貨物輸送のための鉄道会社が旅客輸送を引き継ぐ

 鹿島臨海鉄道大洗鹿島線は、水戸~鹿島サッカースタジアム間53kmを結ぶ路線です。鹿島臨海鉄道の設立は1969(昭和44)年。

翌年に開業を控えた国鉄鹿島線と連動して、鹿島臨海工業地帯へ貨物輸送を行うために設立されました。そして1970(昭和45)年、貨物線の鹿島臨港線北鹿島(現・鹿島サッカースタジアム)~奥野谷浜間が開業しました。

関東では座席が激レア!? 開業以来の古豪2両編成が高架線を疾...の画像はこちら >>

 1978(昭和53)年、成田空港への航空燃料の暫定輸送に対する地元への見返りとして、北鹿島~鹿島港南間で旅客営業を開始。国鉄鹿島線の鹿島神宮まで直通運転を行いました。しかし列車はわずか1日3往復で、北鹿島でのスイッチバックもあり、鹿島神宮~鹿島港南間18.6kmに26分を要しました。

 利用客は極めて少なく、1983(昭和58)年に旅客営業が廃止されます。翌年、国鉄鹿島線の延伸区間である北鹿島~水戸間の引き受けを国鉄が拒否したため、茨城県議会は鹿島臨海鉄道に延長区間を引き受けさせることにします。

 1985(昭和60)年、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線として旅客営業を再開。それまでの鹿島臨港線とはほぼ重ならない区間での営業で、日本鉄道史でも異例の事態といえます。

 列車は、1992(平成4)年にリクライニングシートを備えた7000形気動車が製造され、快速「マリンライナーはまなす」として運行されたこともありましたが、1998(平成10)年に廃止され、それ以降は各駅停車のみの運行です。

 鹿島臨海鉄道では、時刻表にトイレ付き車両が明記されています。トイレ付き車両は、開業以来走る2扉・転換式セミクロスシートの6000形気動車です。

関東で転換式クロスシートを導入している鉄道は非常に珍しく、狙って乗車することにします。

 それ以外の列車は、2016(平成28)年から導入された8000形気動車です。こちらは3扉ロングシート車でトイレはなく、6000形と設備が大きく異なります。2026年度からは新形式の気動車が導入される予定です。

通勤・通学時間帯はほぼ全駅で乗降多数

 早朝の鹿島線で鹿島神宮に到着し、7時35分発の水戸行きに乗車します。6000形2両編成にはたくさんの高校生が乗車しており、1号車だけで乗客は41人でした。

 線路は高架線で踏切はなく、列車はスムーズに加速します。7時40分頃、鹿島サッカースタジアムを通過します。JR東日本の駅で、鹿島臨海鉄道との境界駅です。試合開催日などを除き、全列車が通過します。

 7時43分、荒野台着。1号車には21人が乗り、立客が出る盛況でした。

7時46分、長者ヶ浜潮騒はまなす公園前に到着。1990(平成2)年に大野潮騒はまなす公園が整備された際に造られた駅であり、開業時は日本一長い駅名でした。時刻表では「はまなす公園前」「公園前」のように略されます。ここでも8人が乗車し、さらに混雑が増します。

 大洗鹿島線は線形が良く、最高速度も90km/hとなかなかの速さです。しかも、6000形は現在の車両では標準装備といえる空気ばね台車ではないので、大きく揺れます。転換式クロスシートは背もたれが高く、プライベート感があります。しかし、背もたれの曲線にやや無理があり、転換しない座席の方がかなり快適でした。

 車窓は田園風景と森が続きます。強いて言えば進行方向右側(海側)に駅ホームが多く、変化があります。7時49分の鹿島大野でさらに31人が乗車。ほぼ全員が高校生であり、通路まで埋まります。

混雑した車内は、たちまちがら空きに

 7時53分の鹿島灘で7人乗車・1人下車。通勤・通学時間帯ですが、ほぼ全ての駅でかなりの乗車があることに驚きます。現在は通常最大2両編成ですが、一時期は4両編成まで運行されていたこともうなずけます。

 2分遅れの8時ちょうどに大洋に到着し、さらに21人が乗車します。首都圏の通勤電車のような混み方で、2両編成ならロングシート車の導入もやむを得ないように感じました。8時3分の北浦湖畔では車窓に北浦が見られます。初めて乗降がありませんでした。

 8時8分の新鉾田で高校生の大半が下車していきました。鉾田第一高校と鉾田第二高校があるからでしょう。鉾田市の代表駅です。かつては徒歩20分ほどの距離に鹿島鉄道鉾田駅がありました。

 列車は、がら空きになりました。

乗客は1号車17人、2号車10人。2号車は冷房が故障しているため、1号車に移るよう案内されます。

 8時25分の徳宿は乗降なし。8時30分の鹿島旭で4人乗車。線形も見晴らしも良い高架区間ですが、かなり列車が揺れます。

 8時35分の涸沼は乗降なし。8時42分、本社のある大洗に到着し11人が乗車します。ここから列車本数が増え、1時間に2本以上運行されます。アニメ『ガールズ&パンツァー』の聖地であり、ラッピング列車も走っています。

 8時51分の常澄は1人乗車。8時56分の東水戸は乗降がなく、終点の水戸では33人が列車を降りていきました。

 帰路、水戸15時34分発の鹿島神宮行きに乗りました。

水戸発の時点で1号車34人、2号車30人とかなりの乗車。大きな動きは、大洗で20人ほどが下車し同数が乗車したこと、新鉾田で20人が下車し30人が乗車したことでした。常澄で4人が乗車し、鹿島大野で6人が下車するなど、各駅でそれなりの動きがあり、需要の大きさを感じます。

 今後、数を減らしていく6000形を今のうちに見るのも楽しいと感じます。ただ、鹿島神宮~水戸間は1時間以上かかるため、新型車両へのトイレ装備は検討されてもよいように感じました。

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