マテハン大手の「ダイフク」インオーガニック戦略が具体化の時期に

マテリアルハンドリング(モノの搬送・保管・仕分け)大手のダイフク<6383>が、M&A戦略を検討段階から実行段階へ移している。

現行の中期経営計画ではインオーガニック戦略(外部の資源を活用して成長する戦略)を積極的に検討するとの表現にとどまっていたが、2026年2月に公表したアップデート版で米国、インドなど重点市場での競争力強化に向けてM&Aを活用する方針や、M&Aによる事業拡大の方向性を明記した。

さらに同年5月公表の成長投資資料では、2026年12月期~2029年12月期にM&Aなどへ約120億円+αを充てる考えを示した。

すでに2026年4月には、産業用塗装・搬送システムの設計を手がけるドイツのEISENMANN GmbHの子会社化を発表(2026年7月実施予定)しており、インオーガニック戦略は具体化の時期に入ったと言えそうだ。

成長戦略で外部資源活用を明確化

ダイフクは2024年に策定した2027年12月期を最終年とする現行の中期経営計画で、800億円の戦略投資枠を設定し、生産設備の拡充や新規事業の育成などと並んで、M&Aを含むインオーガニック戦略の推進を掲げた。

ただし、この800億円は戦略投資全体の枠であり、M&Aに充てる金額は明示していなかった。

同社は2026年2月に同計画のアップデート版を公表し、2026年12月期の重点施策としてグローバル成長戦略の加速を打ち出した。

米国、インドなど重点市場でのプレゼンス(存在感、事業基盤)の拡大や、各地域の市場特性に応じた開発力強化に取り組むとともに、M&Aも活用して競争力強化のスピードを高める方針だ。

加えて、既存分野での成長にとどまらず、M&Aを活用した事業拡大や、食・環境などの新領域開拓も進め、中長期的な成長につなげる考えを明らかにした。

さらに2026年5月公表の成長投資資料では、2026年12月期~2029年12月期にM&Aなどへ約120億円+αを充てる考えを示し、M&A戦略を投資額の面でも具体化した。

海外・周辺領域をM&Aで取り込む

ダイフクはこれまでも、海外事業やマテリアルハンドリング関連事業の取り込みを目的にM&Aを実施してきた。

2011年には空港手荷物搬送事業を手がける英国のLogan Teleflex (UK) Ltd.など欧米の3社を子会社化し、翌2012年に日立プラントテクノロジーからクリーン搬送システムのサービス事業を譲り受けた。

さらに2014年には、空港手荷物搬送システム事業のニュージーランドBCS Groupを子会社化した。

直近では2026年4月に、産業用塗装・搬送システムを設計するドイツのEISENMANN GmbHの子会社化を発表した。欧州市場で自動車生産ライン向けシステム事業を強化する狙いがあり、同年7月に子会社化する。

一連のM&Aは、空港手荷物搬送、クリーン搬送、自動車生産ライン向けシステムと対象分野は異なるものの、いずれも既存技術を起点に海外市場や関連領域を広げる動きだった。

今回のアップデートでM&Aの活用を明記したことは、こうした外部資源の取り込みを、グローバル成長戦略の中で改めて強める姿勢を示している。

中期経営計画のアップデート版で方針を示し、成長投資資料で投資額を示したことで、同社が今後も重点市場や新領域でM&Aを活用する可能性は高いといえる。

利益目標を上方修正

ダイフクの2025年12月期の売上高は6607億2400万円だった。前年度が9カ月の変則決算のため、増減率は示していない。

主力はマテリアルハンドリングシステム・機器、洗車機などの製造・販売を手がけるダイフク部門で、売上高全体の37.3%と最大の割合となった。

北米を中心にマテリアルハンドリングシステムなどを展開するDaifuku North America, Inc.グループ部門(売上高構成比25.1%)と合わせて、2部門で売上高の60%超を占めた。

マテハン大手の「ダイフク」インオーガニック戦略が具体化の時期に
ダイフクの売上高構成比

ダイフクはアップデート版で業績計画も修正した。

2027年12月期の営業利益目標を920億円から1200億円に、営業利益率を11.5%から15.0%に引き上げた。

一方、同期の売上高目標は8000億円のまま据え置いており、モノづくり、提案力、プロジェクト管理の強化で収益性を高め、同じ売上規模でもより高い利益を確保する計画だ。

ダイフクは市場環境について「労働力不足やデジタル化を背景に、自動化ニーズはグローバルで拡大している」と分析する。

市場拡大を背景とした収益性の改善は、M&Aや新領域開拓への投資余力につながる。

M&Aを含むインオーガニック戦略は、成長市場を取り込むうえで重要な手段となりそうだ。

マテハン大手の「ダイフク」インオーガニック戦略が具体化の時期に
ダイフクの事業内容

文:M&A Online記者 松本亮一

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