株価が上昇する要因はいろいろありますが、大きく「需給」と「企業価値増加」の二つに分けることができます。それぞれどのようなケースが当てはまるのか、そして個人投資家はどちらを重視すべきなのかを知っておきましょう。


「好業績なのに株価が上がらない…」投資が嫌になりそうなとき、...の画像はこちら >>

##株価が上昇する要因は第一義的には「需給」

 皆さんは、個別銘柄の株価が上昇する要因としてどのようなものを思い浮かべるでしょうか?


  • 業績が伸びている
  • 配当金を増額した
  • 株主優待の新設、拡充があった
  • 自社株買いの発表があった
  • 株式分割の発表があった
  • 他企業との業務・資本提携の発表があった
  • 画期的な新商品が開発された
  • 東証プライム市場への昇格があった
  • 日経平均株価などの株価指数への新規組み入れがあった

 ざっと思いつくだけでもこのようなものがありますが、いずれのケースも第一義的には株価は需給によって動きます。


「好業績だから株価が上がる」のではなく、「好業績だから今後株価が上がりそうだと思う投資家が増える」ことで、彼らの買いにより実際に株価が上昇する、というメカニズムになっているのです。


 ですから、どんなに好業績であっても、その時々のマーケットの時流から外れてしまうと、投資家からの買いが入らないため株価は上昇しない、ということも起こります。


 また、マーケット全体が軟調なときのように、株式そのものを保有することがリスクである、という風潮であっても、業績が良くても株価は逆に下がってしまうこともあります。


 この点はまず押さえるようにしてください。


単に一時的に需給が良くなるだけでは株価上昇は長続きしない

 上記のうち、例えば株式分割が行われれば、それによって1単元当たりの購入必要額が下がりますから買える投資家が増え、需給は良くなる可能性があります。しかし株式分割そのものは企業価値に対して何らプラスの効用はありません。


 また、業務・資本提携においても、それが発表されただけでは業績へのインパクトは未知数であり、「業績が良くなるかも」という期待感先行で株価が動きますから、それが持続するかどうかは不明です。


 実際の業績にプラスかどうかが不明で、期待感により株価が上昇する場合は、それが長続きせず、早晩株価が元に戻ってしまうこともある点は要注意です。


長期的に見れば、株価と企業価値は連動する

 長期的に見れば、やはり株価と企業価値は連動します。利益を増やし続けている企業の株価は長期的には大きく上昇する傾向があります。


 実際、アクティブファンドと呼ばれる投資信託は、組み入れ銘柄を選定する際に利益が増えていて企業価値の増大が見込まれるものを選んでいます。


 あるアクティブファンドの銘柄選定基準は、今後5年間にわたり、売上・利益が毎年10%以上増加すると見込まれる銘柄、とされています。


 これはまさに、企業価値が将来において高まる銘柄を保有することで、おのずと株価もそれについてくる、ということが過去の実績からも示唆されているからだと思います。


 ですから、一時的な需給の好転ではなく、業績が伸びているなど企業価値が今後高まると見込まれる銘柄を選定するのが、長期的に見れば正解といえるでしょう。


実践的には株価のトレンドに沿った行動が無難

 ただし注意したいのが、数年程度のスパンであれば、企業価値の増大と株価の上昇が連動しないことも少なからずある、という点です。


 実際、今年4月から6月にかけての日本株は、日経平均株価に採用されている半導体関連銘柄の大きな上昇が日経平均株価7万円突破の原動力になった一方、それ以外の銘柄の多くは、たとえ業績が伸びているものであっても株価は上がらないどころか、下げ続けるものさえありました。


 怖いのが、業績が伸びていて株価が軟調な状態で「この銘柄は業績が伸びているからそのうち株価は上昇するはず」と我慢して保有していたところ、「業績が悪化に転じてしまい、株価がさらに下がってしまう」という事態に陥ることです。


 確かに業績が伸びているのに株価が軟調なものもあった一方で、足元では好業績であるが将来の業績悪化を見越して株価が下げに転じているケースもありますから、「この株は上がるはず!」と決めつけないようにしましょう。


 筆者は、どんなに好業績で今後も業績の伸びが期待できる銘柄であっても、株価が下降トレンドにある間は投資を控え、上昇トレンドに転じるのを待ってから買うようにしています。株価のトレンドに逆らうのではなく、トレンドに沿った行動が無難だと思います。


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(足立 武志)

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