ペナントレースの行方だけでなく、球界で起こったあれこれも毒舌評論家・江本孟紀は見逃さない! クライマックスシリーズ(CS)ルール改定、夏の甲子園、日本人メジャーリーガーホームラン量産……8月もいろいろあった野球関連ニュースをブッタ斬ります。〈前後編の後編〉
「借金チームはCSに出るな」
――8月24日にCSファイナルステージのルールが改定され、ファーストステージ勝者のシーズン勝率が5割未満、または1位とのゲーム差が10ゲーム以上だった場合に限り、1位チームにアドバンテージ2勝の5勝先取で、日本シリーズ進出チームが決定することになりました。
江本孟紀(以下、同) そんなまどろっこしくしないで、借金チームはCS出場権なしにすべき。
そういうことをやってると野球全体のレベルが下がる。首位のチームと真剣に戦わないで、2、3位を狙えばいいんだから。CSはにわかファンが喜ぶだけの天下の悪法だよ。来年からでも止めたほうがいい。
――江本さんイチ推しの日本ハムも現状3位に甘んじてますね(9月3日時点。以下同)。
100歩譲ってCSをやるんなら、日ハムは貯金15もあるんだから全然出場する資格はあるでしょう。ちょっとソフトバンクが走りすぎてるだけで。
でもソフトバンク1強時代になったのもCSのせい。みんな2、3位を狙って、ソフトバンクを倒そうとしないんだから。
――日本ハムのレイエス選手がヒーローインタビューで残留表明ともとれるスピーチをしました。
レイエスは大金を積んででも引き止めないと。ちゃんと技術があって、今どき珍しい打率とホームランを両立できるバッターなんだから。昔で言うバースみたいなバッターだな。
今のほとんどの日本人バッターは技術がない。打率が低いのは投手のレベルが上がったからなんて言うけど、関係ないよ。なにせ打ち方が悪い。入射角がどうとか数字ばっかり見てるからそんなことになるんだ。
「夏の甲子園もベンチに30人くらい入れちゃえばいい」
――日本ハムで言うと、新庄剛志監督が8月16日オリックス戦の解説を務めた田尾安志氏の「(今川優馬選手は)新庄監督に嫌われてたのかな」というコメントに対し、「悲しくなるような事を解説で言わないで下さい」と自身のインスタグラムで反応。これがちょっとした騒動になりました。
そんなことがあったの、それは知らなかった。新庄は俺の「西武は本拠地を名古屋に移したらいい」って意見に対して、「江本さんがすごく良いこと言ってる」と賛同したりと、解説者の言動をよく見てるよ(笑)。
――江本さんも辛口解説で知られていますが、最近解説をやりづらいと感じたことは?
とくにないよ。
とくに朝日放送、毎日放送とか在阪メディアは阪神とベッタリだから、そこに所属してる解説者が選手を悪く言ったら使ってもらえなくなる。まぁそれは広島も名古屋も仙台も札幌も福岡もみんな一緒だけど。
――江本さんはフジテレビやニッポン放送などでよく解説をしていますが、けっこう奔放に発言されてますよね。
一応ヤクルトと仲良しのメディアではあるけど、ヤクルトの悪口を言わないなんて無理だろ(笑)。
――同じく新庄監督が「やりくりが大変」とのことから、ベンチ枠を26人から28人へ拡大してほしいと提言していました。
それはいいんじゃない。夏の甲子園もクソ熱くて選手が倒れるっていうなら(現状の20人から)30人くらい入れちゃえばいい。アルプススタンドにユニフォーム着た部員がゴロゴロいるんだから、数は足りるでしょう。
「打者の数字は打率、打点、ホームランだけでいい」
――その夏の甲子園は智辯和歌山の優勝で幕を下ろしました。江本さんもご覧になっていましたか?
ベスト8に残ってるようなチームはしっかりと鍛えられてたし、軟弱なチームはなかったな。
――しかし、甲子園の土を踏みたいという球児もたくさんいることですし……。
人生そんな甘いもんじゃないよ(笑)。俺が高校生の頃は記念大会以外は複数県をまとめた地方大会単位で代表を決めてた。俺の地元は高知なんだけど、四国からは2校しか出られなかったからね(※)。
(※1964年南四国大会、2年生エースの江本氏擁する高知商業は準決勝で徳島商業に敗れる。3年時は部員の不祥事で処分され出場を辞退)
そのくらい甲子園の道は遠かった。1978年から運営が金を儲けるために毎年全都道府県から代表が出られるようになったけど、そんなんじゃ大会全体のレベルが下がる一方だ。
もう一回レベルの高い高校野球に戻すには、出場校を減らすしかないね。
――なかなか厳しいご意見です。一方、メジャーで日本人打者がホームランを量産。大谷翔平選手が30本、村上宗隆選手が29本、岡本和真選手が28本、鈴木誠也選手が24本と、4人とも30本塁打に届く可能性があります。
それぞれ自分たちの長所を生かせる球団に行けたのはあると思うけど、いかんせん打率が悪いわね。
――大谷選手、鈴木選手こそ.270台ですが、岡本選手は.227で村上選手は.215。しかし、昨今は打率よりもOPSなどの長打率や出塁率を含めた指標が重要視される傾向がありますね。
ゴチャゴチャした余計な数字は一切いらないよ。打率、打点、ホームランだけでいい。野球のおもしろさはデータとにらめっこすることじゃない。数字はシンプルでいいんだ。
最近、メジャーの球場に年寄りが行かなくなってるらしいんだけど、それもデータがゴチャゴチャ出てくるからなんだと。「そんなものを観に来てるんじゃない。わしらはとんでもなく速い投球と、それを打ち返す打者のパワーを観に来てるんだ」ってね。
数字ばかりにとらわれてると、野球の本質、本来のおもしろさがどんどん失わていくよ。
取材・文/武松佑季

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