先週は世界的な長期金利の上昇やAI企業の巨額の社債発行に対する懸念でAI株中心に株価が大きく下落。今週は27日にエヌビディア決算、28日のジャクソンホール会議など、急落につながりかねないイベントがあるため、株価の停滞が予想されます。

相場悪化の影響を受けにくい、仮想通貨やウェブサービス関連の中小型株は盛り上がるかもしれません。


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今週のトピック:エヌビディア決算。ジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長講演

日付 イベント 8月25日(火) ・7月全国百貨店売上高
・米国で7月新築住宅販売件数、8月消費者信頼感指数 8月26日(水) ・米国で7月個人消費支出の価格指数、2026年4-6月期実質GDP改定値
・米国でエヌビディア(NVDA)、セールスフォース(CRM)、クラウドストライク(CRWD)などが決算発表 8月27日(木) ・米国ワイオミング州でジャクソンホール会議開催(29日[土]まで) 8月28日(金) ・8月東京都区部CPI
・ウォーシュFRB議長が講演予定

・27日(木)早朝の人工知能(AI)半導体の主力株・エヌビディア(NVDA)決算、28日(金)のジャクソンホール会議と相場急変の引き金になりかねない二大イベントが開催


・日米の長期金利上昇が止まらないようだと、AIデータセンター向け巨額債務が積み上がるAI半導体株は続落? 景気敏感株も上値が重い展開に


・ウォーシュ米国連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演で相場急変? 利上げ時期や回数のヒントを示さない期待外れな内容に終われば株価急落の恐れも!


8月24日(月)の日経平均

 前営業日比37円安の6万5,978円でスタート。プラス転換があったものの小幅安で動いていました。後場になり下げ幅を拡大、一時400円超安の下落となりました(8月24日14時現在)。


米国で進む「脱AI相場」の流れ…株価が前週比2.3倍に急騰した「米・バイオ医薬品銘柄」の正体
8月24日(月)の日経平均

先週(8月17~21日)の主要株価指数

  終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万6,016円 ▲2,697円 ▲3.93% TOPIX 4,067.2pt ▲129.9pt ▲3.10% ダウ 5万3,277ドル ▲455ドル ▲0.85% S&P500 7,674pt ▲111pt ▲1.43% ナスダック 2万6,180pt ▲548pt ▲2.05% 注:▲はマイナスを示す

今週のマーケット:長期金利上昇でAI投資ブームに暗雲!エヌビディア決算、ジャクソンホール会議で続落か?

 今週も株式市場では長期金利の上昇が株安要因になり、AI半導体株や景気敏感株の上値が重い展開になりそうです。


 週後半の日本時間27日(木)早朝にはAI関連の超主力株エヌビディア(NVDA)が決算発表。次世代半導体「ルービン」の販売状況など売り上げ見通しが市場予想を大きく上回るようだと、AI株の反転上昇に期待できるかもしれません。


 原油価格高騰の恩恵を受けやすい海運株や鉱業株、AI半導体株が下落すると上昇しやすいウェブサービス・ソフトウエア関連株、ドル売りの流れを受けて急騰する貴金属や暗号資産関連株などは比較的上昇しやすい状況が続くかもしれません。


 先週は米国の長期金利の指標となる10年国債の利回りが一時約20カ月ぶりに4.74%まで上昇し、より長期の30年国債の利回りは19年ぶりに5.3%台まで上昇。


 19日(水)には米国のベッセント財務長官が長期国債の買い戻し(バイバック)額を従来の2倍の1回当たり40億ドル(約6,360億円)に増額すると発表して金利上昇の火消しに走りましたが、効果は1日だけで米国の長期金利は再上昇に転じています。


 日本の10年国債利回りも20年ぶりに2.95%台まで上昇し、今週は3%の大台乗せも考えられます。


 世界的な金利上昇の背景には米国とイランの戦闘継続に伴うインフレ懸念や世界各国の財政赤字拡大の他、AIデータセンター建設に向けたAI関連企業の社債発行額の急増も懸念材料になっています。


