最近、ダボッとしたサイズ感のファッションが流行っている気がします。つい数年前はピタッとタイトな着こなしが主流だったはずですが。

兎にも角にも、ファッションに最も大事なのは“サイズ感”。そんな気がしています。


胸の大きさに悩んでいた女性自ら立ち上げた新ブランド


ところで。今、日本の女性の胸がどんどん大きくなっているのをご存知ですか? 1980年ごろは平均Aカップだったけど、食文化の変化から徐々に大きくなり、2016年現在は平均C~Dカップになっているらしい。そして、4人に1人、女性の約25%がEカップ以上のバストになっているそうなんです。(※トリンプ調べ)

そこで、こんなアパレルブランドが生まれたらしい。今秋から本格始動する「HEART CLOSET」は、「胸のサイズから発想する」をコンセプトに掲げています。

胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

もう少し、詳しく説明しましょう。このブランドでは、胸のサイズで洋服が選べるんです。と言うのも、HEART CLOSET代表の黒澤美寿希さんは自身の胸の大きさに昔から悩んでいたらしいのです。
「1番の大きな悩みは、胸のサイズに合った服が全く存在しないということです。私自身も高校生で既にGカップあったのですが、セーラー服の前丈が足りなくておへそが出てしまう。シャツがきれいに閉まらない。
本来より太って見える……と、お洋服にさんざん悩まされてきました」(黒澤さん)
例えば、Mサイズのシャツを購入したとします。肩幅や袖丈はピッタリなのに、胸が大きいとその部分だけが窮屈になってしまう。
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

●胸の大きな女性がシャツを着ることで生まれる悩み
・バスト部分が窮屈で苦しい
・ボタンが綺麗にとまらず下着が見えてしまう
・バストの高さで前裾が上がってしまう
・バスト部分に布が持っていかれ、肩が動かない
・窮屈そうなのでバストが強調され、本来より太って見える

逆にワンサイズ上の服を選ぶと、肩幅・ウエストはダボダボになるし、袖は長すぎ状態となってしまいます。
「こうして胸の大きな女性は、シャツを着ることを諦めてきました」(黒澤さん)


「カップ数」と「アンダーバストサイズ」を選択すれば、最適サイズの衣類が購入できる


「HEART CLOSET」の服は、アンダー×カップを参考にサイズが選べるそうです。
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

下着を選ぶように「カップ数」と「アンダーバストサイズ」を選択すれば、バストサイズにフィットしつつ、大きな胸の人が着用した際に最適な着丈・袖丈の衣類を手にすることができる。
「日本の女性アパレルの標準サイズ(9AR)はB70想定で作ってあるため、本格的に服に困るのはEからとなります。
取り急ぎ、まずは早くお届けするためにE~Hの提供をスタートしました」(担当者)

同ブランドの第一弾として発売されるのは、シャツとジャケットです。
「誰もが持っていそうなこのアイテムも、胸が大きな女性にとっては難関のお洋服でした。そんな女性たちの身体にフィットするよう、私たちは既製品で起こっている問題点を洗い出し、型紙から全てデザインし直しました」(黒澤さん)

●<シャツ>バストを美しく見せる5つの工夫
(1)胸の丸みを研究した立体裁断
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

市販のシャツではフィットしなかったバスト部分も、胸の丸みにそってふんわりと包み込む立体形状に。そうする事で胸の窮屈さはなくなり、バストの高さのまま落ちてしまっていた前裾で、本来よりも太って見えていたウエストもスッキリ! 美しいシルエットに。
(2)ふたつの隠しボタンを採用
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

外からは見えないふたつの隠しボタンを採用している。胸のボリュームで隙間から見えてしまっていた下着は隠しボタンで見えない設計に。
隠しボタンはとめやすいよう、指にフィットする通常より厚みのあるボタンを厳選した。
(3)デコルテを美しく見せるための追求
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

襟の高さを通常より下げることで、胸が大きな人特有の詰まって見える首回りをスッキリ見せる視覚効果を。デコルテが最大限見えつつも、決して谷間が見えない位置にボタンを配置。襟を通常より大きくデザインすることで、バランスが悪くなりがちだった襟と胸の対比を調整。バストの大きさが目立たなくなる。
(4)前丈を少し長めに設計
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

胸のボリュームで前裾が上がってしまい、インした裾が出てしまうことも。
シャツの前丈を少し長めにデザインすることで安心して着ることができる。さらに、アウトで着た時には気になるヒップが絶妙に隠れる後ろ丈に。
(5)お洒落さと着まわしに配慮
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

フォーマルなイメージのシャツもカジュアルに着まわせるよう、ボタンラインにトリコロールをデザインする遊び心を。首元にチラリと見えるお洒落さ。また、胸に行きがちだった周りからの視線はトリコロールへ誘導させる。

●<ジャケット>バストを美しく見せる3つの工夫
(1)胸の丸みに合わせ包み込むような立体裁断
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

胸を包み込む立体設計で、ボタンを閉めても肩回り、バスト部分の窮屈さを感じさせない。
バストに布を持っていかれないから、動かせなかった肩回りも快適に。
(2)ウエスト周りのシルエット追究
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

バストトップから筒のように裾が落ちてしまい、本来よりも太って見えていたウエスト。美しいシルエットが映えるスリム設計に。
(3)生地へのこだわり
胸の大きさに悩んでいた女性が立ち上げ バストサイズで選べる日本初のアパレルブランド

ジャケットの生地はオールシーズン対応。ジャケットによく使われる硬い・厚い素材ではなく、柔らかくてボディラインにフィットする生地を厳選。裏地に高級キュプラを採用し、肌触りと着心地の良さを。

そんな同ブランドが誕生したことにより、今まで悩んでいた女性たちからは「おおお……、素晴らしい。そうなんだよ、これなんだよ」「待ってた、超期待!」と喜びの声が続々と上がっています。一方、「きっちりめのシャツだけじゃなく、もっとバリエーション増えると嬉しいな」「今後、ワンピなどの展開があると嬉しいです」といった今後の展開を希望する声もチラホラあるらしい。
でも、やっぱりシャツ、ジャケット、カーディガンなどボタン付きの服に限られるんじゃないですかね? カットソーやニットなど、いわゆる“被って着る”系の服だと、どうしても胸の目立ちに対応するのは難しいんじゃないかと……。
「カットソー、ニットをはじめ難しいと考えられている服装に関しても、胸が大きな女性がキレイに着られるための改善アイデアがあります。今後は随時、商品という形で発表していきたいと考えております」(担当者)

現在、「HEART CLOSET」の服はクラウドファンディング「ENjiNE」にて購入できるようですが、本格始動すればオフィシャルサイトでの販売がスタートされる予定。
「もちろん、実店舗での提供も模索しております」(担当者)

「胸のサイズから発想する」という方向性は、たしかに新しいです。胸の大きな女性の身体的・精神的・社会的な悩みを解決する新ブランドでした。
(寺西ジャジューカ)