LIXILは建材・住宅設備最大手として押しも押されもせぬ存在だ。窓・サッシやドア、インテリア、トイレ、キッチン、バスなどが主力製品。
トステムとINAXが経営統合
LIXILは2001年、トステムとINAXが経営統合して共同持ち株会社「INAXトステム・ホールディングス」(2004年に住生活グループに社名変更)を発足したことに始まる。両社の実力経営者が大同団結を決断した。
当時、トステムのトップは後発の同社を一代でアルミサッシ最大手に育て上げた潮田健次郎氏。かたやINAXはタイル・衛生陶器の同社をキッチン、洗面台、バスなどを含めた住宅設備メーカーに転身させ、“中興の祖”とされた伊奈輝三氏が率いていた。
同業大手の買収に動いたのは2010年。持ち株会社のもとに、キッチン・流し台などのサンウエーブ工業、サッシなどアルミ建材の新日軽を加え、陣容を拡充した。
次いで2011年、持ち株会社にぶら下がっていたトステム、INAX、サンウエーブ工業、新日軽、東洋エクステリアの5社を統合し、「LIXIL」として再編した。
LIXILはLIVING(住まい)とLIFE(人生)を掛け合わせた造語。トステム、INAXは製品ブランドとして現在も続く。
傘下5社の統合を受け、2012年に持ち株会社の名称を「LIXILグループ」に改めた。その後、2020年に持ち株会社を廃止。
グローバルリーダーへ米欧で大型買収
「住生活産業のグローバルリーダーを目指す」ー。こんな掛け声とともに、海外でのM&Aにアクセルを踏み込んだ。
米国住宅設備大手のアメリカンスタンダードを買収したのは2013年。北米市場での事業基盤を確保するのが狙いで、約530億円を投じた。
アメリカンスタンダードは1875年設立の名門で、トイレをはじめ、水栓金具、バスなどの水回り製品を手がける。LIXILは2009年に同社のアジア事業を買収していたが、本命の米国本体の事業を取り込んだのだ。
ハイライトは2014年。ドイツの住宅設備大手、グローエを日本政策投資銀行と約3900億円で共同買収したのだ。2016年に政投銀の持ち分を取得し、グローエを完全子会社化した。グローエは浴室・キッチン用などの水栓金具で欧州最大シェアを持ち、トイレや洗面台なども展開する。
売上高1.5兆円前後で足踏み
LIXILの2026年3月期業績は売上高0.4%増の1兆5107億円、営業利益4.3%減の284億円。新設住宅着工の低迷で新築向けの売上高が伸び悩んだが、水回り製品を中心とするリフォーム需要が堅調に推移し、増収を辛うじて確保。営業利益は米国事業で追加の構造改革費用が発生して減益となった。
海外売上比率は約35%。欧州、アジアが各1800億円前後で、北米が1500億円弱で続く。規模は小さいが、近年、中東、アフリカでも売り上げを伸ばしつつある。
ただ、売上高全体は伸び悩んでいるのが実情だ。売上高のピークは2016年3月期の1兆8905億円で、現状はこれを4000億円近く下回る。コロナ禍後は1兆5000億円近辺での攻防となっている。
この裏には構造改革の一環として2020年、ホームセンター子会社のLIXILビバ(現アークランズ)と、ビル用建材のカーテンウォールを手がけるイタリア子会社のペルマスティリーザをそれぞれ大型売却したという事情もある。
ただ、2010年代前半に中長期目標として売上高3兆円(国内2兆円、海外1兆円)を掲げていたことからすると、目論見が外れたことは否めない。
※売上構成は2026年3月期時点
トップ人事で“お家騒動”の勃発も
経営停滞の一因として思い出されるのはトップ人事をめぐる“お家騒動”。2018年秋から翌年にかけてのことだ。
2016年からCEO(経営最高責任者)を務めていた瀬戸欣哉氏が実質解任され、旧トステム創業家出身の潮田洋一郎氏がCEOに就いた。瀬戸氏は事実上の委任争奪戦となった株主総会で勝利し、CEOに返り咲き、現在までそのポストにある。
瀬戸氏は住友商事出身で、工具ネット販売のMonotaROを立ち上げ、上場企業に育てた。
再登板した瀬戸氏は事業の選択と集中による構造改革、持ち株会社制廃止による意思決定の迅速化、本社移転などを通じた事業基盤の再構築や収益力の回復に力を注いできた。
国内事業、リフォーム比率47%に
2025年の国内住宅着工戸数は74万戸と62年ぶりの最低水準となった。こうした中、LIXILはかねてリフォーム市場に照準を合わせてきた。
戸建住宅、マンションを問わず住宅リフォームの主戦場は何といっても水回りの設備機器やインテリア領域。こうしたリフォーム需要にほぼフルラインでこたえられる態勢を整えているのがLIXILの強みだ。
実際、国内事業におけるリフォーム売上比率(2026年3月期)は全体で47%、水回りだけだと57%に達するという。
「王者」追撃ののろしも
建材・住宅設備業界を見渡すと、LIXIL追撃の狼煙も上がっている。3月末、YKKがキッチン、バス、トイレなどの水回り製品を主体とするパナソニックハウジングソリューションズ(大阪府門真市)の買収を完了した。YKK傘下で建材を手がけるYKK APと合わせた売上規模は1兆円となる。
YKKの狙いは拡大するリフォーム需要の獲得。そのためには建材の枠にとどまらず、住宅設備に進出することが不可欠との判断だ。
成長する海外市場を着実に取り込みつつ、成熟した国内市場をどう勝ち抜いていくのか、王者・LIXILの今後が要ウオッチとなりそうだ。
文:M&A Online
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