先週はAI株の上昇が今一つ勢いを欠き、業績上方修正や増配を発表した企業が素直に買われる相場でした。今週はお盆休みで取引が鈍る中、AI株の反転上昇の勢いは弱まりそうです。

財政悪化懸念に対する米国からの圧力が強まると外国人投資家の売りで日本株がピンチに陥る恐れも。日本企業の決算が最終盤に入り、停滞する可能性も高そうです。


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今週のトピック:日本企業の決算発表。米国の7月CPI、PPI

日付 イベント 8月10日(月) ・住友金属鉱山(5713)、サンリオ(8136)など248社が決算発表
・台湾TSMC(タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング:TSM)の7月月次売上高 8月11日(火) ・日本市場は山の日で祝日休場
・米国で7月中古住宅販売件数 8月12日(水) ・東京海上HD(8766)が決算発表
・米国で7月CPI 8月13日(木) ・米国で7月PPI
・米国でアプライド マテリアルズ(AMAT)が決算発表 8月14日(金) ・アシックス(7936)、SOMPO HD(8630)など360社が決算発表
・米国で7月小売売上高、8月ミシガン大学消費者態度指数・速報値

・お盆休みで閑散相場の中、人工知能(AI)株の一極集中相場が緩やかに収束し、鉄鋼、海運、繊維など株価純資産倍率(PBR)1倍割れの好業績割安株相場がじわじわと復活する?


・日米協調介入で明らかになった米国の高市早苗積極財政に対する政治的圧力が波乱要素! 日本銀行の9月利上げ観測台頭で銀行株が相場の主役に?


・米国の7月消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)が予想以上に上昇するとスタグフレーション懸念が再燃?


8月10日(月)の日経平均

 お盆休み突入した今週は、前週末比298円高の6万5,905円でスタート。大きく上げ幅を拡大して一時1,300円超高まで上昇しました。後場では高値圏でもみ合いながら、終値は前営業日比1,363円高の6万6,970円で終え、3日ぶりの大幅反発となりました。(8月10日16時現在)


配当利回り5.7%の「出遅れ高配当銘柄」も…夏枯れ相場の中、ひそかに「好決算を連発している」注目セクターの正体
8月10日(月)の日経平均 チャート

先週(8月3~8月7日)の主要株価指数

  終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万5,606円 +1,244円 +1.93% TOPIX 4,074.9pt +71.6pt +1.79% ダウ 5万4,036ドル +1,551ドル +2.96% S&P500 7,757pt +267pt +3.58% ナスダック 2万6,690pt +1,316pt +5.19%

今週のマーケット:夏枯れ相場でAI株は強弱まちまちな展開!決算発表で注目された重厚長大割安株の物色続く?

 今週は日本がお盆休みに突入し、AI半導体株の反発上昇の勢いも強くないため、夏枯れ相場になりそうです。


 先週は、日本と米国による異例の協調為替介入で一時1ドル155円23銭まで円高が進んだことに対する警戒感と米国・イランがホルムズ海峡開放に向けて戦闘終結協議を始めた安ど感が錯そう。


 米国では好決算を発表した防衛向けソフトウエア企業のパランティア・テクノロジーズ(PLTR)が前週末比39.8%も急騰。


 AI向け光ファイバーのコーニング(GLW)も19.8%高とリバウンド上昇するなど、AIツルハシ銘柄(AI投資向けに半導体などハード部材を提供する企業)も好調でした。


 日本でもコーニングと同じ光ファイバーメーカーの古河電気工業(5801)が22.6%高と急反発しました。


 しかし、韓国半導体メモリメーカーのSKハイニックス(SKHY)は4.1%安。


 日本のキオクシアホールディングス(285A)は2.7%高の小動きにとどまり、業績上方修正を発表したにもかかわらずAI向け積層セラミックコンデンサーの太陽誘電(6976)は5.1%安。


 7月末には米国のAI投資特化型ファンドがAI株急落とレバレッジ投資で苦境に陥り、米国ヘッジファンドのシタデルに救済されるニュースも流れ、AI株急騰劇の裏で拡大したハイリスクトレードの巻き戻しもAI株の上値を抑えそうです。


