2026年はスポーツイベントが続き、アシックスとミズノが注目されています。アシックスは「オニツカタイガー」の成功やグローバル展開で高成長を遂げPER31倍と評価は高い一方、期待値も大。

対するミズノはPER14倍と割安で競技用具の強固な収益基盤を持ちますが、需給面や海外比率で課題があります。成長性か割安感か、選択が分かれる局面です。


アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く20...の画像はこちら >>

今回のお題 2大国内スポーツメーカー

 2026年は2月にミラノ・コルティナ冬季五輪、3月にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、そして目下で佳境を迎えているFIFAワールドカップ。スポーツ界のビッグイベントが重なった1年になっていますが、9月には愛知・名古屋でアジア大会の開催も予定されています。日本でのアジア大会開催は実に32年ぶり!2026年は、ほぼ通年で関連するスポーツ用品やグッズの販売好調が続くことから、スポーツメーカーには追い風です。国内のスポーツメーカー2強として、今回はランキングシューズに強いアシックス(7936)と、野球用品やゴルフ用品に強いミズノ(8022)の2社で比べてみます。


アシックス(7936) ミズノ(8022)
アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く2026年 国内2強スポーツメーカーなら どっち?<br />

アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く2026年 国内2強スポーツメーカーなら どっち?<br />

 両社の株価のポイントや株価データを見ながら、双方を比較し、皆さんの相場観で購入検討するならどちらにしますか?


銘柄A: アシックス(7936)

アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く2026年 国内2強スポーツメーカーなら どっち?<br />
出所:筆者作成 日足チャート 年初来 ※2026年7月13日時点

ここがGOOD

世界的に高まるブランド力

 アシックスといえば、スポーツメーカーの株らしからぬ(?)凄い人気ぶりで、ここ数年で株価を大きく切り上げました。年間騰落率は、23年+52%、24年+182%、25年+21%、26年+30%…4年間で株価が10倍以上になったテンバガーです。なぜここまで株式市場で評価を高めたのか?それは、アシックスのブランドイメージが革新的に変化したためです。


 それは、アシックスという日本に昔からあったスポーツメーカーが、その評価を「高収益を稼ぐグローバルブランド」に衣替えした成功事例になったから。自社のECサイトや直営店での販売を強化し、値下げしなくても売れるブランドを確立。粗利益率を高めるビジネスモデルの変革に成功し、米ナイキに対する優位性になりました。そして、昔はガチのスポーツシューズのイメージがありましたが…今のアシックスシューズは、ファッションブランドのイメージが強まっています。実際、欧米では2000年代のレトロなランニングシューズをベースにした「GEL-KAYANO 14(ゲルカヤノ14)」などがファッションアイコンとして流行、日本では1足22,000円で売られている高単価モデルです。


稼ぎ頭「オニツカタイガー」を分社化

 アシックス株の評価を高める原動力とも呼べるのがブランド「オニツカタイガー」です。こちらも、大衆向けスニーカーというより、高級ブランドに近い価格帯ですが売れに売れています。世界最大級の旗艦店である「Onitsuka Tiger 表参道」はいつ行っても大混雑。今年7月には東京・新宿に世界最大規模のグローバルフラッグシップストアとして「Onitsuka Tiger 新宿」もオープンしました。


「オニツカタイガー」は日本人にも人気がありますが、インバウンド勢にも熱狂的人気を誇ります。アシックスでは、勢いがある「オニツカタイガー」を2027年1月付で100%子会社化して分社化する方針を決定。スポーツブランド「アシックス」と、「オニツカタイガー」を明確に区別し、経営スピードの加速を画策しているようです。「オニツカタイガー」に限ればカテゴリー利益率30%超と驚異的で、中長期で目標とする売上高2,000億円に近づくならアシックス全体の利益も押し上げること確実。グローバルで成長するブランドとして、高いバリュエーション(PER)が許されているというのは納得感があります。


ここが心配

バリュエーション水準が高い

 グローバルでの成長性の高さから、高いPER評価がなされているアシックス。スポーツメーカー株では、ミズノ14倍、ヨネックス16倍、ゴールドウイン12倍に対し、アシックスは31倍というダブルスコア以上の高評価。それだけ、業績成長に対するハードルも高い株ともみなされます。好業績は当然織り込まれていて、逆に人気に陰りが見られるような材料には弱い株かもしれません。


 決算発表では、第1四半期(1-3月)がすこぶる好調だったことから上方修正の有無が判断の分かれ目になりそう。第1四半期の営業利益は608億円で前年同期比37%増と4年連続で過去最高を更新。全カテゴリーでの増収増益を記録しました。この時点の営業利益の通期計画に対する進捗率は35.5%と高く、ペース的には上方修正がほぼ確実です。通期の営業利益予想は1,710億円ですが、アナリスト予想の平均(コンセンサス)は1,825億円と高いため、”据え置き”は売り材料になる可能性が高そうです。


 第2四半期の決算発表は8月14日を予定。この決算発表の後でアナリストや機関投資家が注目するのが、”秋ごろ”発表されるとみられる次期中計(2027年12月期~2029年12月期)です。同社では売上高1兆円を次期中計期間内で達成すると発言してきましたが、勢い的には来期にも届いてしまいそう。売上目標の目線切り上げのほか、「オニツカタイガー」の分社化後の成長戦略、さらには株主還元の強化策など採点項目(乗り越えるべき壁)は多そうです。


アシックス レーダーチャート ※各指標の数値に基づき独自基準でスコア化


アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く2026年 国内2強スポーツメーカーなら どっち?<br />
出所:筆者作成

銘柄B: ミズノ(8022)

アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く2026年 国内2強スポーツメーカーなら どっち?<br />
出所:筆者作成 日足チャート 年初来 ※2026年7月13日時点

ここがGOOD

総合点高い老舗スポーツメーカー

 野球、ゴルフのほか、サッカー、バレーボール、陸上など多くの競技で絶大な支持を得ているのがミズノブランド。創業は1906年ということで、今年で120周年の超老舗企業です。多くの競技をカバーしているということで、WBC、ワールドカップ、五輪…幅広いスポーツイベントでトップアスリートを支援している企業とも言えます。


 シューズのほか、アパレル、そして野球用具やゴルフクラブなど競技用具と製品カテゴリーも分散されているため、スポーツごとの好不調の波で業績がブレることの無い強固な収益基盤が確立されています。

製品カテゴリー別では、売上構成比が3割を超えるフットウェアが主力です。そのフットウェアで成長力を発揮している点が評価ポイント。とくにサッカースパイクの「モレリア」シリーズは“史上最高のサッカースパイク”ともいわれ、欧州を中心に世界で支持されています(FIFAワールドカップが追い風)。


 今期(2027年3月期)の業績予想は、売上高は前期比8.1%増の2,800億円で5期連続の過去最高、営業利益は同12.8%増の255億円で6期連続の過去最高を更新する見通しです。今なお増収増益トレンドを維持する老舗ブランドに、抜群の収益安定感を感じさせられます。現行の中計では29年3月期の売上高3,300億円、営業利益310億円となっていて、連続増収増益はまだまだ続く見通しが示されています。


PERはアシックスの半分

 アシックスとの比較でいえば、真っ先に挙げられるのが割安感でしょう。アシックスの予想PERが31倍なのに対して、ミズノの14倍は半分以下とリーズナブル。アシックスに割高感があるとしたら、こっちは割安感があるともいえます。とはいえ、この差の発生理由も明確で、前期実績のアシックスの海外売上比率は80.5%に対し、ミズノは38.7%。グローバルで成長するアシックスに高いプレミアムが付与されていると解釈できます。


 また、営業利益率でも前期実績でアシックスが17.6%なのに対し、ミズノは8.7%とほぼ半分(ミズノの営業利益率も前期比0.1ポイント改善し、過去最高となっていますが…)。

海外売上比率の差と利益構造の違いが原因とすれば、ミズノがアシックス寄りに変革できれば株価評価の見直しも進むと考えられます。ミズノも高収益なライセンス戦略への切り替えを進めていますので、海外展開の進展による利益率の向上に注目していきたいところです


ここが心配

アシックスより、圧倒的に需給は…「悪い」

 ミズノもアシックスも今年に入って上場来高値を更新しました。が…高値から見た株価位置はミズノが低く、つまりは需給が悪い(高値でつかんだ投資家が売れずに残っている)のはミズノといえます。今年付けた上場来高値に対する現在株価は、アシックスが▲5%なのに対し、ミズノは▲18%です。ミズノに関しては、円安や製品に使う高機能素材の価格大幅上昇で利益率が低下する懸念などが重石になっているようです。


 株価でいえば、バリュエーション指標では割高なアシックスの方が強く、割安なミズノの方が弱いのが実情。ただ、割高/割安は投資判断を左右するため、信用取引のデータでは空売りが多いのが割高なアシックスで、空売りが少ないのが割安なミズノになっています。買い残が売り残の何倍多いかを示す信用倍率でいえば、アシックスが1.4倍なのに対し、ミズノは30.2倍。ミズノの方が信用買い残が重いうえ、普段の流動性も低いため、株価が下がり始めた場合にはロスカットの連鎖で下げが加速しやすいようにも見えます。需給面ではアシックスに軍配が上がりそうです。


ミズノ レーダーチャート ※各指標の数値に基づき独自基準でスコア化
アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く2026年 国内2強スポーツメーカーなら どっち?<br />
出所:筆者作成

あなたなら、どっちを買う?

 アシックスといえば、昔はガチ系のスポーツブランドのイメージがありましたが、今やファッショニスタに人気のブランドでもあるようです。そしてミズノ、こちらは学生時代にスポーツをやっていた人からすると、信頼度抜群のブランドですよね。それは今なお健在で、サッカースパイクの「モレリア」なんてサッカー選手の憧れだそうです。


株価データ比較
アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く2026年 国内2強スポーツメーカーなら どっち?<br />
出所:筆者作成 ※2026年 7月13日時点

 世界に羽ばたく大成功事例となったアシックスと、世界に羽ばたくポテンシャルをまだまだ秘めている老舗メーカーのミズノ…どちらも魅力的に映りますが、ここから買うなら、アシックスとミズノ、あなたならどっちですか?


銘柄投票にぜひ参加してみてください

【銘柄を投票】アシックス vs ミズノ スポーツのビッグイベントが続く2026年 国内2強スポーツメーカーなら どっち?


各指標の説明 予想PER 1株当たり利益の何倍(何年分)まで株価が買われているかを示す指標。
同業他社と比較する際に使われ、低いほど割安と判断します。 PBR 1株当たり純資産の何倍まで株価が買われているかを示す指標。同業他社と比較する際に使われ、低いほど割安と判断します。この数値が1倍を下回る企業に対し、東証は「1倍を上回るよう頑張れ」と指令を出しています。 配当利回り 今期の予想配当金ベースの利回りで、高いほど配当妙味が高いと判定します。定義はありませんが、3%以上なら配当利回りが高いと認識されています。 流動性 1日の売買代金がどれくらいあるか?(表では25日平均)を金額で表示しています。同数値が高いほど、機関投資家も大口の個人投資家もストレスなく参加できると考えられます。

(岡村 友哉)

編集部おすすめ