 グーグルの親会社アルファベット(GOOG)が8月に2026年に入って3度目となる約4兆円の社債を発行するなど、AI企業の起債はついに債券市場を圧迫し始め、長期国債の下落と金利の上昇を生み出すほど巨額なレベルに達しています。


 先週の米国市場では、AI向けストレージ企業のシーゲート・テクノロジー・ホールディングス(STX)が13%安、設備投資のために大規模な増資を行った半導体メーカー大手のインテル(INTC)が12%安と急落。


 日本でもAIサーバー向けコンデンサー株の太陽誘電(6976)が15.6%安、半導体の材料となるシリコンウエハ製造のSUMCO(3436)が13.7%安。


 巨額の借金で建設されているAIデータセンター関連株を中心に下落しており、今週も金利上昇が続くようなら続落する恐れもありそうです。


 27日(木)早朝には、AIブームのけん引役となってきた高速半導体メーカー・エヌビディアが2026年5-7月期の決算を発表。売上高、利益ともに前年同期比2倍近くの急成長が予想されています。


 ただエヌビディア自体にも顧客企業に巨額の融資を行い、その資金で自社の高額半導体を購入させる循環取引に対する懸念があり、2026年に入ってからは決算発表後に株価が下落する展開が続いています。


 先週の米国株では皮膚がんワクチンで良好な治験結果を出したバイオ医薬品メーカーのモデルナ(MRNA)が前週末比2.3倍も急騰。同社とがんワクチンを共同開発する大手製薬会社のメルク(MRK)が12.3%高となるなど、医薬品株がAI株から相場の主役を奪取。


 AI株への関心が薄れ、個別の好材料が出た非AI株が上昇する脱AI相場の流れが今週も続きそうです。


 日本株では弁護士向け営業支援サイトを運営する弁護士ドットコム(6027)が先週も19.3%上昇するなど、中小型のウェブ関連株が今週も続騰するかに注目したいところ。


 先週は米国財務省の国債買い戻し額増額で発生したドル安をきっかけにビットコインや金、銀の価格が上昇。今週もメタプラネット(3350)など暗号資産関連株、住友金属鉱山(5713)やフルヤ金属(7826)などの貴金属関連株が人気化するかもしれません。


 また先週、3.7%高と続伸したトヨタ自動車(7203)など大手自動車株に今週も見直し買いが入るようなら、市場の雰囲気が良くなる可能性もあります。


注目イベント:ジャクソンホール会議開催。「期待外れ」の講演なら株価急落の可能性も

 27日(木)からは米国のカンザスシティ連邦準備銀行が主催し、世界中の中央銀行総裁が一堂に会する経済シンポジウム・ジャクソンホール会議が29日(土)まで開催されます。


 米国のウォーシュFRB議長が初の基調講演を行うのは28日(金)の予定ですが、最近のインフレや長期金利上昇をどう抑え込むかを明確に示すかどうかに注目が集まります。


 ウォーシュFRB議長は金融政策の見通しや予想を市場に明示することに消極的で、FRBがインフレ抑え込みに失敗するのではないかという懸念も先週の世界的な長期金利の上昇につながっています。


 市場からの催促を受けたウォーシュFRB議長が利上げ路線を明確にしても、逆に従来通り、金融政策の見通しを示さず市場を疑心暗鬼に陥らせても株価には悪影響が出るでしょう。


 26日(水)には米国の7月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)も発表されます。


 米国の7月消費者物価指数(CPI)は2カ月連続で伸び率が鈍化しており、7月PCEデフレーターも予想通り前年同期比3.6%以下まで伸び率が鈍れば、市場に多少の安心感が広がる可能性もあります。


市場別マーケット動向

日本市場

 今週は25日(火)に7月の全国百貨店売上高が発表されます。


 前月6月の売上高は株高による高額品の消費拡大やインバウンド需要の高止まりで、6カ月連続のプラスで推移。人口の多い10都市の売上高は前年同月比4%増と高い伸びを示しています。