 先週は中東情勢緩和でウエスト・テキサス・インターミディエート(原油先物価格:WTI)が1バレル78ドル台まで急落。原油に代わって金、銀の価格が急上昇しました。


 今週10日(月)には、世界中に金の採掘権益を持つ住友金属鉱山(5713)が決算発表。


 先週、タングステン高騰で今期業績を大幅上方修正して23.0%も急騰した三菱マテリアル(5711)、好決算と大幅増配を発表して18.9%高だった貴金属リサイクルのフルヤ金属(7826)など、今週は貴金属関連株の続騰に期待がかかります。


 先週7日(金)に発表された米国の7月雇用統計の非農業部門雇用者数が予想外の前月比2.3万人減に落ち込んだことで、米国では早期利上げ見通しが急速に後退。


 これは金利低下が追い風になるAI半導体株にとっては朗報といえます。


 AI関連では、10日(月)に世界最大の半導体受託製造企業・台湾TSMC(タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング:TSM)が7月の月次売上高を発表予定。AI半導体の生産動向に注目が集まります。


 日本時間14日(金)早朝には米国の半導体製造装置メーカー大手、アプライド マテリアルズ(AMAT)が決算発表。先週に続き、米国の半導体株が続伸するようなら、日本のAI株も半導体製造装置メーカーを中心に活気づくでしょう。


 ただ日本市場のAI株一極集中相場はすでに終わりつつある印象もあります。


 先週ピークを迎えた決算発表でも、ホルムズ海峡封鎖による船賃の高騰で商船三井(9104)が通期業績予想を減益から増益へ上方修正。


 日本郵船(9101)も今期配当を40円増額修正するなど、海運株の業績が大きく好転しており、大相場に発展する兆しもあります。


 買収した米国のUSスチールが業績をけん引して今期の通期業績予想を上方修正した鉄鋼最大手の日本製鉄(5401)はAI株が急落した7月に前月末比21.2%も上昇。


 株価が超割安で配当利回りも高い海運、鉄鋼など重厚長大株は上昇余地が大きいと踏んだ投資家が、AI株のリバウンド上昇待ちから割安株の見直し買いに売買対象を転換する可能性もないとはいえません。


 さらに日本では米国のベッセント財務長官の圧力で日銀が9月18日(金)終了の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切る観測が台頭しています。


 メガバンクなど銀行株はここ2週間、利益確定売りに押されていましたが、日銀の9月利上げ観測が高まると再び上昇の勢いが強まるかもしれません。


 高市首相が閣議決定した来春からの食品消費税1%への減税で潤いそうなイオン(8267)、日清食品ホールディングス(2897)などスーパー株や食品株の動向にも注目です。


注目イベント:米国CPI、PPI

 今週は米国で12日(水)に7月CPI、13日(木)に7月PPIという重要物価指標が発表されます。


 7月CPIは伸び率がわずかに鈍化して、前年同月比3.4%の上昇になるというのが市場予想です。


 前月の6月CPIは米国・イランの和平協議進展でガソリンなどエネルギー価格が下落したことで、前年同月比3.5%上昇、前月比0.4%下落まで伸び率が鈍化しました。


 しかし、7月は中東で一時的に戦闘が再開し、原油価格も上昇。7月CPIが予想外に上振れすると、米国で再び早期利上げ観測が台頭する恐れもあります。


 米国経済はイランとの戦争による物価高で落ち込む懸念もありましたが、AIデータセンター向けの巨額設備投資や富裕層の旺盛な個人消費もあって底堅く推移するというのが大方の見方になっています。


 ただ先週の雇用統計の予想外の悪さに加えて、物価上昇が予想以上だと、物価高と景気後退が同時進行するスタグフレーション懸念が再燃する恐れが全くないともいえません。


市場別マーケット動向

日本市場

 先週は日米協調で為替介入が行われたことが判明しました。


 米国のベッセント財務長官は高市首相の掲げる積極財政路線や食品消費税減税による財政悪化懸念が米国の国債市場に飛び火することを恐れているようです。


 今後も米国政府が高市政権の積極財政政策に対して露骨な圧力をかけるようだと、日本株上昇を支えてきた外国人投資家の買いが鈍る可能性もあります。


 食品消費税減税に関しては自民党や財務省を中心に反対の声が出ており、米国からの圧力がかかる中で高市政権の政局運営が混乱するようだと、株式市場にも悪影響が出そうです。


