国債をNISA口座の対象に加える案が浮上しています。7月14日に片山さつき財務相が閣議後の会見で前向きな姿勢を示しました。

現在、個人を対象とした国債といえば個人向け国債があげられますが、国債以外にも選択肢はでてきています。そこで今回は、普通預金からお金を移してリターンを得るための金融商品をご紹介したいと思います。


40歳会社員「NISAは周りに勧められたから」…株式投資に消...の画像はこちら >>

お悩み

株式投資には回したくないお金だけど預金だともったいない…

高川湊さん(仮名)・会社員・40歳男性(共働き、子どもは一人)


 通勤電車に乗っているとき、ふと窓側にある広告を見ると銀行が預金キャンペーンをやっているという内容に目が留まりました。高川さんは銀行では普通預金ぐらいしか利用していなかったので、思ったより利息が付くことに驚きました。


 最近は資産運用をした方がいいと周りに勧められていることもあって、証券口座を開設してNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で積立投資を始めたり、会社で加入していた確定拠出年金の内容を改めて確認したりと将来のために資産形成をどうやってしていくのか気になって動き始めたところです。


 まだ資産運用に慣れないこともあり、まとまった金額を投資することにちゅうちょしていたのでほとんどの貯蓄は普通預金に置いたままです。もったいないなと思いつつも仕方ないと諦めていましたが、預金のキャンペーンも利用したらちょうどいいかという気持ちになってきました。


 すると、ちょうど「国債がNISAで買えるようになるかもしれない」というニュースが流れ、ますます普通預金からどこにお金を移すかを考えるようになりました。


 高川さんのように普通預金にある資金をどうにか増やしたいが、株式投資の投資額はまだ増やしたくない場合、どのような方法があるのでしょうか?


金利が上昇したことで、魅力的な金融商品が増えてきた!

 これまで低金利が当たり前だった日本ですが、徐々に金利が上昇してきました。2026年になってからは普通預金金利でも0.3%程度は利息が付くようになり、各金融機関も定期預金では1.0%を超える利息を付けるキャンペーンもたくさん展開されています。


 2024年にNISA制度が改正されて新NISAと呼ばれてから、株式インデックス投資を中心とした積立投資が資産形成の王道として広まりました。しかし、これは「株式投資のリスク(投資資産の変動率)をとっても良い余裕資金」を対象とした投資手法でしたので、安全性を重視するべき資金には向かない投資とも言えます。


 これからはそうした安全を重視するべき資金、例えば数カ月~数年以内に使う予定がある資金、いざという時の備えの資金、まだ運用資金にするか悩んでそのままにしている余裕資金など、それらが少しでもリターンを得ることができる環境になってきました。


 今後NISAで個人向け国債が対象となれば、大きく注目されることになると予想されますが、現時点ではまだNISAの対象にいつ頃加わるかは分かりません。


 そこで今回は、積極的な投資にはまわす予定のない普通預金のお金で、少しでもリターンを得られる選択について、また個人向け国債以外の選択肢についてお伝えしたいと思います。


普通預金からお金を移す候補1:銀行の定期預金

 定期預金は普通預金から資金移動もしやすく、投資になじみがない人でも定期預金にお金を預けているという人が多いのではないでしょうか? 手続きも簡単で良さとなれば解約しても基本的に元本割れをすることはないのが特徴です。


 ただし定期預金に預けた場合といっても普通預金よりは金利が付きますがあまり大きな差はありません。また満期日前に解約する場合、期限前解約利率が0%となったり、普通預金と同等になったりします。


 また中間利払済明細(預入期間が2年以上の定期預金などにおいて、預入日から1年ごとの応当日にすでに利息の一部を受け取っている定期預金口座の明細のこと)を満期日前に解約すると、その日に応じた差額を預金元本から差し引かれることもあります。それでも定期預金が検討に値するのは、定期預け入れのキャンペーンがあるからです。


 他金融機関から新規資金等がキャンペーンの対象となり、その場合には金利が1.0%を超えるようになってきています。銀行も資金集めを重視している証左であり、預金者としてはうまくキャンペーンを利用することを検討していくべきでしょう。


お金を移す候補2:日本円建ての債券

 金利が上昇したことによる影響は債券市場にも顕著に表れています。国債の利回りが大きく上昇しており、2026年になってから5年国債利回りは2.0%を、10年国債利回りは2.9%を超える局面もありました。


 最近は新規発行の円建て債券も個人向けに多く発行されるようになってきており、対面証券だけではなく、ネット証券でも新発債券が見られるようになってきています。国が発行する国債よりも、地方自治体が発行する地方債の方がやや利回りが高く、企業が発行する社債にはより高い利回りの債券もあります。


 債券には発行後に債券市場で売買されている既発債という債券もあり、証券会社によっては満期まで1~3年のほどの既発債も10万・100万という単位から販売されていることもあり、短期間でも2.0%を超える利回りのある既発債が出ていることもあります。


 債券は預金と違って途中で解約(売却)すると、売却価格によっては元本割れの可能性もありますし、値上がりしている場合もあります。

満期保有なら償還時の債券価格は100円(100%と記載の場合もある)で計算されるので、短期保有なら満期保有が前提となるでしょう。


お金を移す候補3:証券会社のMRF

 MRFとは、マネー・リザーブ・ファンド(Money Reserve Fund)の略です。主に円建ての公社債を投資対象とする証券総合口座専用の公社債投資信託(株式を一切組み入れず、国債・地方債・社債や短期金融商品を中心に運用する投資信託)の一種です。


 その特徴としては「出し入れ自由(即時現金化)」「毎日決算して運用収益を全額分配(元本割れのリスクが低い、その代わりに変動金利)」となっており、元本保証ではありませんが証券口座で投資商品を購入する前の待機資金の置き場として利用されています。


 証券口座にあることから資金を引き出す場合には預金口座に出金する必要があるので普通預金よりも若干時間がかかることがネックではありますが、その分通常の定期預金よりは高い利回りが期待できる上に、途中解約しても適用利率の引き下げがないため利回りが下がることはありません。


 通常MRFは投資商品を購入する前の待機資金の置き場として認識されがちのようですが、もちろん預金代わりに使うことも可能です。定期預金にしたい資金がキャンペーンの対象外になるケースも、いったんMRFに資金移動することで銀行からすれば新規資金扱いとなってキャンペーン対象となる可能性もありますので、うまく使い分けをしましょう。


金利のある世界では選択肢が豊富になってきた

 ここ数年で資産形成の王道はNISAの積立投資が勢力を増していましたが、どうしても株式投資を中心とした話になってしまうため、株式投資には向かない資金が浮いてしまう状況が続いていました。選択肢がないわけではありませんが、少ないと言わざるを得ない状況だったでしょう。


 それが金利のある世界になったことで少しずつ元本の安全性を重視した金融商品の数も増えてきて、条件も良くなってきました。インフレになってきて、金利が上がってきた昨今では、物価高による生活費の上昇などのデメリットもありますが、こうしたメリットもあります。


 デフレ時代では現金で置いておくという選択も一つでしたが、今後は資産を増やすだけではなく守るためにも資産運用や管理について学ぶことが一層大切となっていきます。


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(西崎努)

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