6月16日、日経平均株価が一時7万円の大台を突破しました。この歴史的な高値は、実体を伴わない「バブル」なのか。
7万円突破の「必然」
トウシル編集部:ついに日経平均が7万円を突破しました。日経平均を押し上げた要因について教えてください。窪田真之チーフ・ストラテジスト:まず、日経平均の週足チャートをご覧ください。
高市ラリーが第1弾、第2弾、第3弾と続き、ついに6月16日に一時7万円をつけました。第1弾・第2弾は高市政権の構造改革や成長戦略への期待が大きかったのですが、第3弾は複数のポジティブな要因が重なって起きています。
日本株が上昇した大きな要因は、「AI半導体ラリー」にあります。以前のAI半導体ラリーでは、エヌビディア(NVDA)、マイクロソフト(MSFT)、グーグルの親会社アルファベット(GOOG、GOOGL)といった米国のハイテク株ばかりが恩恵を受けていましたが、ここにきて日本企業全体にメリットが及ぶようになっています。
生成AIが注目され始めた当初は画像処理半導体(GPU)の不足が目立っていましたが、生成AIによる計算需要が大きく膨らんだことによりCPU、DRAM、電子部品、電力、通信など、半導体関連のあらゆるものが足りなくなっています。そして、巨額の利益を上げているキオクシアホールディングス(285A)など、さまざまなハードウエア企業の株価が大きく上昇しました。
さらに、「日本がデフレ経済からインフレ経済に転換し、企業による値上げが容易になったこと」や「自社株買いの増加による、1株当たり利益(EPS)の改善」も日本株が大きく上昇した要因です。
1989年当時との「決定的な違い」
トウシル:「日経平均が7万円」と聞くとかなり高水準に聞こえるのですが、バブルの懸念はありますか?窪田:最近の株価の上昇ピッチが非常に速いため、足元ではやや過熱気味です。
ただ、私は現在の相場をバブルとはみていません。
そもそも株価の割安・割高は、日経平均の水準ではなく、EPS、純資産、配当金をベースに判断すべきです。
1989年のバブル絶頂期、東証一部企業の平均株価収益率(PER)は70倍に達していましたが、足元の東証プライム平均のPERは17.7倍にとどまっています。企業の利益が順調に拡大しており、1989年とは状況が全く異なります。
上昇トレンドが「続く理由」
トウシル:なるほど。利益の水準でみれば、バブルとは言えないということですね。では、今後の展望について教えてください。
窪田:長期的にみると、7万円は通過点に過ぎず、日経平均の上昇トレンドは続いていくと考えています。その背景にあるのは、企業利益の成長です。
私は東証プライム上場企業のEPSが年率6.7%増えていくと予想しています。内訳は、海外事業の利益成長で+2.3%、インフレで+2.8%、自社株買いによる発行済み株式数の減少で+1.5%です。
ただし、これから毎年順調に上がり続けるかというと、必ずしもそうとは限りません。
日経平均はアベノミクス以降、10年以上にわたり上昇軌道を描いているものの、一気に20%下落することが過去に何度もありました。国内株式への中長期的な上昇期待はなお大きいですが、リスク管理をしながら慎重に買っていくことが大切です。
(呉 太淳)

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