~2026年度「賃上げに関するアンケート」調査~


 2026年度に賃上げを実施した企業は83.2%(前年度82.0%)で、前年度から1.2ポイント上昇した。2023年度の84.8%をピークに、前年度まで2年連続で低下したが、3年ぶりに上昇し、5年連続で80%台を維持した。また、賃上げ率「5%以上」は、中小企業42.6%、大企業41.4%で、2023年度以来、3年ぶりに中小企業が大企業を上回った。



 規模別の賃上げ実施率は、大企業が93.8%(前年度92.6%)、中小企業が82.3%(同80.9%)で、ともに前年度を上回った。大企業と中小企業の差は11.5ポイントで、前年度の11.7ポイントからわずかに縮小した。企業規模による賃上げ率の差は依然大きいものの、中小企業にも賃上げの動きが広がった。
 産業別の賃上げ実施率は、製造業が90.0%で最も高く、運輸業89.6%、卸売業88.8%と続く。
 賃上げ率では、「5%以上」が42.5%と前年度から2.9ポイント上昇した。3年ぶりに中小企業が大企業を上回り、物価高や人手不足、退職防止への対応で賃上げを迫られる状況で、中小企業でも一段踏み込んだ賃上げに動く企業が増えたようだ。
 2026年度は賃上げ実施率が3年ぶりに上昇に転じ、賃上げ率「5%以上」は中小企業が大企業を上回るなど、賃上げの裾野が広がった。ただ、物価高や人件費などのコスト上昇が続くなかで、防衛的な賃上げが多く、賃上げ原資を継続的に確保できるかは企業格差が大きい。
 賃上げを一過性に終わらせず、価格転嫁や生産性向上などで「稼ぐ力」を高め、持続的な賃上げにつなげられるかが今後の課題になっている。
※本調査は、2026年7月31日~8月11日にインターネットによるアンケートを実施し、有効回答5,909社を集計・分析した。
※賃上げ実態を把握するため「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)の増額」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義した。
※資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。

Q1.今年度、賃上げを実施しましたか?(択一回答)

賃上げ実施率 83.2%
 賃上げを「実施した」との回答は83.2%(5,909社中、4,919社)で、前年度82.0%から1.2ポイント上昇した。
 2024年度、2025年度と2年連続で実施率が前年度を下回っていたが、3年ぶりに上昇に転じた。
 なお、賃上げの実施率は5年連続で80%台の高水準を維持している。
 規模別の実施率は、大企業が93.8%(前年度92.6%)、中小企業が82.3%(同80.9%)で、ともに前年度を上回った。
 大企業と中小企業の実施率の差は11.5ポイントで、前年度の11.7ポイントからわずかに縮まったが、依然として10ポイントを超える差となっている。
 賃上げの広がりがみられる一方で、企業規模による賃上げ余力の差は大きい。

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2026年度の「賃上げ」 83.2%の企業で実施 賃上げ率5%以上、中小企業が大企業を上回る
Q1.今年度、賃上げを実施しましたか?


産業別 賃上げ実施率、製造業が90.0%で最大

 Q1の結果を産業別で集計した。
 賃上げ実施率が最も高かったのは、製造業の90.0%(1,381社中、1,243社)だった。次いで、運輸業が89.6%(233社中、209社)、卸売業が88.8%(1,051社中、934社)と続く。
 一方、最も低かったのは不動産業の59.1%(240社中、142社)で、唯一6割を下回った。次いで、情報通信業が72.5%(354社中、257社)、小売業が78.0%(314社中、245社)と、5産業で賃上げ実施率が80%を切った。
 前年度との比較では、10産業中、8産業で賃上げ実施率が上昇した。上昇幅が最も大きかったのは農・林・漁・鉱業で、前年度74.0%から82.3%へ8.3ポイント上昇した。次いで、不動産業が53.1%から59.1%へ6.0ポイント、小売業が72.1%から78.0%へ5.9ポイント上昇した。


 一方、低下したのは情報通信業と建設業の2産業で、情報通信業は前年度74.0%から72.5%へ1.5ポイント、建設業は84.8%から84.3%へ0.5ポイント、それぞれ低下した。両産業とも、人材獲得競争が続くが、小規模事業者を中心に受注や収益力のばらつきが大きく、賃上げにも差が出たとみられる。前年度に実施率トップだった運輸業は、前年度89.6%からほぼ横ばいだった。
 規模別では、すべての産業で大企業の実施率が中小企業を上回った。差が最も大きかったのは不動産業で、大企業88.0%に対し、中小企業55.8%と32.2ポイントの差があった。
 不動産業は少人数で運営する事業者が多く、企業規模により業態や収益構造も大きく異なる。大手は人材確保を意識した賃金制度の見直しが進む一方、小規模事業者では賃貸収入や仲介手数料など、事業ごとの収益状況に左右されやすく、賃上げ対応に差が出た可能性がある。
 次いで、金融・保険業が20.5ポイント、農・林・漁・鉱業が18.4ポイント差で続いた。

2026年度の「賃上げ」 83.2%の企業で実施 賃上げ率5%以上、中小企業が大企業を上回る
産業別 回答状況


Q2. Q1で「賃上げを実施した」と回答した方にお聞きします。実施した内容は何ですか。(複数回答)

