東都大学野球リーグ2部が8日、等々力球場で開幕する。下関国際(山口)の遊撃手兼投手として2022年夏の甲子園で準優勝に貢献した、今秋ドラフト上位候補で駒大の最速158キロ右腕・仲井慎投手(4年)は、1部復帰へ並々ならぬ意欲を見せている。

ラストシーズンへ懸ける思いを聞いた。(加藤 弘士)

■「ゾーンに入っちゃっていた」

 4年前の夏。甲子園を沸かせた下関国際の「背番号6」はこの秋、ドラフト上位候補としてスカウト陣の熱視線を集めている。熱闘の中でも、準々決勝の大阪桐蔭戦は語りぐさだろう。

 仲井は「3番・遊撃」でスタメン出場。1点を追う6回2死満塁でリリーフし、火消しに成功した。7回無死一、二塁のピンチでは、送りバントが投前への小飛球に。捕球した仲井から遊撃手、一塁手へと転送され、バントエンドランのサインでスタートを切っていた2人の走者を相次いでアウトにし、三重殺に仕留めた。

 「ランナーが走ったことは全然、気づかなくて。なんかもうゾーンに入っちゃっていたんで、トリプルプレーになったことすら、なんかあんまり記憶にないんです。ベンチに帰ってから他の選手に『ランナー走ってたよ』『飛び出してたよ』みたいな。あ、トリプルプレーなんだ、そういう感じでした」

 「あの試合、一番覚えてるのは9回の攻撃です。

1番、2番が連打で出て、僕は3番だったんですが、球場全体が手拍子して下さって。初めて鳥肌が立ちました。その瞬間は、本当にむちゃくちゃ覚えてますね」

 高校時代は遊撃手兼最速147キロ右腕。駒大入学後、投手に専念した。その経緯とは?

 「入学して1か月経たないぐらいの時、2学年上の投手陣が本当にすごい方々ばかりだったんです。東田(健臣)さん、高井(駿丞)さん、松村(青)さん。エーアン(・リン)さん…。僕が打者として対戦した時、全然打てなくて、こんなにレベルの高い投手がいるんだって。それならば投手に専念した方が4年後、プロに行きやすいんじゃないかなと単純に思ったんです」

 「先輩方から勉強させていただいたのと、NTT東日本に練習参加させていただいた際、安田武一コーチに投球フォームについて教えてもらい、地面への着地の仕方や、足の上げ方、体の構造から全部、繋げ合わせて見直すことができたのが、成長には大きかったと思います」

■「後輩たちに1部昇格を渡せるように」

 体重は高校時代から8キロ増の83キロ。球速は今春リーグ戦の東農大戦(等々力)で最速158キロを計測した。しかし本人は地に足をつけ、言った。

 「球速が出やすい球場ではあるので。

そこまで球速にはこだわっていないです。それよりもチームを勝たせる投球にこだわりたい」

 貪欲に飛躍のきっかけを求めてきた。6月の侍ジャパン大学日本代表選考合宿では、青学大・鈴木泰成、近大・宮原廉、日体大・馬場拓海と同部屋に。選考からは漏れたが、同世代のトップランナー同士のふれあいは、刺激的な時間となった。

 「鈴木と宮原はフォークがいいので、『どうやって握って投げてるん?』『どういうリリースで投げてるの?』って聞きました。『あ、そういうことなんか』ってなったので、あの合宿から、変われた部分はあるかなって思います。この夏、決め球としてのフォークを磨いてきました」

 出会いに恵まれた野球人生だったと振り返る。下関国際時代の恩師・坂原秀尚監督には「野球もそうですが、私生活や人間としての考え方を学ばさせてもらった」と感謝する。駒大では大倉孝一前監督、香田誉士史監督の薫陶を受けた。林裕也ヘッドコーチは近い距離で、成長へのアドバイスをくれた。恩返しはこの秋の2部優勝。そして1部昇格だ。

 「この秋に懸ける思いは、どこのチームよりも強いと思う。後輩たちに1部昇格を渡せるように、こだわってやっています」

 チームの勝利を目指した先に、自身の未来も拓ける。球威は今秋ドラフト候補の中でもトップクラス。最後に力を込めて、結んだ。

 「プロ志望届を出すからには、個人的にはドライチ、少なくとも上位でプロに行けるように頑張りたいと思ってます」

 大学生活の集大成となる最後の秋。2部優勝と上位指名のWゴールを目指して、仲井がフル稼働する。

 ◆仲井 慎(なかい・しん)2004年4月22日、兵庫・加西市生まれ。22歳。九会小1年から「九会野球スポーツ少年団」で野球を始める。加西中では兵庫北播シニアでプレー。下関国際では1年夏から背番号6でベンチ入り。2年春、3年夏に甲子園出場。

3年夏は準優勝。駒大では東都1部で通算4勝5敗、防御率3・38。同2部では通算8勝2敗、防御率1・65。177センチ、83キロ。右投右打。憧れの選手は駒大OBのカブス今永昇太

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