レーザーテックの2026年6月期4Qは、26.3%減収、37.8%営業減益だったが、会社予想は上回った。受注高は2025年6月期1,052億円から2026年6月期2,375億円へ急回復。

2027年6月期も3,000億~4,000億円へ伸びる見込み。先端ロジック向けに加えDRAM向けが新分野になると思われる。楽天証券の目標株価を維持する。


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決算レポート:レーザーテック(2027年6月期受注高は大幅増へ)
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本レポートに掲載した銘柄:レーザーテック(6920、東証プライム)


1.レーザーテックの2026年6月期4Qは、26.3%減収、37.8%営業減益。会社予想を上回る。

 レーザーテックの2026年6月期4Q(2026年4-6月期。以下前4Q)は、売上高609.46億円(前年比26.3%減)、営業利益270.68億円(同37.8%減)となりました。品目別売上高を見ると半導体関連装置(フォトマスク欠陥検査装置等)が434.26億円(同37.4%減)と大幅に減少しました。ただし、サービスは検査装置の累計出荷台数増加によって保守サービスが増えたため、165.83億円(同39.3%増)と大幅に増えました。


 この結果、2026年6月期通期では、売上高2,304.85億円(同8.3%減)、営業利益1,052.59億円(同14.3%減)となり、前3Q決算時の会社予想、売上高2,200億円(同12.5%減)、営業利益1,000億円(同18.6%減)を上回りました。この要因は、半導体関連装置とサービスの売上高が会社予想を上回ったことで売上総利益率も会社予想を上回ったと思われますが、その結果、研究開発費の増加分を吸収できたことによると思われます(前期の研究開発費162.92億円は会社予想130億円を上回りました)。


 通期ベースの製品別売上高を見ると(会社側は2025年6月期から製品別売上高、受注高を通期ベースでのみ開示)、「ACTIS」(EUV光を使ったフォトマスク欠陥検査装置。

EUV露光装置用フォトマスクの欠陥検査に使う)は2025年6月期1,148億円→2026年6月期705億円へ大幅減となりましたが、「MATRICS」(DUV光(ディープUV光)を使ったフォトマスク欠陥検査装置。EUV露光装置向け、ArF液浸露光装置などのDUV露光装置向けに使う。一世代前の製品)は同506億円→512億円へやや増加しました。


 通期ベースの受注高は、2025年6月期1,052億円から2026年6月期2,375億円に急増しました。このうち「ACTIS」は同マイナス105億円(2025年6月期4Qに推定1台、ACTISのキャンセルがあったこと、受注見込みだったACTIS(推定1台)が受注できなかったことによる)から620億円に、MATRICSは同453億円から772億円に急増しました。


表1 レーザーテックの業績
決算レポート:レーザーテック(2027年6月期受注高は大幅増へ)
株価 38,820円(2026/8/14)発行済み株数 89,631千株時価総額 3,479,475百万円(2026/8/14)単位:百万円、円出所:会社資料より楽天証券作成注1:当期純利益は親会社の所有者に帰属する当期純利益。注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。

表2 レーザーテック:品目別売上高(四半期)
決算レポート:レーザーテック(2027年6月期受注高は大幅増へ)
単位:百万円出所:会社資料より楽天証券作成注:端数処理のため合計が合わない場合がある。

表3 レーザーテックの品目別受注高、受注残高(通期ベース)
決算レポート:レーザーテック(2027年6月期受注高は大幅増へ)
単位:百万円出所:会社資料より楽天証券作成。注:端数処理のため合計が合わない場合がある。

表4 レーザーテックの売上高、受注高内訳(通期ベース)
決算レポート:レーザーテック(2027年6月期受注高は大幅増へ)
単位:100万円出所:会社資料より楽天証券作成注:2024年6月期以降の売上高、受注高の内訳は会社開示の億円単位の数字を百万円単位で表示したため、合計が合わない場合がある。

