芸術の秋、晴れた休日にはカメラを持って外へ行きたくなる。そこで、木漏れ日など逆光条件の中で撮影した写真を見たとき、「あれっ」と思ったことはないか。
写真が全体的に白くにじみ、光の玉が写っていたり。
今回はこの現象をどう防げばいいかをレンズメーカーのシグマに聞いてみた。

逆光下で撮影するとフレア(白く滲む)・ゴースト(光の玉)が発生しやすい。これは写真の常識としてよく知られたこと。では、どうして逆光で撮影するかといえば、理由は、「逆光の写真はキレイだから」である。逆光で撮ると、被写体の花や女性などを明るい背景で浮かび上がらせる。
これが神秘的でとても美しいのだ。
また、逆光はレフバンなどで被写体に間接的にやわらかい光を当てることができるのもメリット。なので、女性ポートレート撮影は逆光撮影が基本となっている。そんな理由からどうしても逆光での撮影は避けられない。

さて、本題。一口にフレア・ゴーストといっても、広角レンズと望遠レンズでは現れ方がちがう。

「広角系の場合は、画面隅にゴーストが出るのが一般的です。他方、望遠系は画面半分、あるいは画面全域でモヤっとしたフレアが出ることが多く、鏡筒内反射が主な理由のようです」

さらに、「フィルターをレンズの前に装着した望遠系の場合、夜間撮影で車のヘッドライトや、電車の前照灯が画面中心と対称の位置にゴーストとして現れることがあります。これはイメージャー(撮像素子)とフィルターとの往復反射により発生するゴーストです」といったデジカメ独特のゴーストもあるという。

どうすれば逆光で失敗しないのか。シグマからのアドバイスは以下の通り。
・最新のデジタル用レンズを使用する(一眼レフの場合)
・レンズフードを使用する(一眼&高級コンパクトの場合)
・ハレ切りをする(すべてのカメラに当てはまります)

フードやハレ切りはレンズに余分な光が当たらないようにすることで、フレア・ゴーストを抑える銀塩時代からのオーソドックスなやり方。
一方、最初に挙げた最新のデジタル用レンズをお勧めする理由は何か。
「レンズのコーティングが良いとフレア・ゴーストの発生が少なく、逆光に強いレンズと言われています」
フレア・ゴーストはレンズが引き起こす現象。そこで、同社製レンズの中でも特に「DG、DCレンズ」では「スーパーマルチレイヤーコート」というレンズコーティングを採用し、フレア・ゴーストの発生を軽減するそうだ。最新のデジタル用レンズは一般的に、逆光に強いレンズコーディングを施したものが多いのだ。

レンズ性能やテクニックを駆使すれば逆光はそんなに恐くはない。なので、フレア・ゴーストが出ないキレイな逆光写真の撮影にチャレンジてみてください。

(羽石竜示)