り歩いた「鉄の女」は母親となり、偉大なDNAを子供たちに受け継いでいる。

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