先週の日経平均は中東情勢の緊迫化で一時4,200円以上急落したものの、週末にかけて急反発する荒い値動きでした。今週は日米の中央銀行による金融政策決定会合やFOMCが控えるほか、米スペースXの株価動向にも注目が集まります。
先週の日経平均は急落から大きく切り返す展開
先週末6月12日(金)の日経平均株価は6万6,020円で取引を終えました。
前週末の終値(6万6,588円)からは568円安と、下げ幅自体はあまり大きくはなかったものの、1週間の値動きを5分足チャートで振り返ると、急落から急反発していく展開となりました。
<図1>日経平均の5分足チャート(2026年6月8日~6月12日)
図1を見ても分かるように、先週の日経平均は11日(木)の取引開始直後までは、売りが優勢の展開となっていました。
前週まで活況を呈していた米国株市場のAI相場が一服する動きになったことに加え、強い結果となった米5月雇用統計によって米国の金融政策の利上げ観測が高まり、米10年債利回りなどの金利が上昇しました。
また、米国の大型株式の新規公開(IPO)を控えた流動性の引き締め(投資家がIPO銘柄を購入するために、保有している資産を売却してキャッシュを確保する動き)が見られたことや、中東情勢に対する楽観的な見方が後退したことなどが株価を押し下げました。
その結果、11日(木)の取引開始直後につけた週間安値(6万2,335円)は、前週末の終値から4,200円を超える下げ幅となっていました。
こうした相場の軟調地合いを吹き飛ばしたのは、米国とイランの戦闘終結期待が再び高まったことでした。週末12日(金)の取引ではこれまでの下げ幅を一気に縮小し、一時、前週末比でプラスに転じ、6万7,000円台に乗せる場面もありました。
もっとも、中東情勢に対する楽観観測については、3月末以降に度々浮上していて、「これで何度目だよ」とツッコミを入れたくなるぐらい、株価を押し上げる材料としては慣れてしまっている感じがあります。
それでも、週末にかけての日経平均が急反発したのは、11日(木)までの下げ幅が大きく、買い戻しを入れやすかったことや、12日(金)が株価指数の先物およびオプション取引のSQで、需給イベントを通過したことによるアク抜け感も株価の上昇に影響したと思われます。
今週の注目ポイントは?
そんな中で迎える今週は、15日(月)~16日(火)に日本銀行の金融政策決定会合、16日(火)~17日(水)に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるなど、「中央銀行の金融政策イベント」ウィークとなります。
日銀会合については利上げの実施が見込まれていますが、すでに織り込み済みとなっており、焦点は「次の利上げの有無やタイミング」のヒントに向けられます。ただし、今回の会合では植田和男総裁が欠席となってしまったため、今後の政策についての明確なメッセージは出て来ない可能性が高そうです。
米国でもウォーシュ新FRB議長体制で迎える初のFOMCとなります。金融政策の変更自体はなさそうとの見通しが優勢となっていますが、FOMC後に行われる記者会見で示される政策スタンスや量的緩和への対応、そして、トランプ米大統領の影響度などを探ることになりそうです。
また、先週末にかけての株高につながった中東情勢への楽観ですが、こちらも動きが具体的に進展するのかを見極めていくことになります。14日には米国とイランの合意が成立しました。
合意の内容はもちろん、ホルムズ海峡の航行や、ダメージを受けたインフラ等の復旧など、正常化までに掛かる時間、合意内容がきちんと履行されるかなど、確認すべきことは意外と多いです。
さらに、需給面では先週末12日(金)に特別清算指数(メジャーSQ)を通過したばかりです。次の限月(7月限)の日経225オプション取引でのコールの建玉状況を見ると、権利行使価格6万9,000円の建玉が早くも4,500枚を超えており、建玉の状況からは株価の先高観が継続しているように見えます。
そのため、今週の株価が上昇した場合、6万9,000円までの上昇も想定しておいても良いかもしれません。ちなみに、13日(土)の朝に夜間取引(ナイト・セッション)を終えた日経225先物取引の終値は6万7,440円となっています。
注目のスペースXのIPOは好調なスタート
このほか、先週の株式市場で注目されていたのが、12日(金)に米ナスダック市場に新規上場したスペースX(SPCX)です。