 今回7月分も高い伸びが続き国内消費の堅調さが確認されるようなら、三越伊勢丹ホールディングス(3099)、阪急・阪神百貨店を擁するエイチ・ツー・オーリテイリング(8242)、高島屋(8233)など百貨店株が大きく上昇するかもしれません。


米国市場

 米国では金利上昇にともない、AIデータセンター投資に伴う債務増加が不安視され、AIデータセンター株やアルファベット、アマゾン・ドット・コム(AMZN)などハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)株の不安定な値動きが続きそうです。


 長期国債の買い戻し額倍増でも金利上昇を食い止められなかったベッセント財務長官がさらなる秘策を繰り出すと、AI株などが一時的に反発上昇するかもしれません。


 米国株も長期金利の推移に強い影響を受けながら、週半ば以降のエヌビディア決算やジャクソンホール会議に向け、週前半は上値の重い停滞相場になる可能性が高そうです。


業種・銘柄の動き

銘柄 先週の騰落率 ポイント キオクシアホールディングス(285A) +1.1% 上昇の勢いが失速。エヌビディア決算で人気再燃? メタプラネット(3350) +38.5% ドル安に伴う暗号資産高で急騰。人気の高い低位株だけに今週も上昇? エイチ・ツー・オーリテイリング(8242) +3.0% 好業績で百貨店株の中でも上昇の勢いが強い! エヌビディア(NVDA) ▲4.6% 決算を控えて売られる。循環取引懸念などで今週急落も? 注:▲はマイナスを示す

先週までの振り返り:電気機器、機械などAI周辺株が幅広く売られる!海運株や中小型のウェブ関連株が絶好調!

 先週は米国・イランによるホルムズ海峡の二重封鎖で原油価格の上昇が続いていることもあり、週間の業種別上昇率1位に海運業、2位に鉱業、4位に石油・石炭製品が入るなど、資源関連株が上位を独占しました。


 米国のイランに対する経済制裁発動によるコンテナ船の船賃高騰期待で川崎汽船(9107)が12.4%高、主力の日本郵船(9101)が11.0%高。日本郵船の8月上昇率は前月末比16.2%高に達しており、ホルムズ海峡封鎖が続く限り、海運株の上昇も続きそうです。


 世界各国に原油の権益を持つINPEX(1605)は4.6%高、原油高で在庫評価益の増加に期待できる石油元売り最大手のENEOSホールディングス(5020)が3.1%高でした。


 上昇した業種は33業種中9業種しかなく、AI株下落の影響力が強い電気機器が週間下落率ワースト1位、AIデータセンター向け部材会社など半導体関連の周辺株が多いガラス・土石製品、機械、金属製品セクターも下落率下位に沈みました。


 半導体製造装置も手掛けるアルバック(6728)が今期2027年6月期の減収予想を発表して19.0%安、韓国製半導体メモリの販売絶好調で大幅増配を発表して急騰してきたトーメンデバイス(2737)が9.7%安。


 AI株ブームで買われてきた周辺銘柄の下げが目立つ1週間でした。


 一方、EC・旅行サイト向けAI搭載プラットホーム事業が好調なAppier Group(4180)が15.3%高、eギフトサービスを企画・開発するギフティグループ(590A)が17.3%高となるなど、前述の弁護士ドットコムをはじめ、株価が底値圏にあったウェブ関連株の反転上昇が続きました。


セクター・業種(上昇・下落)

銘柄 騰落率 備考・要因 海運業 +11.44% 船賃高騰期待で突出した上昇率 鉱業 +4.55% 原油価格上昇を好感 電気・ガス業 +4.34% 企業向け電気料金値上げが材料視される ガラス・土石製品 ▲6.30% 日本特殊陶業(5334)、ニチアス(5393)など
好決算発表企業に利益確定売り 電気機器 ▲7.21% コンデンサー株などAI半導体株が幅広く売られる 注:▲はマイナスを示す

(トウシル編集チーム)

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