90年代を代表する大人気刑事ドラマシリーズ「古畑任三郎」(フジテレビ系)。
1994年に放送開始され、2006年をもって惜しまれつつもシリーズが完結。
脚本は、現在の大河ドラマ「真田丸」も好評の三谷幸喜だ。
何よりも田村正和演じる主人公の刑事・古畑任三郎の、独特の口調で額に指をやりながら推理する様子が特徴的で、モノマネをする人も多かった。

異色だった『古畑任三郎』のストーリー構成


ストーリー進行は、ゲスト俳優が演じる犯人による犯行の様子があらかじめ見せられ、その後刑事の古畑任三郎が真犯人とやりとりすることによって真相を暴くというパターン。視聴者は真犯人が誰か推理するのではなく、古畑がいかに真犯人を追い詰めていくかを楽しむのだ。
このような構成のため、あらかじめわかっている犯人役には、かなりの大物や異色のキャストが抜擢されてきた。

明石家さんまやイチローも 豪華な犯人役


1st seasonの初回の犯人役は歌手の中森明菜という贅沢なキャスティング。その他にも2nd seasonの「しゃべりすぎた男」という回では明石家さんま、3rd seasonの「頭でっかちの殺人」という回では福山雅治が犯人役をつとめるなど、意外で豪華なキャストが次々と犯人として使われた。
2006年に放送されたファイナルでは、あのイチローが犯人役だったこともあり、印象に残っている人は多いのではないだろうか。


「古畑任三郎 vs SMAP」


そんな「古畑任三郎」シリーズの中で忘れてはいけないのが、スペシャルとして1999年新春に放送された「古畑任三郎 vs SMAP」の回。そのタイトル通り、犯罪を犯したSMAPを古畑が追い詰めていくというストーリーだ。

SMAPの5人がSMAP役として出演し、仲間を守るため、共謀してひとりの男を殺すというのがストーリーの流れだ。SMAPのコンサートの裏側で犯行が行われるという設定のため、華やかなコンサートでのアイドルとしてのSMAPの姿、その裏側で苦悩したり協力したりする「素」(という設定)のSMAPの姿が重なり合い、目が離せない展開になっている。

三谷幸喜が描いたSMAP


もちろんSMAPが殺人事件など犯すわけがないので、物語の中のSMAPはあくまでも「架空のSMAP」だが、三谷幸喜が描いたSMAPはそれぞれのメンバーのパブリックイメージを象徴的に映し出したものだった。
中でも、ワイルドでちょっとカッコつけがちなイケメンキャラの「木村拓哉」と、無邪気でお調子者の末っ子的キャラの「香取慎吾」の対比は、今観ると2016年の現実と結びつけてしまいそうになる。

ところでこの「古畑任三郎 vs SMAP」であるが、12月17日にフジテレビ系列で放送されることが決定した。
是非興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonより古畑任三郎 3rd season 1 DVD