前編では、約30年間の専業主婦生活を経たナスダッ子さんが、ご主人の退職を機に米国株投資を始めるまでを伺いました。後編では、ゲーム経験からエヌビディアへの投資につながった理由、売らずに持ち続けるための仕組み、現在のポートフォリオ、投資を通じて広がった人とのつながりや人生観に迫ります。


ゲーム経験からエヌビディア投資へ。資産約5億円を築いた「売ら...の画像はこちら >>

エヌビディアへの投資を決めた理由は、ゲームで知ったGeForce

トウシル:アマゾン・ドット・コム(AMZN)の次に、いちはやくエヌビディア(NVDA)に注目し、大きく資産を増やしておられます。今ほど注目銘柄ではなかったエヌビディアに着目したのはなぜでしょうか?


ナスダッ子さん:米国株について調べていた時に、エヌビディアのロゴが目に留まったんです。見覚えがあると思いながら調べたら、ゲーム用のパソコンに搭載されているグラフィックカード「GeForce(ジーフォース)」シリーズを手がけている会社だと分かりました。


 実は私、かなりのゲーム好きなんです。専業主婦だった頃も、子どもが学校へ行っている間にかなりゲームをやりこんでいましたし、家に遊びに来た子どもの友達に交じってゲームをして遊ぶこともありました。周りには、子どもにゲームをさせないという家庭もあったので、ママ友にはなかなか言えませんでしたけどね(笑)。


 長年ゲームを楽しむ中で、GeForceの進化とともに画像がだんだんきれいになり、動きも滑らかになっていく過程を、利用者として実感していたんです。エヌビディアは知らない企業ではなく、実は以前から身近にあった会社だったんですよ。


トウシル:意外な接点です! ゲーム関連の会社は他にもある中で、なぜエヌビディアが伸びると思ったんですか?


ナスダッ子さん:エヌビディアはゲームだけでなく、自動運転の分野でも多くの大手自動車メーカーと契約し始めていました。ゲームでは、わずかな画像の遅れが勝敗を左右します。自動運転においても、車の周囲で起きている出来事をリアルタイムで処理できなければ大きな事故につながります。


 ゲームで求められてきた高速な画像処理と、自動運転に必要なリアルタイムの情報処理は、理屈の上でつながっていると感じたんです。


 調べれば調べるほど「エヌビディアは上がる!」と信じる気持ちがどんどん強くなりました。

自分自身が技術の進化を体感していたからこそ、エヌビディアを信頼して投資できたのだと思います。私にとっては「将来有望な相手として紹介された人が、実は昔からの幼なじみだった」というような感覚でした(笑)。


「好きにやっていいよ」全財産を妻に託した夫の信頼

トウシル:ご主人は、株を始めることに反対しなかったんですか?


ナスダッ子さん:夫が新聞社の経済部に勤めていた頃は、企業や市場に関する情報へ触れる立場だったため、勤務先の規定で個別株の売買が制限されていました。


 退職してその制限がなくなったので、「これで現物株を買えるようになるね」と話したんです。すると夫から「好きにやっていい。でも、株価の上下に家の中まで振り回されたくないから、途中経過は報告しないで」と言われました。


 夫は、株価が変動するたびに気になって、心穏やかではいられなくなる性格なんです。だから「自分は株に向いていないと思う。でも、あなたは度胸があるから向いているかもしれない」と。自分は値動きから距離を置きながら、私に運用を任せてくれました。


 ただし「値下がりした時に暗い顔をしたり目に見えてへこんだりしないでね」という条件を出されました。ポーカーフェイスで続けられるなら、細かな運用判断には口を出さないという考えだったんです。


トウシル:夫婦間で銘柄や運用についての会話はされませんか?


ナスダッ子さん:夫から聞かれることはほとんどありません。

聞かれれば答えますが、基本的には私の判断に任せてくれています。


 ただ、コロナショックでサーキットブレーカーが発動し、取引が一時停止された夜には、一言だけ「もし米国株を持っているなら、ろうばい売りだけはするなよ」と言われました。


 私は毎日株価を見ながら不安を感じていましたが、日々の値動きから距離を置いていた夫が長年の経験から言ってくれた一言は、値下がりに向き合うための大きな安心材料になりましたね。


トウシル:運用には口を出さず、全てナスダッ子さんに託すというのも、ご主人にとっては大きな決断だったように思えます。


ナスダッ子さん:以前、あるYouTubeの動画に出演した時、コメント欄に「一番リスクを取ったのはナスダッ子さんの旦那さん」と書かれていました。それを見て、思わず「本当にその通りだな」と笑ってしまいましたね(笑)。


ゲーム経験からエヌビディア投資へ。資産約5億円を築いた「売らない握力」 米国株投資家 ナスダッ子さんインタビュー[後編]
退職金含む6,000万円の運用を任せた旦那さんの肝の据わり具合がスゴイ。50歳を過ぎて守りに入るどころか、あれよあれよという間に6,000万円を5億に増やし、次々と夢をかなえている「ナスダッ子さん」という成長株に「投資」したとも言える。

1億円減っても売らない。「底値が実力」と考える投資術

トウシル:投資を始めてから、資産が大きく減る局面も経験されましたか?