2.会社側は2027年6月期受注高を3,000億~4,000億円と予想。

 2027年6月期の会社予想業績は、売上高2,900億円(前年比25.8%増)、営業利益1,250億円(同18.8%増)です。会社側は全社受注高を2026年6月期2,375.04億円に対して2027年6月期3,000億~4,000億円と予想しています。前期2026年6月期に続き今期2027年6月期も受注高が大きく増加する見込みなので、売上高は今期、来期と順調に伸びると思われます。受注から出荷までのリードタイムは、最も長い「ACTIS」が約14カ月なので、今期の受注増加は今期、来期の売上高増加に結びつくと予想されます。


 一方で、会社予想では営業利益率は前期45.7%から今期会社予想43.1%に低下する見込みです。会社側によれば、製品の売上構成の変化によって売上総利益率が低下すると予想されることや(「ACTIS」の採算は受注案件によってばらつきがあると思われる)、研究開発費の増加(2025年6月期116.77億円、2026年6月期162.92億円、2027年6月期会社予想200億円)などによります。


 主力製品の「ACTIS」の動きを見ると、今の主力機種の「ACTIS A150」の検査速度を3倍に高めた「A200HiT」の評価をこれから主要顧客において行う予定です。この評価が終われば、「A200HiT」の追加受注がフォトマスク欠陥検査装置の需要が多い生産ライン(ファブ)から入る可能性があります。ただし、他のファブからも評価を兼ねた追加発注を得ている模様です。


 また、最先端EUV露光装置である高NA型EUV露光装置に対応した「A300」は、今上期に先端ロジックのマスクショップ(半導体工場においてフォトマスクの製造と検査を行う部署)とファブ(生産ライン向けだが研究開発用になる模様)からの受注が予想されます。今下期にはDRAM向けでマスクショップ向けの「A300」の受注も予想されます(会社側は複数社からの受注を見込んでいます)。「A150」→「A200HiT」→「A300」と単価が高くなるため、「A200HiT」「A300」の受注が予想されることが今期の受注高大幅増加見通しの理由になっています。


 EUV露光装置では、通常型の低NA型だけでなく、高NA型が先端ロジック向けのほか、DRAM向けに需要が増えています。これに伴って、「ACTIS」の顧客も先端ロジックからDRAMへ拡大することが期待されます。先端ロジックでは、現在行われている2ナノ、3ナノの増強に加え、1.4ナノ(TSMCでは2028年稼働開始の計画)の初期投資が2027年にも始まると思われます。先端ロジックとDRAMの両方で微細化が進みEUV露光装置の需要が増えることは、「ACTIS」の需要にとってプラスとなります。


 このような状況から、楽天証券ではレーザーテックの業績を、2027年6月期は売上高3,000億円(前年比30.2%増)、営業利益1,320億円(同25.4%増)、2028年6月期は売上高4,000億円(同33.3%増)、営業利益1,860億円(同40.9%増)と予想します。


 研究開発費と販管費の増加が予想されるため、今期、来期の営業利益予想は前回予想より下方修正しますが、2028年6月期は1.4ナノ投資が本格化すると思われるため、2027年6月期よりも営業増益率が高くなると予想されます。


表5 レーザーテックの売上高内訳:通期ベース
決算レポート:レーザーテック(2027年6月期受注高は大幅増へ)
単位:百万円出所:会社資料より楽天証券作成。

3.レーザーテックの今後6~12カ月間の目標株価は、前回の5万8,000円を維持する。

 レーザーテックの今後6~12カ月間の目標株価は、前回の5万8,000円を維持します。


 楽天証券の2028年6月期予想1株当たり利益(EPS)1,493.9円に、成長性とリスクの両方を評価して、想定株価収益率(PER)35~40倍を当てはめました。


 楽天証券では今期、来期の営業利益予想を下方修正しますが、「ACTIS A200HiT」「A300」の成長が期待できるため、利益成長自体は続くと予想されます。


 引き続き中長期で投資妙味を感じます。


本レポートに掲載した銘柄:レーザーテック(6920、東証プライム)


(今中 能夫)

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