円高、金利上昇、原油ガス高は、日本企業の業績にとっては一般的にマイナスです。ただし、一部にはこれらが追い風となる株もあります。
クイズ
<第1問>以下6社のうち3社は「円高メリット株」、残りは「円安メリット株」です。円高メリット株はどれでしょう?
【1】トヨタ自動車(証券コード:7203)
【2】任天堂(7974)
【3】日本マクドナルドホールディングス(2702)
【4】コマツ(小松製作所:6301)
【5】ニトリホールディングス(9843)
【6】王子ホールディングス(3861) 【注】製紙業国内最大手
<第2問>以下6社のうち3社は「金利上昇メリット株」、残り3社は「金利低下メリット株」です。金利上昇メリット株はどれでしょう?
【7】三井不動産(8801)
【8】三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
【9】しずおかフィナンシャルグループ(5831)
【10】清水建設(1803)
【11】三菱重工業(7011)
【12】第一ライフグループ(8750) 【注】旧第一生命ホールディングス
<第3問>以下6社のうち3社は「原油ガス高メリット株」、残り3社は「原油ガス安メリット株」です。原油ガス高メリット株はどれでしょう?
【13】三井物産(8031)
【14】INPEX(1605) 【注】日本最大の原油ガス開発生産企業
【15】ANAホールディングス(9202)
【16】ENEOSホールディングス(5020)
【17】日本郵船(9101)
【18】関西電力(9503)
正解をお伝えする前に、最近の為替の動きについて、コメントします。
日米協調介入による円高、いつまで?
日米協調介入により、突然円高が進みました。日本を「為替操作国」として批判してきた米国が、日本の円高誘導に手を貸したことになります。それも当然、米国が批判してきたのは、「円安」「通貨安誘導」だから。過剰な円安は、日本にとっても米国にとってもマイナス、と思惑が一致して、日米協調しての円買い介入が実現しました。
現在の円高は長続きするでしょうか? 日本の緩和的な金融政策や財政拡張が続く限り、介入の効果は一時的で、いずれ円安に戻るとの見方もあります。一方、介入効果で円高にふれているうちに、日本銀行が利上げを実施して金融正常化をさらに進めれば、円高誘導が成功する可能性もあるという見方もあります。
正解
<第1問>正解円高メリット株
【3】日本マクドナルドホールディングス(2702)
【5】ニトリホールディングス(9843)
【6】王子ホールディングス(3861)
円安メリット株
【1】トヨタ自動車(7203)
【2】任天堂(7974)
【4】コマツ(小松製作所:6301)
一般的に、輸入産業は、円高になると輸入コストが低下するのでメリットを受けます。特に、小売業や外食業は、「海外から輸入して、国内で販売する」ビジネスモデルをとっていることが多く、円高がメリットとなることもあります。
日本マクドナルドホールディングスは、米国産牛肉を輸入して、食材として使っています。ニトリホールディングスは、中国などで生産した家具やインテリアを輸入して販売しています。
円高メリットを「受ける」と言わないで「受けることがあります」と言っているのには理由があります。「円高還元セール」のようなことをして、円高によってコストが下がった分を全て値下げしてしまうと、円高メリットが出ません。
厳しい競争にさらされているスーパーマーケットや外食業では、円高になっても、値下げが広がってメリットがほとんど残らないことがあります。
日本マクドナルドHDやニトリHDは、競争力が高いので、円高メリットが残ると考えられます。また、製紙業についても、かつてのように紙製品が輸入されることはほとんど無いので、円高がメリットになると思われます。
トヨタ自動車、任天堂、コマツは海外で稼ぐドル建て利益が大きいので、円高になると、その円換算利益が減るのでマイナスです。
<第2問>正解
金利上昇メリット株
【8】三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
【9】しずおかフィナンシャルグループ(5831)
【12】第一ライフグループ(8750)
金利低下メリット株
【7】三井不動産(8801)
【10】清水建設(1803)
【11】三菱重工業(7011)
銀行業は、金利上昇局面で預貸金利ザヤ(貸金金利と預金金利の差)が拡大するので、金利上昇で業績が拡大します。コア預金(給与振り込み・自動引き落としなどが設定された流動性預金)の残高が大きい銀行ほど、メリットが大きくなります。
生命保険業も、金利が上昇すると、保険金の運用利回りが高まるのでメリットを受けます。特に、終身保険の契約残高が大きい企業ほど、メリットが大きくなります。
一方、有利子負債の残高が大きい企業は、金利上昇がマイナスとなります。不動産、建設、造船重機などには、金利上昇がマイナスになる企業が多いです。
<第3問>正解
原油ガス高メリット株
【13】三井物産(8031)
【14】INPEX(1605)
【16】ENEOSホールディングス(5020)
原油ガス安メリット株
【15】ANAホールディングス(9202)
【17】日本郵船(9101)
【18】関西電力(9503)
三井物産、INPEX、ENEOSホールディングスは、海外で原油・液化天然ガス(LNG)などの資源開発を行い、日本に輸入しています。海外に資源権益を保有する「日の丸資源企業」です。原油ガス価格の上昇は日本経済にとってマイナスですが、これら企業の業績にはプラスです。
一方、空運(ANAホールディングス)・海運(日本郵船)など原油由来の燃料を使う企業や、電力などガス火力発電の比率が高い企業は、原油ガス高がマイナスとなります。
円高メリット株、金利上昇メリット株、原油ガス高メリット株への分散投資は有効
一般的に、円高、金利上昇、原油ガス高は、日本経済にマイナスで日本株の下落につながることが多いと言えます。そういう環境変化が業績にプラス寄与する銘柄を日本株ポートフォリオに入れておくことは、パフォーマンスを安定させる上で、効果があると思います。
最後に、成長株投資を書籍で学びたい方へ、以下、私の著書を紹介します。幻冬舎より今年5月に出版されました。私がファンドマネジャー時代に実際にやっていた成長株の選び方を解説しています。
2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーが明かす「超」成長株の見つけ方
(窪田 真之)

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