この「クリスマス・イブ」の知名度を一躍上げたきっかけとなったのが、1988年にJR東海のCMソングに起用されたことだった。このCMシリーズは「クリスマス・エクスプレス」と呼ばれている。
このCMが誕生した当時(1988年)、企画者が「国全体を包み込む大きな不安」が世間にあると感じ、「こんな夜は、一番大切な人のそばにいて安心したい」とのメッセージに基づいて制作。遠距離恋愛のカップルが新幹線でクリスマスに再会を果たすストーリーを描いた。
このCMが放映されると、日本において「恋人同士でクリスマスを過ごす」という新たな文化が生まれ、以後1989年(平成元年)から1992年(平成4年)までシリーズ化されている。(2000年のみ復活)
その中でも有名なバージョンを紹介していこう。
【15歳の深津絵里が出演した1988年版】
「クリスマス・エクスプレス」シリーズの始まりともいえるこのCM。
新幹線から降りてくる彼をホームで待つ女の子。しかし、新幹線から降りてくる人混みが切れても彼の姿は見えない。強がりながらも涙ぐむ彼女の前に、ホームの柱の陰からムーンウォークをしながらブレイクダンスをして現れ、じゃれ合う2人を描くというストーリーだ。

主人公の女性には、当時15歳の深津絵里(当時は高原里絵という芸名)を起用。撮影当日、深津は高熱を出しながらも撮影に臨んだため、化粧を厚めにしたというエピソードも残っている。
キャッチフレーズは「帰ってくるあなたが最高のプレゼント」。
【牧瀬里穂が出演 今も語り継がれる1989年版】
彼女がクリスマスイブに故郷に帰ってくる彼の到着時間に遅れまいと、駅の改札口まで走り、改札口の彼を見つけると柱の陰で待ち伏せるというストーリー。

彼女役には、当時17歳の牧瀬里穂が起用され、最後に息をはずませるシーンは、実際に駅構内を何回も走り息をはずませてから撮影したそう。
キャッチフレーズは「ジングルベルを鳴らすのは帰ってくるあなたです」。
【8年ぶりに復活した「クリスマス・エクスプレス」】
2000年制作。1992年を最後にいったん終了した本シリーズであったが、20世紀最後に8年ぶりに制作された。
彼女がクリスマスイブの日、携帯で彼から連絡があるが、仕事で会えないとの返事。それなら今すぐ行くからと、自分から彼に会いに新幹線に乗って行くストーリー。

彼女役には星野真里を起用。過去の作品に登場した深津絵里と牧瀬里穂がゲスト出演しており、ナレーションも2人が担当している。
キャッチフレーズは「何世紀になっても会おうね」。
これらのCMは社会現象にもなったので覚えている人も多いのでは? 興味を持った方はぜひ動画サイトなどでチェックしてみてください!
(絵:ハセガワシオリ)