 「ベースアップ」実施企業は6割

 Q1で「実施した」と回答した企業に賃上げ項目を聞き、4,876社から回答を得た。
 最高は、「定期昇給」の72.7%(3,549社)だった。

次いで、「ベースアップ」61.1%(2,983社)、「賞与(一時金)の増額」46.6%(2,276社)、「新卒者の初任給の増額」26.3%(1,285社)、「再雇用者の賃金の増額」16.4%(803社)の順だった。
 「定期昇給」の実施率は、前年度76.2%から72.7%へ3.5ポイント低下した。一方、「ベースアップ」は前年度59.6%から61.1%へ1.5ポイント上昇し、2年ぶりに6割台に乗せた。
 「ベースアップ」は継続的な人件費負担につながるが、人材確保や物価上昇への対応を背景に、基本給そのものを引き上げる動きが広がっている。

 規模別の「ベースアップ」は、大企業が71.3%(423社中、302社)、中小企業が60.2%(4,453社中、2,681社)で、大企業が11.1ポイント上回った。ただ、中小企業でも6割を超え、賃上げ原資に制約があるなかで、ベースアップに踏み切る企業が増えていることを物語っている。
 「賞与(一時金)の増額」は、中小企業が47.0%(2,095社)で、大企業42.7%(181社)を4.3ポイント上回った。業績に応じて配分しやすい賞与の実施率は中小企業で特に上昇している。


2026年度の「賃上げ」 83.2%の企業で実施 賃上げ率5%以上、中小企業が大企業を上回る
Q2. Q1で「賃上げを実施した」と回答した方にお聞きします。実施した内容は何ですか

Q3.賃上げ率(%)はどの程度ですか?年収換算ベース(100までの数値)でご回答ください。

最多レンジは「5%以上6%未満」
 賃上げを実施した企業へ賃上げ率を聞き、2,979社から回答を得た。
 1%刻みのレンジで最も高かったのは「5%以上6%未満」の26.3%(785社)。次いで、「3%以上4%未満」が25.1%(749社)、「4%以上5%未満」が15.0%(449社)の順だった。


 賃上げ率「5%以上」は42.5%(1,269社)で、前年度39.6%(1,340社)から2.9ポイント上昇した。
 「5%以上」を規模別でみると、中小企業が42.6%(2,745社中、1,172社)、大企業が41.4%(234社中、97社)で、2023年度(中小企業37.0%、大企業28.7%)以来、3年ぶりに中小企業が大企業を上回った。
 コロナ禍後の物価高や人手不足を背景に、大企業が高水準の賃上げを牽引してきたが、今年度は中小企業で「5%以上」の賃上げに踏み切る動きが広がった。一方、大企業は、最多レンジが「3%以上4%未満」の26.4%(62社)で、「5%以上」が前年度42.8%から41.4%へ1.4ポイント低下するなど、一服感もうかがえる。
 産業別では、賃上げ率「5%以上」が最も高かったのは農・林・漁・鉱業の53.5%(28社中、15社)だった。次いで、不動産業52.5%(78社中、41社)、小売業50.6%(146社中、74社)で続き、3産業で半数を超えた。

2026年度の「賃上げ」 83.2%の企業で実施 賃上げ率5%以上、中小企業が大企業を上回る
賃上げ率(全体)(前年度比)

2026年度の「賃上げ」 83.2%の企業で実施 賃上げ率5%以上、中小企業が大企業を上回る
産業別 回答状況


Q4.トランプ関税は、貴社の今年度の賃上げに影響を与えますか?(複数回答)

 トランプ関税による今年度の賃上げへの影響は、「ネガティブに影響することはない」が81.3%(5,025社中、4,088社)で最も高かった。前年度70.4%(5,810社中、4,096社)から10.9ポイント上昇し、賃上げへの懸念は大きく後退した。
 ネガティブな影響では、「賞与の増額を見送る、もしくは増額幅を縮小」が10.0%(505社)で最も高く、次いで、「ベースアップを見送る、もしくはアップ幅を縮小」が8.9%(449社)、「定期昇給を見送る、もしくは昇給幅を縮小」が6.8%(343社)だった。

 トランプ関税は、昨年発動された「相互関税」は無効となったが、別の法律を根拠とした新たな関税措置が打ち出されている。
 関税をめぐる先行きの不透明感は残るが、現状はトランプ関税を理由に賃上げを抑制する企業は減少しており、警戒感が強かった前年度と比べて影響を限定的にみる企業が多いようだ。

2026年度の「賃上げ」 83.2%の企業で実施 賃上げ率5%以上、中小企業が大企業を上回る
Q4.トランプ関税は、貴社の今年度の賃上げに影響を与えますか?


Q5.トランプ関税は、貴社の来年度の賃上げに影響しますか?(複数回答)

 来年度の賃上げへの影響では、「ネガティブな影響はないだろう」が77.0%(4,916社中、3,787社)で最も高かった。前年度62.6%から14.4ポイント上昇し、先行きへの警戒感は大きく和らいでいる。


 影響を見込む回答では、「賞与の増額を見送る可能性がある」が13.6%(671社)で最も高く、次いで「ベースアップを見送る可能性がある」が12.6%(620社)、「定期昇給を見送る可能性がある」が8.0%(397社)と続くが、いずれも前年度を下回った。
 ただ、今年度について「ネガティブに影響することはない」とした81.3%に対し、来年度は77.0%と4.3ポイント低く、先行きにはなお慎重な見方が残っている。

2026年度の「賃上げ」 83.2%の企業で実施 賃上げ率5%以上、中小企業が大企業を上回る
Q5.トランプ関税は、貴社の来年度の賃上げに影響しますか?

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