ナスダッ子さん:もちろん何度もありました。2025年4月には、資産が約1億円減った局面もありましたし、2026年に入っても8,000万円ほど減ったことがあります。資産は最高で5億5,000万円まで増えましたが、常に上がったり下がったりしています。今はだいたい5億円ですね。


 ただ、今のポートフォリオと相場の動きなら、それほどの増減も起こり得ます。

最高値からいくら減ったかを毎回計算していたら、不愉快になって投資を続けられません。


 大きく下がったところで売ってしまえば、そこから別の投資で取り戻さなければなりません。私は、保有する企業の成長性が変わっていないのであれば、株価が下がったという理由だけでは売らないようにしています。


 暴落後に急速に戻る経験を何度かしたことで「この後にチャンスが来るかもしれない」と考えられるようになりました。


トウシル:直近の値下がりだけで判断しないということですか?


ナスダッ子さん:私は、直近の高値からどれだけ下がったかではなく、数カ月前にいくらだったかを見るようにしています。


 SNSでは「10%も下がった」と騒いでいても、3カ月前と比較すると、まだ十分に高いこともあります。「底値が実力」と考えれば、少し下がったぐらいでは慌てずに済むんです。


トウシル:そう考えられるのは、何度も下落を経験してきたからでしょうか。一方で、投資を始めたばかりの人が、同じように値動きを見ながら持ち続けるのは難しそうですね。


ナスダッ子さん:そうですね。投資を始めたばかりの方から相談されたら、私は「まずはS&P500種指数に連動すインデックスファンドを買って、頻繁に口座を見ずに放置するのがいい」と答えると思います。見ると、値動きが気になって売りたくなりますから。


 ただ、私はその段階を過ぎちゃいました(笑)。今は、値動きを見ながらでも、いかに自分が納得した企業を売らずにいられるか…恐怖心と戦える握力を試している段階です。


あえて売りにくい口座へ。対面証券で感情を制御する

トウシル:売らない、という投資方法を貫くための工夫はありますか?


ナスダッ子さん:あえて「すぐには売れない環境」をつくっています。具体的には、対面証券とネット証券の使い分けです。


 一時期は、手数料の安いネット証券へ全て移そうと思い、保有株を少しずつ移していました。しかし、スマートフォンの画面に何億円もの資産が表示され、夜中でも簡単に注文を出せる状態でもホールドし続けられるんだろうか…と考えたんです。


 SNSには「暴落」などの刺激的な言葉や、今日、明日の値動きを予想する情報があふれています。不安になった夜中に衝動的に売って、朝になったら株価が戻っているということもあり得ます。


トウシル:ネット証券の便利さが、逆に危険になるんですね。


ナスダッ子さん:そう思います。そのため、「売らない」と決め、長期で保有する銘柄は対面証券に残すことにしました。


 私が対面証券の担当者と話すと、SNSで流れている短期的な話題とは違い、もう少し長い目線から「何をそんなに慌てているんですか」といわれるんです。


 長く持つ銘柄は簡単に動かせない口座へ置く一方、ネット証券は短期の売買や、新しい銘柄を少額で試す口座として使うように役割を分けています。対面証券の不便さは、自分の感情を制御する仕組みとしてちょうどいいんですよ。


長期保有から成長期待まで。銘柄ごとに分ける役割

トウシル:現在はどのような銘柄を保有していますか?


ナスダッ子さん:以前、夫から「エヌビディアがすごい人気だけど、持ってるの?」と聞かれた時には「持っているどころか、資産の85%がエヌビディアだよ」と答えたくらい、エヌビディアの比率が高い時期がありました。


 一時期はマイクロソフト(MSFT)を守りの銘柄として持っていましたが、今はマイクロソフトはすでに売却し、エヌビディア自体をわが家の資産を支える守りの銘柄と考えています。


 一方で、エヌビディアの保有量も当時より少し減らしました。現在はエヌビディアを減らした資金の一部を、半導体メモリーを手がけるマイクロン テクノロジー(MU)などへ移しています。


トウシル:割合を減らした今も、エヌビディアがポートフォリオの中心なんですね。


ナスダッ子さん:そうですね。エヌビディアは、長年連れ添った気心の知れたパートナーのような存在です。これまでの実績や強みも分かっていますし、簡単には手放さず、5年、10年と長く持つ前提で考えています。


 ただ、保有する全ての銘柄をエヌビディアと同じように考えているわけではありません。マイクロン テクノロジーは、現在の半導体メモリーの需給を見て保有している銘柄なので、エヌビディアのように長期間持ち続ける前提ではないんです。


トウシル:ほかには、どのような銘柄を保有していますか?