米国市場

 米国では先週、ダウ工業株30種平均が連日、史上最高値を更新。


 AI株の乱調で投資資金が、ダウの採用銘柄でもあるマイクロソフト(MSFT)やエヌビディア(NVDA)など大型AI株に流入したことが原動力になりました。


 先々週の決算発表でAIクラウド事業の順調な成長が確認されたハイパースケーラー(大規模クラウド業者)と半導体メモリのマイクロン テクノロジー(MU)などAIツルハシ銘柄の株価には、緩やかな逆相関の関係も見られます。


 先週はハイテク株主体のナスダック総合指数が前週末比5.2%高と続騰し、米国のAI半導体株はほぼ全面高でした。


 しかし今週はハイパースケーラーの巨大IT企業が買われて、AIツルハシ銘柄が売られる流れが再び鮮明になるかもしれません。


業種・銘柄の動き

銘柄 先週の騰落率 ポイント 住友金属鉱山(5713) +10.0% 10日(月)に決算発表。金価格上昇が追い風 日本製鉄(5401) +7.4% AI株乱調の中、非常に強い動きが続く。今週も続伸? エヌビディア(NVDA) +11.6% 先週は見直し買いで上昇。大型株に資金が逃避するのはAIバブル崩壊懸念から? アプライド・マテリアルズ(AMAT) +6.2% 14日(金)早朝に決算発表。今週もリバウンド上昇続く?

先週までの振り返り:光ファイバー株が急反発!業績上方修正の繊維、鉄鋼、海運が買われ、陸運、鉱業が下げる

 先週はフジクラ(5803)が前週末比24.3%高となるなど、AIデータセンター向け光ファイバー株が激しくリバウンド上昇。


 それらが属する非鉄金属セクターが週間の業種別上昇率1位でした。


 東レ(3402)、クラボウ(3106)などの業績上方修正が相次いだ繊維製品が2位。


 これは中東情勢が緊迫していた3~4月時点で今期業績を悲観的に見積もっていた企業が業績見通しの引き上げに動いたことも影響しているようです。


 AI株の値動きが強弱まちまちな中、好決算の発表が相次いだ鉄鋼、化学、海運業、卸売業セクターなどが素直に買われる業績相場の色合いが強い1週間でした。


 個別株では新興国での二輪車の販売台数増加や円安進行で2026年12月期の業績予想を大幅に上方修正したヤマハ発動機(7272)が37.2%高と急騰。


 先々週に業績上方修正と年間配当を600円から1,640円に引き上げる大幅増配を発表した半導体商社のトーメンデバイス(2737)が36.2%高と続伸。


 株価上昇にもかかわらず、今期の予想配当利回りは依然5.7%近くに跳ね上がっています。


 一方、週間下落率ワースト1位になったのは陸運業。中東情勢の沈静化やAI株急落によるディフェンシブ株物色の流れで上昇してきましたが利益確定売りに押されました。


 2027年3月期の第1四半期が法人需要の落ち込みで営業赤字になったヤマト運輸のヤマトホールディングス(9064)が6.5%安。東急(9005)など鉄道株も売られました。


 原油価格下落で鉱業セクターが下落率ワースト2位。主力のINPEX(1605)が3.5%安でした。


セクター・業種(上昇・下落)

銘柄 騰落率 備考・要因 非鉄金属 +10.71% 光ファイバー株や貴金属関連株が急騰 繊維製品 +9.33% 業績上方修正を好感 その他製品 +5.46% 17.5%高のバンダイナムコHD(7832)などゲーム株が続騰 鉱業 ▲2.97% 中東情勢緩和による原油安 陸運業 ▲3.14% ディフェンシブ株からの資金流出 注:▲はマイナスを示す

(トウシル編集チーム)

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