90年代の邦楽シーンでは、数々のヒット曲が誕生した。そのひとつがウルフルズの『ガッツだぜ!!』だろ。


1995年の12月6日に発売され、徐々に人気に火がつき、オリコン週間チャートは6位まで上昇。70万枚近い売上を記録した。この曲で、1996年の『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす。

小室哲哉の一言で誕生した「ガッツだぜ!!」


ウルフルズは1988年結成、1992年にメジャーデビューを果たすも、鳴かず飛ばずの状態が続いていた。しかし9枚目のシングルとなる『ガッツだぜ!!』でブレイクを果たし、以降は『バンザイ 〜好きでよかった〜』『ブギウギ'96』『コマソンNo.1』など多くのヒット曲を連発する。

『ガッツだぜ!!』が生まれたきっかけは、小室哲哉の「もっとディスコっぽいものをやれば」という一言だった。ウルフルズの音楽のルーツには、ダンスフロアを沸かせるソウルやファンクの要素がある。

小室は彼らの本質を見抜き、それを前面に押し出すようアドバイスを行ったのだ。確かに『ガッツだぜ!!』の歌詞には、セックスを連想させる卑猥な歌詞が頻出する。メジャーな表現の中にあっても、猥雑さと色気を失っておらず、ウルフルズらしさが全開の曲といえる。もっとも『紅白』では“NHK式”のコンプライアンス意識により、歌詞の内容は変えさせられてしまった。

ダウンタウンのブレーンも見抜けなかったヒット


ウルフルズは大阪出身のバンドであるが、大阪時代のバイト先の先輩にはダウンタウンのブレーンとして知られる放送作家の高須光聖がいた。ウルフルズはメジャーデビュー後、売れないことに悩み、たびたび高須に相談に乗ってもらっていた。

『ガッツだぜ!!』のデモを聴いた高須は「俺はいいとは思わん」「やりたいことだけやってたらアカン、もっと考えろ」といった説教をしたようだ。だが、曲は高須の予想に反して大ヒットを記録した。
数々の人気番組を手がけ、流行のスイッチを知り尽くしているはずの高須光聖ですら、ウルフルズのブレイクは予想できなかったのだ。

ウルフルズには、突き抜けた表現が持つ強み、あるいは開き直りの潔さ、やるならとことんやるといった姿勢がある。『ガッツだぜ!!』は、すべてのくすぶった者たちへの応援歌なのだ。

※イメージ画像はamazonよりガッツだぜ!! Single