ナスダッ子さん:少額ですが、将来の成長を期待して持っている銘柄もあります。例えば、AI向けのクラウド事業などを手がけるネビウス・グループ(NBIS)です。


 ネビウスはまだ赤字で、値動きの大きい銘柄です。成長を見守る楽しさはありますが、何が起きるか分からないので、ポートフォリオに占める割合は3%程度に抑えています。いうなれば、いつか大きく花開く時を待つ「推しのアイドル」のような存在ですね。


 エヌビディアを中心とする長期保有の銘柄、需給のサイクルを見ながら保有するマイクロン テクノロジー、少額で将来の成長を楽しむネビウス。それぞれに役割を持たせ、銘柄の性格に応じて保有比率を変えています。


投資を入口に、自分の経験が人とつながる

トウシル:投資を始めて、お金以外に得たものはありますか?


ナスダッ子さん:大きく二つあります。一つは、いろいろな人とつながれるようになったことです。


 以前は、ほかの業界で働く人と会っても、(私はしょせん、専業主婦)という思いが強く、専門的な話が分からず、世間知らずだと思われるのではないかという不安がありました。


 しかし、投資という共通の話題があると、仕事や世代が違う人とも会話を始められます。そこから、その人が仕事を通して何を得たのか、どんな影響を受けて、これから何を目指しているのかを聞いていくと、細かな専門知識がなくても理解できるんです。


 結局、どんな仕事をしている人でも、悩んだり、学んだり、目標を持ったりしています。そうした人生の話には、職業を超えて共通するものがあるんですよね。投資は、人と出会うための接点になりました。出会った先でお互いの仕事や人生について語り合い、「また会いたい」と思ってもらえるような時間を持てるようになったのが、すごくうれしいです。


ゲーム経験からエヌビディア投資へ。資産約5億円を築いた「売らない握力」 米国株投資家 ナスダッ子さんインタビュー[後編]
毎週金曜日、銀座の一等地で開店する「スナックナスダッ子」。開店の18時には店の前に行列ができ、開店とほぼ同時に満席になる人気ぶり。カクテルはS&P500、GOOGLなど投資スナックらしいメニュー名。ノンアルコールカクテルをアルコール有に変更するときは「レバかけて」と言えばOK。

トウシル:世界が大きく広がったんですね! もう一つも教えてください!


ナスダッ子さん:もう一つは、自分の中に眠っていた経験を生かせるようになったことですね。
専業主婦時代は、下の子に自閉症があり、一般的な育児の常識がそのまま当てはまらない場面に向き合ってきました。発達や心理について勉強し、子どもや周囲の人をよく観察しながら、どう接すればいいのかを考え続けてきた、とても中身の濃い時間だったと思います。


 しかし、外から見れば「30年間、専業主婦として子育てをしていた」という一言で終わってしまいました。「自己紹介してください」と言われても、「専業主婦として子育てをしてきました」以外に、自分を一言で表す言葉がなかったんです。


 本当はいろいろな経験が自分の中に詰まっているのに、それを人に説明する名刺や看板がないため、自分は何者でもないように感じていました。


 しかし投資を通して人と話すようになると、経験を社会とつなぐ接点がなかっただけで、本当は何もなかったわけではないと分かりました。


 現在は、青山のセレクトショップ「nuancier(ヌアンシエ)」の経営や、投資家バー「STOCK PICKERS」のアンバサダーになり、同じビルの中で毎週金曜日の夜「スナックナスダッ子」をオープンしました。これらの活動は、投資を通じて出会った人たちと話し、お互いの経験を持ち寄る中から生まれたものです。


 一人で部屋に閉じこもって、口座の数字を増やしているだけだったら、こんなに新しい世界に触れることはなかったでしょう。自分の中に積み重なっていた、子育てを通して人を見てきた経験や、新しいものに触れてきた好奇心が社会につながっている今は、毎日本当に楽しいですね。


トウシル:投資をきっかけに、ご自身の看板で社会とつながれるようになったんですね。最後に、これから先の目標を教えてください!


ナスダッ子さん:子どもにお金を残すことも大切だと思います。でも、それ以上に、親が自立して生き生きと人生を楽しみ、思い残すことがないほどやりたいことをやり尽くす姿を見せる方が、子どもに多くのものを残せるんじゃないかと思っています。


 5年後、10年後の姿を今から決めるより、これからどんな人と出会い、どんなチャンスが来るのかを楽しみたいですね。せっかく目の前にチャンスが来たなら、できる限りつかんでいきますよ。


トウシル:投資のお話だけでなく、これからの人生を楽しむ姿勢まで伺えて刺激になりました。本日はありがとうございました!


ゲーム経験からエヌビディア投資へ。資産約5億円を築いた「売らない握力」 米国株投資家 ナスダッ子さんインタビュー[後編]
『 専業主婦、株式投資で4億円。 』/著:ナスダッ子/2026年05月21日発売/フォレスト出版/1,958円(税込)

夫の退職で無収入に!お金の不安をなくすため専業主婦が500万円から始めた米国株投資 米国株投資家 ナスダッ子さんインタビュー[前編]はこちら>>


(トウシル編集チーム)

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