お知らせは報道機関へのFAX一枚、ジャニーズネットのお知らせ、ファンクラブ会員への更新手続き・入会手続き停止のハガキのみ。このような形の解散発表に、SMAPファンが納得できるわけがない。
SMAPほどの国民的グループではないが、以前も似たようなことはあった。ジャニーズに在籍していた男闘呼組(おとこぐみ)の解散も突然で不可解なものだった。
順調なデビューから5年、突然の活動休止
男闘呼組(おとこぐみ)は、1988年にシングル「DAY BREAK」でジャニーズ事務所からデビューした4人組のロックバンドだ。
田原俊彦、近藤真彦、シブがき隊、少年隊、光GENJIらがデビューした80年代。歌って踊れる可愛いアイドルが次々デビューする中、「男闘呼組」は、踊る代わりに楽器を手に、ジャニーズらしくない「ちょいワル」な雰囲気であった。
キャッチフレーズは「ジャニーズ事務所のおちこぼれ」だったが、「DAY BREAK」はオリコン最高チャート1位を獲得。レコード大賞新人賞を獲り、紅白歌合戦にも2回出場した。4曲目からは自分たちで作詞・作曲も手がけるように。
順調に見えた彼らの活動だったが、1993年6月、メンバー4人が主演していた舞台が終了すると同時に高橋一也(現在は高橋和也)を解雇。それにより、グループ活動を休止。しかも、全公演チケットが完売していた夏のコンサートツアーも中止に。
新聞報道で解散を知ったメンバー達
高橋一也(のちに和也に改名)は何故解雇されたのか。当時の写真週刊誌「FOCUS」によると、薬物使用疑惑があったことと素行不良、協調性がないことが問題視され、メリー喜多川副社長が激怒したといわれている。
高橋は解散後すぐに女性週刊誌の取材に対して、薬物報道を完全に否定。渡米して帰国した後、解雇された経緯について、突然マネージャーに呼び出され、契約更新を行なわないと通告されたと語っている。
メンバーの口から解散発表はなかったし、事務所からも公式に解散の発表はされていない。
マスコミは高橋が解雇され活動を休止したことでグループの解散を報じたが、メンバー自身は新聞報道で解散を知ったとも言われている。
事務所解雇後も充実した生活を送る高橋和也
高橋の薬物報道、素行不良問題はなんだったのか……。高橋は、その後薬物使用や所持でつかまることはなく、解雇された翌年、ずっと付き合ってきたファン1号だった女性と結婚、子どもが生まれた。
2016年1月には「徹子の部屋(テレビ朝日系)」に出演。現在も舞台やドラマ、韓流スターのイ・ビョンホンのドラマの吹き替えなど、幅広く活躍している。
NHK大河ドラマ「真田丸」には、高橋とともに、元男闘呼組で現在もジャニーズに在籍中の岡本健一が出演していることも、ファンの間で話題になった。俳優として力をつけたからこそ、共演が実現したのだろう。
何年、何十年か経って「あの時は大変だったけど、結果的に良かった」と思うことがある。それでも、ファンにとって何年、何十年と応援してきたタレントの存在を理由もわからず失うのは身を引き裂かれるような思いだ。その釈然としない思いを、十年二十年と抱えていく人も多くいるだろう。
アイドル業はファンというお客さまがあって成り立つもの。ファンは腑に落ちる説明と納得のいく未来を待っている。
(佐藤ジェニー)