《福生マッチョハンマー男》「暴走族から町を守った」とネットが称賛した無職男(45)は病院で警官の股間を蹴り追起訴…窃盗事件も起訴、公判では深々と一礼【裁判傍聴】
《福生マッチョハンマー男》「暴走族から町を守った」とネットが称賛した無職男(45)は病院で警官の股間を蹴り追起訴…窃盗事件も起訴、公判では深々と一礼【裁判傍聴】

東京都福生市で今年4月、自宅近くにいた男子高校生を金づちで殴り、重傷を負わせたとして傷害罪などに問われている高林輝行被告(45)。事件後、ネット上では「暴走族から町を守った」と擁護する声が広がり、情状酌量を求める署名には2万2600筆(9月3日現在)が集まった。

 

一方、その後の捜査では、事件前に起こしたとされる、ブランド品など9点(約343万円相当)の窃盗事件や、逃走時と勾留後の警察官への暴行でも相次いで追起訴された。9月2日の公判で、高林被告は「今は何も言えません」と認否を留保した。

見ず知らずの人物から現金書留…高林被告は「ちょっと励みになるよ」

事件が起きたのは4月29日午前7時すぎ。高林被告の自宅近くの路上には、10代の男女7人ほどが集まっていた。高林被告の母親が静かにするよう注意したものの、その場を離れなかったため、高林被告が金づちを持って自宅から出てきたとされる。

高林被告は当時17歳だった男子高校生の左側頭部を金づちで殴ったほか、左肩を素手で殴るなどし、左目付近の骨を折る全治約1か月半の重傷を負わせたとされる。

その後、自宅へ戻った高林被告は、駆けつけた警察官らに刃物を示し、スプレーを噴射して逃走。警察官が自宅へ突入した際にはすでに姿を消しており、警視庁は殺人未遂容疑で全国に公開指名手配した。

「高林被告は自宅の裏口から抜け出し、JR福生駅方面へ逃走しました。その後、車を使って東京都内や埼玉県内などを移動しています。逃走に使用した車は窃盗事件にも使われた車両で、発見時にはプラスチックなどで偽造したナンバープレートが取り付けられ、車体番号も削られていたといいます。5月1日午後、千葉県習志野市内にある知人名義のアパートで身柄を確保され、調べに対して『殺すつもりはなかった』と供述していました」(社会部記者)

東京地検立川支部は5月22日、殺意を認定できなかったとして、男子高校生に対する傷害罪で高林被告を起訴した。

事件後、ネット上では「高林被告が暴走族から町を守った」などと擁護する声が相次いだ。

情状酌量と騒音行為の厳罰化を求めるオンライン署名には2万2600筆を超える賛同が集まっている。

逮捕後に面会した母親は集英社オンラインの取材に対し、勾留先には見ず知らずの人物から現金書留が届き、高林被告も「ちょっと励みになるよ」と話していたことを明かしている。

7月14日に東京地裁立川支部で開かれた初公判では、男子高校生に対する傷害事件について「今はまだ言えません」と認否を留保した。

リサイクルショップのショーケースを割り約343万円相当の商品を盗んだ

そして9月2日、高林被告は再び法廷に姿を見せた。

上下ともに鮮やかなグリーンのセットアップ姿で入廷した高林被告は、逮捕時に報じられた“マッチョ”な体つきと比べると、やや細身になった印象だった。傍聴席にはところどころ空席もあったが、高林被告は傍聴人の様子を確かめるように何度も傍聴席を見渡した。

その後、証言台の前に立つと、追起訴された3件の起訴内容が読み上げられた。

公判を傍聴した司法担当記者が、法廷で明かされた事件の経緯について話す。

「まず6月17日付で追起訴されたのは、4月29日に自宅へ駆けつけた警察官に対する公務執行妨害です。110番通報を受けた警察官6人が高林被告の自宅へ向かい、玄関で高林被告を確認したところ、刃物を示しながら『入ったらやるぞ』などと警察官を威嚇したそうです。

当時、玄関内には高林被告の実母がおり、警察官らが退避するよう促したものの、『なんで? なんで?』と困惑した様子で、その場を動かなかったといいます。

その後、高林被告は玄関前に出ると、警察官らに向けてカプサイシンの成分が入ったスプレーを噴射。警察官1人に全治1週間のけがを負わせ、そのまま逃走したとされています」

さらに法廷では、高校生を金づちで殴った事件が起きる約2か月半前の窃盗事件についても、その捜査の経緯が明かされた。

今年2月9日午前3時ごろ、高林被告は別の人物と共謀し、立川市内にあるリサイクルショップのガラスをハンマーで割って店内に侵入。さらにショーケースを割り、約343万円相当の商品を盗んだとして、7月3日付で追起訴されている。

「窃盗事件の発生後、犯人の2人組は逃走し、事件は未解決となっていました。しかし、4月29日の高校生に対する傷害事件をきっかけに高林被告のDNAを調べたところ、窃盗被害店舗に残されていたDNAと一致したといいます。

さらに高林被告の自宅を家宅捜索したところ、被害店舗から盗まれたブランド物のリュックと、その保証書が発見されています。共犯者については法廷では明かされませんでした」(同)

高校生への傷害事件をきっかけに、約2か月半前に起きた未解決の窃盗事件との接点が浮上したことになる。

「今は何も言えません」

そして今回の公判では、高林被告が勾留された後にも、新たな事件を起こしたとして追起訴されていたことが明らかになった。この事件は8月24日付で追起訴されている。

「6月28日、高林被告は留置担当の巡査長に付き添われて救急外来を受診し、その際、トイレへ行きたいと申し出たそうです。

用便を済ませた後によろけ、巡査長が体を支えようとしたところ、その股間を右膝で蹴り、さらに背後から腕を回して首元を絞めるなどの暴行を加えたといいます」(同)

一連の起訴内容について中島裁判長から認否を問われた高林被告は、正面を向いたまま、

「今は何も言えません」

と答えた。弁護側も高林被告の意向に沿って認否を留保した。検察側は、このほかに追起訴する予定はないとしている。

高林被告は終始落ち着いた様子だったが、審理中もたびたび傍聴席へ視線を向け、傍聴人の様子をうかがうような仕草を見せていた。

次回公判は10月13日に予定されている。日程調整が終わると、高林被告は大きな声で「わかりました」と返答した。

そして退廷する際、高林被告は再び傍聴席のほうへ体を向けた。事件後、「暴走族から町を守った」と英雄視されていた高林被告は、傍聴席に向かって腰を深く折り、90度ほど一礼すると、そのまま法廷を後にした。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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