前日の11日(木)夜に決定した公募価格は135ドルでしたが、取引開始日12日(金)の初値は150ドル、そして終値は160.95ドルと公募価格から上昇しており、好調なスタートだったと言えます。
<図2>米スペースXの1分足チャート(2026年6月12日)
IPO初日の株価が上昇したこと、それに伴いスペースXの時価総額が2兆1,000億ドルになったことなどが、ニュース等でも報じられましたが、今週も株価が上値を目指して行くのか、また、失速することなく堅調に推移できるのかなどが注目され、市場のムードにも影響しそうです。
ポジティブな材料としては、株価指数への組み入れ観測の買いや、浮動株比率が低いことによる需給ひっ迫の影響で株価が上がりやすいことなどが挙げられます。
とりわけ、目先で組み入れが想定される株価指数ですが、ナスダック100(上場後15営業日)や、MSCI グローバル・スタンダード・インデックス(上場後10営業日以降)などが挙げられ、指数組み入れによるスペースX株の買いや、指数構成銘柄のウエート調整の売り、指数から除外される銘柄の売りなど、リバランスの売買が出てくることが見込まれます。
その一方で、ネガティブな材料としては、株価の割高感を指摘する声が上がっています。具体的には、スペースXの時価総額を売上高で割った「株価売上高倍率(PSR)」が100倍を超えていて、「時価総額の大きさに対して、売上高が小さすぎる」というものです。
もちろん、売上高が急拡大し続けられるのであれば、現在の高いPSRの値も正当化されるのですが、IPO直後のお祭りムードと指数組み入れイベントが通過した後は、業績の成長スピードが問われることになりそうです。なお、スペースXの上場後初の決算発表日は8月17日に予定されています。
株価はさらに上値を目指せるが、相場が強いわけではない
続いて、今後の日経平均の値動きについて、テクニカル分析の視点でいくつか確認していきたいと思います。
<図3>日経平均(日足)多重移動平均線とMACD(2026年6月12日時点)
図3は、前回のレポートでも紹介した、日経平均の日足チャートに多重移動平均線を描いたものです。
▼前回のレポート
【今週の日本株】金融政策イベントで相場は複雑化、追証解消売りの一巡で持ち直せるか
その際、「株価が多重移動平均線の束の下限あたりで下げ止まれるか」を注目点として挙げていましたが、結果的に多重移動平均線の下限の線がサポートとして機能しており、チャートの見た目では、株価の反発基調が続きそうな印象となっています。
また、株価反発に勢いが出るかどうかについては、下段のMACDがシグナルを上抜けできるかどうかがポイントになりそうです。
ただし、ちょっと注意しておきたいのが週足チャートです。
<図4>日経平均(週足)とMACD(2026年6月12日)
実は、週足チャートでも、移動平均線が「パーフェクト・オーダー」となっていることや、下段のMACDも右肩上がりになっているなど、強い上昇トレンドが続いており、一見すると「隙のない」格好が読み取れます。
図1の5分足チャートでも見てきたように、ここ最近の値動きの振れ幅が大きくなっており、その結果として、週足チャートのローソク足の形が、上下に伸びた線である「ヒゲ」がやたらと長いものとなっています。
先週は下ヒゲの長い線、前週は上ヒゲの長い線のローソク足が連続して出現し、それだけ値動きが荒かったことを示唆していますが、高値圏でのヒゲの長い線の出現は、天井サインとなることが多く注意が必要です。
また、5分足と言えば、最後に東証株価指数(TOPIX)の先週の値動きについても見ていきます。
<図5>TOPIXの5分足チャート(2026年6月8日~6月12日)
先週のTOPIXも日経平均と同様に、急落後に急反発する値動きとなりましたが、反発力は日経平均ほど強くはなく、週初の8日(月)に空けた「窓」を埋めることができない状態で1週間の取引を終えています。
また、13日(土)朝に取引が終了した株価指数先物の夜間取引の終値(3,940p)も、上昇はしていますが、前週末の終値を超えることができておらず、今週は日経平均と比べて出遅れているTOPIXの動きも注視した方が良さそうです。
確かに、これまで見てきたように、株価はさらに上値を目指すことはできそうですが、必ずしも相場全体が強いわけではないことを意識しながら相場に臨む必要がありそうです。
(土信田 雅之)

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