「痩せて見える鏡」「顔色がよく見える鏡」とは !?
普通(上)とシェイアップ調節した場合(下)での同一人物の映り比較
毎日、何気なく使っている鏡。その鏡に痩せて見えるものがあるというのをご存知だろうか。

以前から「試着室の鏡は細く映る」とか噂話的に広まっていた情報だが先日インターネットで販売されているのを発見。
さっそく話を聞いてみることにした。

この痩せて見える鏡を製造しているのは静岡市の「伊部鏡店」、ただ一社。社長の伊部さんに「痩せて見える鏡」について聞いてみた。
「痩せて見える鏡は『シェイプアップ・ミラー』といいます。開発したのは7年ほど前です。
大手のファーストフード店からの依頼で『お客様に鏡に細工があることに気づかれず、お客様が気分よく見られる鏡が欲しい』という要望がきっかけでした」
出発点は洗面所の鏡、しかもファーストフード店とは。お客さんに全く気づかれることなく、というのがポイントのようである。いかにも痩せて見えては変だし、「今日は顔色いいわぁ」程度にちょっと細身の姿を映してみせる鏡を設置するというアイデアはさすがである。何となくいつもよりすっきり見えれば「もう一個大丈夫かも」と気も緩む? というもの。

それにしても、この痩せて見える仕組みというのはどうなっているのだろう。
「この鏡には裏側に金具が取り付けてあってそれを調節することでフラットな鏡を少しだけ凸面鏡にして細く映すんです。
高さ1800mmの鏡の場合、上から5分の1、下から5分の1、真ん中の3個所、それぞれ顔、足、ウエストの部分が細く見えるように金具を取り付けてあります」

業務用として開発されたこの『シェイプアップ・ミラー』だが、金具を元に戻せば通常のフラットの鏡として使えるとのことで、個人で使う価値も十分にある。一台で理想のちょい痩せ自分(?)と現実の自分を映してくれるのでダイエットの友には最適と言えそうだ。

そしてもう一つ、伊部鏡店には世界に誇る開発商品があった。
それは透明度の高いガラスを使った『スーパーピュアミラー』というもので「顔色がよく見える鏡」、より正確に言うならば「より実物の肌色に近く見せる鏡」である。実は、鏡の材料であるガラスは本来薄い緑色をしているので普通の鏡は実際の肌よりも色が暗く、やや青っぽく見えるのだそうだ。
高透明のガラスはもともと色かぶりを嫌う絵画ケースなど美術館用として開発されたもの。

そこで、伊部鏡店では鏡に青みが出ないように透明度の高いガラスを使うことで顔色がよく映る鏡を作ることに成功。平成5年5月に国内ではトップをきって鏡として製品化した。以来、同様の機能を持たせたミラーが、資生堂など化粧品メーカーや美容室など多くのところで使用されている。

それにしても、自分が見ている鏡に映る顔色より他人が見ている実際の顔色の方がキレイというのはちょっと意外で気がつきませんでした。
本物の顔色を知ればひょっとしたらお化粧の仕方も違ってくるかもしれません。
伊部鏡店では一般向けに鏡の販売はしていないが、伊部鏡店の商品を扱う通販サイト「鏡空間」で『シェイプアップミラー』『スーパーピュアミラー』は購入可能。

(こや)