人気番組『Youは何しに日本へ?』(テレビ東京)を観ていると、日本へ来る理由として「忍法を学びに来た」と答える外国人が予想以上に多いです。忍者の魅力が海を渡っているのかと、日本人として誇らしい気分になりますね!
とは言え、我々日本人自体が実は忍者にあまり詳しくなかったりする。
筆者なんか、忍者に関しては『忍者ハットリくん』以上の知識がありません。


科学の視点から見る「忍者とはどういう存在だったのか」


夏休み、忍者についてキチンと学ぶいい機会かもしれません。日本科学未来館は、本日(7月2日)~10月10日まで、企画展「The NINJA -忍者ってナンジャ!?-」を開催します。
同展のプレス内覧会が昨日に開催されており、私も行って参りました!
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験


「今までの忍者の展示は、物を並べたり歴史のことだったりが多かったですが、今回は現代の科学の視点から『忍者とはどういう存在であったのか。それをさらにこれからどういう風に活かしていくことができるのか』という視点で構成しています」(総合監修を務めた三重大学人文学部教授・山田雄司さん)
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

「この展覧会で忍者の知恵や知識を知っていただき、もし困難に遭った時に強く生き抜いていくヒントにしていただければ大変嬉しく思います」(企画者である日本科学未来館展示企画開発課・宮原裕美さん)
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オープニングには、人気お笑いトリオであるパンサーの3人とキティちゃんが来てくれました!
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験



伊賀の人が綴った“忍者の教科書”を展示


では、順番に会場を回っていきましょう。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

まずは、忍者の歴史や史料が展示されている「忍者研究室」から。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

本当にたくさんの書物が展示されているのですが、注目は“忍者の教科書”とまで呼ばれる『万川集海(まんせんしゅうかい)』でしょうか。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

伊賀の藤林左武次保武によるもので、伊賀・甲賀四十九流の忍術が集められています。
スパイ養成を目的とした陸軍中野学校でも教科書として採用されていた、非常に実用的な書物です。


忍術書や口伝で伝わる忍者の修行方法を体験!


古武術として現代に伝わる忍者の効率的な動きや、忍術書や口伝で伝わる忍者の修行方法を紹介してくれ、これらで体を鍛えます。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験


●手裏剣打ち
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

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手裏剣は、「投げる」のではなく「打つ」! ここでは手裏剣を打つ時の基本動作を学び、実際に「手裏剣打ち」の体験ができます。

●忍び足
足を引き抜くように高く上げ、つま先から差し入れる忍者の歩き方「忍び足」。習得すれば、足音をたてずに歩くことができ、たとえ暗闇の中に障害物があっても安全です。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

この廊下を忍び足で、すばやく物音を立てずに歩き切る。センサーに物音や振動を察知されたらランプが点灯してしまうので、それをさせずに渡ることができたら忍び足習得です!

●ヒマワリ跳び越え
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

忍者はヒマワリやアサなど、成長の早い植物を身近に植えて、それを毎日跳び越えるという方法で跳躍力を鍛えていたそう。
「ヒマワリ跳び越え」では、助走をつけずにヒマワリの背丈より高く跳んで跳躍力を鍛えます。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

跳び越えられないと、センサーが作動してしまいます。
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忍者が五感を研ぎ澄ますための修行


忍びの任務を成し遂げるためには、五感を研ぎ澄ますことが重要でした。ということで、人間に本来備わっている感覚を忍者がどのように鍛え、状況判断をしていたかを紹介します。

●視覚
忍者はろうそくの炎を観て視力と集中力を養う訓練をしていました。また、忍び込む任務が与えられると35日前から暗いところに籠る修行をしていたと言われています。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

障子の穴の向こう側にあるろうそくをじっと見つめ、炎の中に自分が入っていく気持ちになって集中する。
「燈火目付」という忍者の修行法です。

●聴覚
忍者は背後で落とした針の本数を言い当てる訓練「小音聞き」をしていました。現代の科学でも人は集中して音を聞くと脳の第一聴覚野の反応が10~20パーセント増加するという実験報告があります。この忍者の修行は注意を向けた情報を優先的に処理する訓練と言えるでしょう。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

ここでは、障子の向こうで何本の針が落ちたのか当てる訓練をすることができます。

●嗅覚
忍者は人の臭いから職業を推察する訓練をしていました。
たとえば汗や尿に含まれる「アンドロステノン」は3人にひとりは感じ取れない臭いですが、毎日10分嗅ぐと、3週間で臭いを感じ取れるようになる結果が出ています。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

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ここでは、缶の中の臭いを嗅いで「僧侶」「畳屋さん」「力士」の内のどの職業の臭いを当てる訓練をします。

●触覚
忍者は暗闇の中で触れたものを感知する訓練をしていました。暗闇の中では、手の感覚を頼りに周囲の状況を判断しなければならないこともあるでしょう。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

穴から手を入れて、指先の判断だけで障子の向こうにある物は何か当てる訓練をします。


忍者の食と薬


忍者は自然界にある様々な動植物について、その種類や栄養素、効能など抱負な知識を持ち合わせていました。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

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忍者は「兵糧丸(ひょうろうがん)」「飢渇丸(きかつがん)」「水渇丸(すいかつがん)」など、様々な携帯食をつくっていました。
忍者が状況に応じてカロリーの補給や病気の予防、精神力や体力の維持など、その機能を知り、使い分けていたことがわかります。また、活動期間に応じて携帯する量や組み合わせも考えていました。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

これは「薬研(やけん)」と言い、薬の原料を細かくする道具。舟形のくぼみに生薬を入れ、軸のついた丸い円盤を前後してすりつぶします。


「手裏剣」や「隠し武器」など、忍者の道具を展示


忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

●忍び刀
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

短めの刀身で反りが浅い「忍び刀」。忍者は刀を背中に負う輪束という持ち方をしていました。

●手裏剣
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

手裏剣の形は大きく分けて、棒状のもの、平面状のものの2種類に分けられます。
平面状の手裏剣は、取り出す時や打つ時に自分の手を傷つける危険性が高く、実際には使われていなかったと考えられています。それに対し、棒手裏剣の危険性は低く、実用されたのかもしれません。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

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●隠し武器
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隠し武器とは、(1)外見から武器とはわからない、または(2)懐に忍ばせておき、とっさの時に使うものでした。(1)には刀身を仕込んだ杖や煙管、軍扇などがあり、(2)には撒菱、鉄拳、猫手、手甲鈎、各種鎖などがあり、手裏剣も含まれます。
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●火器
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火器とは火や火薬を使った道具のことで、照明・合図・通信に使うほか、破壊目的に使うこともありました。


「ナンジャ大滝」で分身!


この滝に向かって決めポーズをとると、何かが起こります。「気合のポーズ」をとると、滝に映った自分の姿が巨大化する。「手裏剣のポーズ」をとると写った自分から手裏剣が放たれるし、「集中のポーズ」をとると分身します。
忍者の能力に科学で迫る企画展「忍者ってナンジャ!?」 忍術書や口伝で伝わる修行も体験

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……というわけで、心技体の修行をやり遂げることができました! 最後に、ここで「忍者認定証」を受け取ってください。
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「忍者の持っていた“人間力”“生きる力”を身をもって体験していただいて、高めていただけたらと思います」(山田さん)


お子さんだけでなく、大人でも夢中になりそうなインタラクティブ・コンテンツがいくつも用意されていました。忍者の修行に基づいた体験を、実際に自分の体を使って体験することができたのです。これでもう、私だって忍者でしょう!
(寺西ジャジューカ)